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(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書178 障害「できない」を振り返る

障害「できない」を振り返る

※セットで読むのがおすすめ
(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書177 時代が求める障害克服のアプローチ:体験価値の向上|松川    雅一
https://note.com/masani8120mm/n/n2ed28795ae55

※以下は私の知見や想像に基づくものであり、人によりできることできないことや対策が変わる場合があります。また、テクノロジーの進化により変わることもあります。

現代社会では、テクノロジーの進化により、障害のある方々が以前よりも多くの障害を克服できるようになってきました。

しかし、現実の社会参加や人とのコミュニケーション、対話、さらにはスムーズな移動のためには、まだ多くの障害が存在しています。このような課題は、テクノロジーだけでは克服できない場合があるのも事実です。

視覚障害者の
具体的なシーンでの「できない」と対策


できない1.
会議中のホワイトボードの内容を読む
●工夫
スマートフォンのカメラとOCRソフトを使って内容を読み取る。
●難しい場合
そもそもホワイトボードの場所がわからない。ホワイトボードの前に立つと他者が見えなくなるのがよくない場合は近づけない。また、ホワイトボードの文字が汚かったり絵柄と重なっていると読み取りが難しい。
●そもそもの配慮
・口頭での発言内容とホワイトボードの内容を一致させる。
・事前に口頭での発言内容の大筋のテキストデータを視覚障害者に共有しておく。
・あるいは会議直後に、ホワイトボードの内容をテキストデータ化したものを会議参加者全員に共有する。

できない2.
交通量の多い場所での安全な横断

●工夫
音声信号機や盲導犬の利用。
●難しい場合
音声信号機が設置されていない場所では、安全に渡るのが難しい。
●そもそもの配慮
・周りの人が、白状を目印に視覚障害者であることを認識し、声掛けをしながら赤信号・青信号の状況を口頭で伝える。

できない3.
テーブル上の料理の選択

●工夫
パートナーや友人に料理の位置を説明してもらう。
●難しい場合
説明がないと自分で選ぶのが難しい。
*チャレンジ
試食しながら自分の好みの料理の場所を把握する場合もある。

●そもそもの配慮
・お客様の障害の有無を問わず、配膳の際に店員が料理の位置を必ず説明する。
・料理にスマートフォンをかざせば、料理の位置を音声で説明してくれる(妄想)。
*これは各料理を正しく理解するために、万人の役に立つ。

Visually impaired person trying to eat.
Generated by DALL-E3.

聴覚障害者の
具体的なシーンでの「できない」と対策


できない1.
会議での複数人の発言の同時把握

●工夫:リアルタイムの字幕表示を利用。
●難しい場合:字幕のタイムラグや複数の人同士のランダムな議論があると、発言を完全に把握するのは難しい。
●そもそもの配慮
・会議参加者は、他人の発話の最中に被せた発話をしない(これはコロナ禍で常態化したオンライン会議において、発話理解の円滑化のために自然と身に付けた手法であり、これを今後もオフラインでも行うのが望ましい)。
*最も難しいポイント
会議終了直後の雑談の中にこそ、重要な発言のニュアンスが含まれていることがある。しかしそれは字幕表示されない。


できない2.
電話での緊急連絡

●工夫:テキストメッセージやメールを利用。
●難しい場合:緊急事態で即時の対応が求められる場合、遅延が発生する可能性がある。
●そもそもの配慮
・緊急連絡は電話連絡と同時に、オンラインチャットやショートメッセージなど、テキスト発信も行う。
・電話での緊急連絡の音声が、自動的にテキスト化され、スマートフォンの画面に表示される(すでに技術開発されているかもしれない)。

できない3.
緊急時の火災報知器の音声アラームを認識

●工夫:振動アラームや光アラームを使用。
●難しい場合:これらの設備がない場合、緊急事態に気づくのが遅れる。
●そもそもの配慮
・周りに上記の工夫が施された設備がない場合でも、聴覚障害者が持つスマートフォンに、振動&テキストメッセージが表示される。
*十分認識したいこと
大規模災害時の緊急音声アナウンスは、聴覚障害者には伝わらない。

車椅子利用者の
具体的なシーンでの「できない」と対策

できない1.
階段を使っての移動

●工夫:エレベーターや車椅子専用昇降機を利用。
●難しい場合:エレベーターがない場合、上階への移動が不可能。
●そもそもの配慮
・臨機応変な人による手助け。欧米では自分の周りに困りごとを抱えた人が居ると手助けをする習慣ある。日本では正しく完璧に助けようと考えてしまい、結局助けないことがある。欧米の寛容な習慣を見習いたい。

できない2.
バーベキューなどアクティビティでの移動

●工夫:平坦で舗装された場所を選ぶ。
●難しい場合:不整地や砂利道では移動が非常に困難。
●そもそもの配慮
・アクセスしやすいロケーションを選択することで、誰でも参加しやすくなる。

できない3.
カフェテリアでのトレイの持ち運び

●工夫:スタッフに運搬を依頼。
●難しい場合:スタッフの助けが得られない場合、食事の運搬が困難。
●そもそもの配慮
・配膳ロボットを利用できるようにすることで、荷物が多くトレイの持ち運びが困難な人や上肢障害の人にも役立つ。

これらのケースは、視覚障害、聴覚障害、車椅子利用者、当事者それぞれの具体的な困難と対策を示しています。当事者の日常生活をなるべく具体的にイメージすることで、今後の何らかの気づきにつながれば幸いです。

また、そもそもの配慮は、障害の有無を問わず有効であり、それがユニバーサルデザインの本質と言えるでしょう。

Visually impaired person eating.
Generated by DALL-E3.

Think Universality.Think Difference.


m.m

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