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(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書163 UDは誰のため?-持続可能な人と企業の進化を目指して

UDは誰のため?-持続可能な人と企業の進化を目指して

ユニバーサルデザインの進化する性質

ユニバーサルデザイン(UD)は完成形を持たず、その本質は比較級にあります。UDは、いつもビフォー・アフターの比較級の考え方で、継続的改善(PDCA)が必要です。

●人の視点


利用可能な技術と情報を用いて、アクセス性の高い機能やデザインを追求するこのプロセスは、市場に新しい製品・サービスが登場すると、初期の段階では、人々に、その利便性が高く評価されます。

しかし、人々はその利便性にすぐに慣れ、もはやあたりまえのように、自然に日常生活に溶け込んでいきます。
身近な例では、ICカードによる駅の自動改札機でのタッチ&ゴーや、スマートフォンによる店舗でのスピーディなキャッシュレス決済は、その典型例でしょう。

A person who uses an automatic ticket gate
at a station as a matter of course.
Generated by DALL-E3.

つまり、時代の変化や技術の進化とともに、人々の生活様式も変わり、新たなニーズが生まれるため、UDは継続的な改善を必要とします。

●企業の視点


製品・サービスを発信する企業側の視点でも見ていきましょう。

ブランドの一貫性と魅力的なデザイン

企業ブランドの一貫性と魅力的なデザインは、魅力的なユニバーサルデザインを生み出す重要な要素です。

ブランドの価値観を、製品・サービスの各要素に反映させることで、ユーザーに対して一貫した体験を提供することが可能となります。

これは、ユーザーが製品・サービスを理解しやすくするだけでなく、信頼感を構築し、長期的に多様なユーザーへの満足に貢献します。

多様なユーザーとは何か?

多様なユーザーとは、高齢者障害を持つ人々異なる文化背景を持つ個人、さまざまな身体特性や能力を持つ人々を指します。

これらの人々に配慮した設計は、単一の解決策ではカバーできない広範なニーズに対応するために不可欠です。

多様なユーザー参加の意義

UDの成功には、多様なユーザーが開発プロセスに参加することが欠かせません。

これにより、一つの視点に偏らない広範囲のニーズを満たす製品やサービスの設計が可能になります。

多様なユーザーからの直接的なフィードバックは、製品のアクセス性と実用性を高めるための重要な情報源となります。

Evaluations and insights from diverse users.
Generated by DALL-E3.

ユニバーサルデザインの中長期的な利点

①企業の社会的責任(CSR)

ユニバーサルデザインへの取り組みは、企業が社会的責任を果たす上で重要な役割を果たします。

すべてのユーザーがアクセス可能な製品・サービスを提供することで、企業は包摂性と平等・公平を推進し、社会全体に対してポジティブな影響を与えることができます。

②販売促進(SP)

アクセス性の高い製品・サービスは、より広い顧客層にアピールすることができ、その結果、販売促進に寄与します。

多様なニーズに応えることで、市場の新しいセグメントを開拓し、売上の増加を期待することが可能です。

③業務プロセス改善(COST.DELIVERY)

ユニバーサルデザインの実践は、製品・サービスの開発プロセスも効率化し、中長期的なコスト削減にもつながります。

UDを初期段階から考慮することで、後からの変更や修正が必要なくなり時間と資源の節約に貢献します。

さらに、UDのアプローチによって、製品の配送やサポートがシンプル化され、全体的な運営コストの削減につながることもあります。

●人の視点✖️企業の視点


継続的な改善とユーザーとの対話

UDは市場に出た後も終わりではありません。

継続的なユーザーとの対話を通じて製品・サービスを改善し続けることが必要です。

これは「進化するデザイン」の考え方を具体化し、ユーザーからの直接的なフィードバック市場の変化に敏感に反応することを可能にします。

最終的な目標:包括的なアクセスと利便性

ユニバーサルデザインの究極の目標は、すべての人が平等・公平にアクセスでき利便性を享受できる製品・サービスを創出することです。

この目標を達成するためには、多様なユーザーの参加そのニーズの把握が不可欠です。文化や社会の変化に対応しながら、アクセス可能性や利便性を常に向上させるための努力が求められます。

結論:良いユニバーサルデザインが良いユーザー体験に結びつく

People pleased with the improvements made by the UD approach.
Generated by DALL-E3.

ブランドの一貫性とユーザー中心の魅力的なデザインを通じて、良いユニバーサルデザインは結果として優れたユーザー体験(UX)を生み出します。

これにより、製品・サービスはより広範なユーザーベースに受け入れられ、企業の持続可能な成長と市場での成功を促進します。

ユニバーサルデザインの実践は単に機能性を向上させるだけでなく、ブランド価値を高め、ユーザーとの深い信頼関係を築くことにも寄与し、中長期的には企業の社会的責任の達成、販売促進、および業務プロセスの改善にも大きく貢献します。

まとめ

★UD取組みのポイント★

0.UDコーディネーターなど専門家を交えたプロジェクトとして取り組みましょう

1.初期設計段階から多様なユーザーが参加して多様な気づきを得る場を設けましょう

2.気づきをもとに製品・サービスが市場(世)に出る前に改善しましょう

3.人々の新たなニーズもふまえて製品・サービスが市場(世)に出た後も改善しましょう

★UD取組みの注意点★

●後付けの仮説検証の罠!
検証=ユーザー参加によるリサーチでよく陥る罠があります。

それは、製品・サービスを市場(世)に出す直前に後付けで検証し、良かった事実だけをピックアップして、それを理由(エビデンス)に、我々の仮説は正しかったものとして、市場(世)に出してしまうことです。

取り急ぎで後付けの仮説検証行為は、何の役にも立ちません。

●企業担当者・開発者の悩み
いつもユーザー検証をしてから市場(世)に出しているのに、なぜユーザー評価が良くならないのだろう?と言う人を時々見かけます。

時間やコストの都合で、できる範囲でやっているが…という人もいます。
しかしそれは、
開発者視点での悩みではないでしょうか?

ユーザー視点で真のユーザーの課題を発見・改善しているのでしょうか?

●正しく進めるには
今までの取組み方に問題があるかもしれません。
UD知見があり、ユーザーの課題抽出や検証を豊富に経験しているUDコーディネーターに相談してみましょう。

きっとより良い取組み方で、最適な製品・サービスを市場(世)に出すことができると思います。

また、企業ブランドの共通理解のために、UDコーディネーターと企業担当者が対話を続けることも重要なポイントです。

UD coordinator continues to improve products and services with the concept of universal design as an aspiration.
Generated by DALL-E3.

Think Universality.Think Difference.


m.m

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