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映画(その4)【エッセイ】二〇〇〇字

 最近、満身創痍である。なにしろこの2週間で、(歩いて2500歩の位置にある)慶応大学病院に頻繁に通っている(病院関係者ではないかというほどに)。持病絡みで、循環器内科。アルツなど脳内の病気を警戒し、脳神経外科(年1回)。そして、口腔外科と整形外科が加わった。
 ことの発端は3か月前。口内炎に似た症状(口腔扁平苔癬たいせんという舌を噛みそうな疾病の疑い)が歯茎に出現。なかなか治らないので、現在、検査中。さらに2か月前から、左臀部から太もも、遅れて左上腕部に痛みがある。検査した結果、頚椎に歪みがあるらしい(原因は、ウォーキングのやりすぎではなく、またまた「加齢」・・・だと)。口内の症状は最悪、ガンに発展する可能性もないわけではないが、ともにすぐに命に関わるわけではない(らしい)。(カテーテルアブレーション手術のときのように)大袈裟に書く性癖があるようで、割り引いて理解していただければ。が、いつお迎えがきても不思議ではない年齢になってしまった(まったく不本意である)。そこで、最近考えているのが、きょうのエッセイのテーマ、映画『最高の人生の見つけ方』の「バケット・リスト」。
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 余命を宣告されたときにやりたいこと「10項目」を考えた。そう、映画『最高の人生の見つけ方』で、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの二人が作ったリスト。宣告されてからでは、気の弱いワタクシのこと、アタフタして何も考えられなくなるだろう。なので、いまのうちに考えておきたい、というわけである。最期に楽しいことをやって逝くことができると思うと、生きる活力にもなるだろう。
 映画では、見ず知らずの人に親切にする、スカイダイビング、ライオン狩り、マスタングの乗車、泣くほど笑う、荘厳な景色を見ることなどを、リストアップしていた。
 残された時間にも関係するだろうから、映画と同じく余命半年とする。そのときの体力も必要だ。「最後の晩餐」と同じで、食欲がないと「〇〇を食べたい」とリストアップしても食べられないのでは意味がない。最後なのだからモルヒネをジャンジャン打てば、どうにかなるだろうか。

 ところが、考えてもなかなか思いつかないものだ。
 「巣ごもり」中。終息したらアレをやりたい、コレもやりたいと思っていたはず。籠る生活に慣れてしまったのか、馴染みだった「あの店」に週一ペースで行っていたが行かなければそれで済んでいる。〇〇に行きたいと思っていたが、行かなくても済んでいる。しかし、とりあえず、こんなことを考えてみた。

 3年前に初めて行ったニューヨーク、楽しかった。再訪するか。しかしなあ、13時間もかけて? ま、貯金を使い切ってしまえばいいのだから、ファーストクラスでなら、耐えられるか。

 30年前に彼女さんと行った福島のリゾートゴルフ場、良かったなあ。会津の「満田屋」の味噌田楽を食べてから、行ったなあ。3年続けて。しかし、「満田屋」はあるが、ゴルフ場のホテルはなくなったようだ・・・。

 やはり、小学校入学前後、4年間暮らした『北の国から』の舞台、麓郷に行くか。しかし、3回くらい行っているし、ストリートビューで何度も見ているしなあ。

 両親が眠る墓に、まもなくそっちに行くと報告に行くか。でもオヤジとの同居は嫌だし、粉骨と決めているしなあ。

 という感じで、なかなか決まらない。しかし、最初の項目を思いついた。

 それは、「ほんとにやりたいコト」を若者から募集して、資金を援助して実現してもらおうという計画である。もちろん、カネは出すが口は出さない。実現し、達成した時の笑顔だけ見せてもらえばいい。
家族には恵まれなかったので、残った預金のほとんどを寄付しようと考えている。なのでその一部を、若者が思っている「ほんとうにやりたいコト」のための資金とするのは、自分が使うよりは意味あることではないか、と思った。
 たぶん、もし子どもがいたら、言うだろう。
 「キミは、いまなにをやりたい? 財産としては残さないけど、そのために援助してあげることはできる。やってみたら」と。
100万円なのか200万円なのか、それ以上なのか、このあと何年の猶予期間があるかに関わってくるが、「ほんとにやりたいコト」が実現できそうな額だけは節約して残しておきたい。
 映画では、(家族を犠牲にし)仕事と結婚した大富豪エドワード(ジャック・ニコルソン)、家族のために地道に働いてきたカーター(モーガン・フリーマン)が、最後に大切と感じたのは、「家族」だった。カーターは、あらためて家族の温もりを感じ、エドワードは、疎遠だった娘と再会し、かわいい孫と対面する。そして、その頬にキスをし、リストの中の“世界一の美女にキスをする”に線を引く。

 むろん、郷里の北海道に弟夫婦とその一人っ子の姪がいるので、リストに入れる。「北海道に行き、弟夫婦たちと大好物の毛ガニを腹いっぱい食べる」とか。「『お兄ちゃん』と呼んでくれていた姪と札幌でデートして、ブランドバックを買ってあげる」とか、ね。

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