見出し画像

(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書170 平等から公平へ-多様性のある未来

平等から公平へ-多様性のある未来


1. 平等と公平を視覚的に理解する

まず、平等(イクオリティ)と公平(エクイティ)の違いを視覚的に理解することが重要です。以下のビジュアルをご覧ください。

The difference between the terms equality, equity, and liberation, illustrated; © Interaction Institute for Social Change | Artist: Angus Maguire

●平等(イクオリティ)
全員が同じ高さの箱に立って野球の試合を観る様子を想像してください。全員に同じサイズの箱が配られますが、背の低い人は試合が見えず、背の高い人は見やすくなります

▶︎平等は全ての人に同じリソースを与えることを意味しますが、それが必ずしも公平ではありません。

●公平(エクイティ)
一方、エクイティでは、全員が試合を見られるように、それぞれの背の高さに応じて異なるサイズの箱が配られます。背の低い人には高い箱、背の高い人には低い箱が与えられ、全員が平等に試合を観ることができます

▶︎エクイティは、個々のニーズに応じたリソースを提供することで、実際の公平性を実現します。

*ちなみに、ビジュアルのように、現実(リアリティ)の公平格差は大きくなる場合がありす。そして、公平(エクイティ)のその先の解放(リバレーション)が望ましい場合もあります。

2. エクイティの意義

エクイティの意義は、すべての人が最大限の能力を発揮できる環境を整えることにあります。特に、多様な社会においては、以下の点でエクイティが重要です。

個人の潜在能力を引き出す:
個々の違いやニーズに応じた支援を行うことで、全ての人が持つ潜在能力を引き出し、最大限に発揮できるようにします。

社会的公正を促進する:
歴史的、経済的、社会的な不平等を是正するための手段として機能し、公正な社会の実現を目指します。

多様な視点を育む:
エクイティを推進することで、さまざまな背景や視点を持つ人々が対等に参画できる環境を作り出し、組織や社会の創造性や革新性を高めます。

3. エクイティの具体的事例

エクイティの実践例として、以下の事例が挙げられます。

教育のエクイティ
ある小学校では、多様なバックグラウンドを持つ生徒たちが在籍しており、一部の生徒は家庭でのサポートが乏しいため、学習に遅れが生じていました。この学校では、特別支援教育プログラムを導入し、個々の生徒のニーズに応じた追加の授業やカウンセリングを提供しました。結果として、全ての生徒が同じレベルで学ぶ機会を得ることができ、学業成績の格差が縮小しました。

企業のエクイティ
ある企業では、女性や少数派の社員が昇進の機会を得にくいという問題がありました。この企業は、エクイティを推進するために、メンターシッププログラムを導入し、女性や少数派社員に対してキャリア開発の支援を強化しました。また、昇進プロセスにおけるバイアスを排除するためのトレーニングを管理職に対して実施しました。これにより、昇進の公平性が高まり、多様なリーダーシップが育成されました。

4. エクイティを実現するためのステップ

エクイティを実現するためには、以下のステップが重要です。

1. 現状の評価:
組織内外の現状を客観的に評価し、不平等が存在する領域を特定します。

2. 目標の設定:
エクイティを推進するための具体的な目標を設定します。これには、定量的な目標(例:女性管理職の比率を30%にする)や定性的な目標(例:全ての従業員が平等に評価される文化を醸成する)が含まれます。

3. 具体的な施策の実施:
目標達成のために必要な具体的な施策を計画・実施します。これには、教育プログラムの導入、支援制度の拡充、バイアス排除のためのトレーニングなどが含まれます。

4. 進捗のモニタリング:
定期的に進捗を評価し、必要に応じて施策を見直します。透明性を持って進捗を公開することも重要です。

5. エクイティを推進する企業の取り組み

多くの企業がエクイティを推進するために様々な取り組みを行っています。例えば、マイクロソフトは「多様性とインクルージョンのための行動計画」を策定し、エクイティを推進するための具体的な施策を実施しています。この計画には、社員の多様性を高めるための採用戦略、社内教育プログラム、インクルーシブな職場環境の整備などが含まれています。

また、日本企業では、ソニーがダイバーシティ&インクルージョン推進室を設置し、エクイティを推進するための取り組みを強化しています。ソニーは、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、全ての社員が平等に評価され、成長できる環境を整えることを目指しています。

6. エクイティがもたらす未来

エクイティを推進することで、組織や社会は以下のような未来を実現することができます。

多様性と包摂性の向上:
エクイティにより、多様な背景を持つ人々が対等に参画できる環境が整い、組織や社会の包括性が向上します。

創造性と革新性の強化:
多様な視点や経験が集まることで、創造的なアイデアや革新的な解決策が生まれやすくなります。

社会的公正の実現:
エクイティは、歴史的な不平等や差別を是正する手段として機能し、公正で平等な社会の実現に寄与します。

エクイティは、単なる理想ではなく、具体的な行動を通じて実現可能な目標です。組織や社会全体でエクイティを推進することで、全ての人が持つ可能性を最大限に引き出し、共に成長する未来を築くことができるでしょう。

エクイティの本質と重要性を理解し、それを実現するための具体的なステップを踏むことで、私たちはより公正で包括的な社会を築くことができます。

エクイティの推進は、一人ひとりの潜在能力を最大限に発揮させるための鍵となるのです。

Japanese and foreigners who feel fairness.
Generated by DALL-E3.

Think Universality.Think Difference.


m.m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?