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功名【エッセイ】

 この十年くらい、腸の中を朝のうちに空にすることを、健康法にしている。理想は、腸カメラのときの美しいピンクの状態。おかげで今年二月の検診でも、ポリープなしだった。
 ただ欠点がある。朝二時間外出できないのと、紙を大量に使うこと。なので、ワンロールが二一一メートルの品を愛用していた。通常五〇メートル前後だから四倍と、長い。
 ところが、コロナ禍の中、マスクの品薄騒動からデマが飛び交い、トイレットペーパーも売り切れが続く。日ごろから震災対策で備蓄していたその品の在庫も少なくなり、アマゾンで確保しようとするが、数限定。仕方なく、いろいろな銘柄を注文することになった。
 二〇〇メートル以上の銘柄が二種類あった。うち一つが二五〇メートル。かなり使いがいがある。が、巻きが厚い分、ホルダぎりぎり。芯がないので、中央部に歪みがあると、回転しづらい。セット前に一〇メートルくらい解いてから納める手間が発生したり、薄すぎて頻繁に切れたり。最悪なのが、中央部の歪みが大きいものがあり、回転さえも覚束ない。さっそく、クレームすることとあいなった。
 代替品を送ってくれることになったのだが、そのときの窓口の言い訳。「芯がない分、輸送中に落下したとき、歪みができるのです」と。改良しようとする姿勢が感じられない。そもそも二五〇にこだわる必要があるのだろうか。たぶん、日本一長い製品を作れと、社長が無理くりに号令をかけているのだろう。
 もう一つの銘柄は、二〇〇メートルだったのだが、紙が厚くそれでいて水溶性が良く、切れない、中央部が歪まない。愛用していた銘柄も良かったのだが、無駄な包装と、交換時、最初の部分の水のリが強すぎて剥がしづらかった。が、この新人くん、全てが合格点だ(これは個人的感想です)。ケガの功名というか、「コロナの功名」といえるだろうか。

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