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日本がジェンダー平等を達成する方法

<日本はジェンダー不平等>
 
世界経済フォーラムが2022/7/13に発表した男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中116位、主要7カ国(G7)中最低で韓国や中国より低い状況です。男女が平等な状態を100%とした場合日本の達成率は65%、1位は13年連続のアイスランドで達成率は91%です。総合評価の上位5カ国は2021年と同じ顔ぶれで、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデンでした。 
調査は経済、教育、健康、政治という4分野に関する統計データから算出します。日本は識字率や初等教育などで男女差がなく、教育分野は男女平等と評価され世界1位でした。健康分野も63位と評価は高い一方、著しく低いのは政治と経済の2分野で、政治は147カ国中139位、経済は121位でした。 
政治は女性の議員数、閣僚数が圧倒的に少なく、女性の首相も過去いません。女性の権利を制限していると指摘されるアフガニスタン(107位)やサウジアラビア(132位)よりも下です。
経済は管理職につく女性の少なさや、男女の所得に差があることが順位を下げた要因となっています。
 
<SDGsのNo5『ジェンダー平等』>
 
SDGsのNo5では『ジェンダー平等』が謳われており、以下のターゲットが設定されています。
 
5.1   あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.5   政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.a   女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
 
また、上記に対応するKPIは以下の通りです。
5.1.1   性別に基づく平等と差別撤廃を促進、実施及びモニターするための法律の枠組みが制定されているかどうか
5.5.1   国会及び地方議会において女性が占める議席の割合
5.5.2   管理職に占める女性の割合
5.a.1   (a)農地への所有権又は保障された権利を有する総農業人口の割合(性別ごと)
(b)農地所有者又は権利者における女性の割合(所有条件別)
5.a.2   土地所有及び/又は管理に関する女性の平等な権利を保障している法的枠組(慣習法を含む)を有する国の割合
 
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で特に問題視されているのは、上記ターゲット5.5の国会議員、地方議員、管理職に占める女性の割合ということが分かります。
多分この指摘をクリアすること自体はそこまで難しくないと思います。いつも通りPPP『パクってパクってパクリまくる』をやればいいのです。
ジェンダー平等が上位のアイスランド、フィンランド、ノルウェー等、女性の議会、社会進出が進んでいる国が何を取り入れているのかを研究して真似すればいいのです。
 
<ジェンダークオーター制の導入>
 
一例としてジェンダークオーター制度があります。要は国会及び地方議会、企業における管理職に占める女性の割合をあらかじめ決めてしまい、そこに女性を配置するというやり方です。例えば参議院の245議席の3割73議席は女性に配分すると決めてしまえば、参院総数のうち3割は自動的に女性になります。
ノルウェーは2002年に、2008年までに上場会社の取締役会の40%を女性で構成することを義務付ける法律を可決しました。その時ほとんどの反応は猛烈に批判的なものでした。実際何百社もの上場会社が、これに反対するため上場廃止しました。でも20年たった現在では、議論の的ではなくなり当たり前のものとして人々に受け入れられるようになりました。
 
日本における社外取締役制度も同様かと思います。日本の取締役会は長らく社長以下生え抜きのプロパーだけで構成するのが通常でした。現時点でも非上場会社のほとんどはプロパー役員のみです。2002年に社外取締役制度が成立し、2015年からコーポレートガバナンスコードにより上場会社は社外取締役を2人以上置くことが実施上義務付けられ、会社法でも上場会社は社外取締役を設置することが義務付けられました。今では社外取締役を2/3以上設置する会社も出てきています。こちらも最初に社外取締役を設置することに対してはかなりの反対が出ました。けれども今となっては社外取締役がいることは当たり前で、むしろその質を問われるような時代になってきています。まずは形式、量から入りその後質を担保するというのが制度を根付かせる常套手段だと思います。
 
私が岸田首相であれば、ジェンダー平等を真剣に考え、上記のジェンダークオーター制をまず取り入れます。その上で10年以内に女性議員の割合、管理職に占める女性の割合の量を担保します。当然批判は殺到しますし、ジェンダークォーター制も完璧ではありませんので、様々な問題が出ると思います。そのため問題が出ることを前提として導入します。問題が出たらその問題に対処するようにして、まずは量を確保していきます。量が確保できれば、少なくとも上記ターゲットの KPI は達成できますので、今よりも日本のジェンダー平等に対する評価は上がると考えます。 
 
<本質的な問題は男性のエゴ>
 
私が考えても簡単に対応策が出せるのですが、日本が長らくこの問題に対処できなかった理由はもっと別にあると思います。私見ですが日本は昔から男性社会であり、その男性社会を変えたくないと思っていること自体がこの指摘の根っこにある大きな問題です。また女性が社会進出するとなると、男性が家事育児をやらねばなりません。家事育児をやりたくない、めんどくさいという男性の本能も邪魔しております。こう考えると本質的な問題は、制度ではなく人間のエゴなのです。自らのエゴを抑えいかに社会のために孔子の言う『仁』を実行できるかが本質的な点だと私は考えています。自分の利益という『部分最適』ではなく、社会の利益と言う『全体最適』を考えられる人が増えれば、日本は変わると思います。要は一人一人の考え方、行動によるものなのです。
 
2022年7月に行われた参議院選の投票率は52%でした。約半分の人が投票を放棄している状況であり、10代は33%と2/3が投票放棄という低い投票率でした。自分たち一人一人の投票では何も変えられないと思うから、投票を放棄しようと考えます。でも一人一人が投票を真剣に考え、若い現役世代の投票率が70%になれば日本は変わります。自分の行動、考え方が世の中にインパクトを与えられるんだと自信を持って活動してみてはいかがでしょうか。 


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