ユニバーサルデザインの強化書69 ノーマライゼーションとは
ノーマライゼーションとは
ノーマライゼーションは、障害の有無に関わらず、すべての人が、社会的な参加と活動を行う権利を持つ、という原則を指します。この考え方は、障害者に対する差別や偏見を排除し、彼らが自立的に生活し、持続的に発展できる環境を提供することを目指しています。
ノーマライゼーションと
ユニバーサルデザインとの関係
ノーマライゼーションは、ユニバーサルデザインの基盤となる重要な原則です。
ユニバーサルデザインは、製品、環境、システムが、異なる能力や特性を持つすべての人々にとって使いやすく、アクセス可能であることを目指します。
このため、ユニバーサルデザインは、ノーマライゼーションの理念を具現化した設計手法と言えます。
環境のアクセシビリティ
ノーマライゼーションの一環として、環境のアクセシビリティが重要です。
これは、公共の場所や建物、交通機関などが、障害のある人々にも利用しやすいように設計されることを指します。
例えば、段差の解消、手すりの設置、視覚障害者向けの情報提供などが、これに該当します。
コミュニケーションの促進
ノーマライゼーションは、コミュニケーションの場面でも重要です。
これは、異なるコミュニケーションスタイルやニーズを持つ人々が円滑に意思疎通できるようにすることを意味します。
例えば、手話通訳者の提供や、テキストベースのコミュニケーション手段の提供などがあります。
教育の包摂
ノーマライゼーションは、教育の分野でも重要な役割を果たします。
全ての生徒が適切な教育を受けられるようにするために、教室や教材のアクセシビリティを確保する必要があります。
特別なニーズを持つ生徒に対する適切な支援やアクセスが提供されることが求められます。
歴史の振り返り
ノーマライゼーションの歴史は、障害者の権利と社会的包摂のための重要な動きとして、20世紀の後半に始まりました。
1.1950年代 - 初期の動き
ノーマライゼーションの概念は、1950年代にデンマークの心理学者であるベンヤミン・モスによって提唱されました。彼は、精神病患者が病院ではなく、一般社会で暮らすことができるようになるべきだと主張しました。
2.1960年代 - コミュニティベースケア
1960年代には、アメリカ合衆国で精神病患者の病院からの退院を推進する「コミュニティベースケア」の動きが始まりました。これによって、精神病患者が家庭やコミュニティで生活できるようになる努力がなされました。
3.1970年代 - 障害者権利運動
1970年代には、障害者権利運動が各国で勃興しました。この運動は、障害者が差別なく平等な権利を享受できるように力を尽くしました。
4.1980年代 - ユニバーサルデザインの概念
1980年代には、ユニバーサルデザインの概念が提唱されました。これは、製品や環境ができるだけ多くの人々にとって使いやすくなるように設計されるべきであるという理念です。
5.1990年代 - ADA法
1990年にアメリカで障害者差別法(ADA)が制定されました。この法律は、障害者に対する差別を禁止し、公共施設やサービスのアクセシビリティを保証しました。
6.2000年代以降 - 国際的な取り組み
2000年代以降、国際的な組織や国連などが、障害者の権利保護のための取り組みを強化しました。例えば、2006年には国際連合障害者権利条約が採択されました。
これらの出来事や運動は、障害者の権利と社会的包摂を推進するための重要な一環として、ノーマライゼーションの概念を発展させてきました。この運動は、多様性と包摂を尊重し、すべての人々が尊重される社会を目指す重要な原則となっています。
まとめ
ノーマライゼーションは、障害の有無にかかわらず、全ての人々に公正な機会と尊重を提供するための重要な原則です。ユニバーサルデザインは、この理念を具現化する手段の一つであり、社会全体がより包摂的で公正な場所になるための重要なアプローチです。
Think Universality.
Think Difference.
m.m
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