【1】清酒? 日本酒?
清酒と日本酒、私は意図的に使い分けていますが、皆様如何でしょうか。
紙でもウェブでも、大半の読み物は「日本酒」で記載していますね。先日発売された「dancyu」3月号も目立つ表記は「日本酒」です。
え、清酒と日本酒って同じものじゃないの?
答えは「NO」です。
正確には「清酒のうち要件を満たしているものが日本酒」です。
以下、酒税法上での定義に則ってお話しします。
日常会話で使う分には「清酒≒日本酒」で問題ありませんが、法律的には一致していないのでご注意ください。
これ、昔は同一のもので、商品への表示もどちらでも良かったのです。しかし、2015年12月に地理的表示(GI)として「日本酒」が指定されたため、清酒≠日本酒(数学的には「清酒⊃日本酒」になるのかな)になってしまったのです。
地理的表示(GI)についてはいずれ触れますが、これは海外で造られている、清酒ですらない粗悪品まで「日本酒」と名乗り、海外で売られているのを牽制したカタチです。
sushiという名前だけど、和食とすら呼べない酷いシロモノが出されているように、酒の世界でも同じことが起きていると思ってください。
今は海外できちんと造られている素晴らしい清酒も増えていますが、上記の縛りがあって、英語で表現するときや翻訳するときは大変みたいですね。
清酒=sake、日本酒=japanese sakeとのことですが…。
清酒のうち、「原料の米に日本産米を用い、日本国内で醸造したもの」のみが「日本酒」を名乗ることができます(以下のリンクに国税庁が示している「『清酒』と『日本酒』について」というPDFがあります)。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/chiri/pdf/0020006-141.pdf
名乗ることができる、なので要件を満たしていれば従前のように「清酒」「日本酒」どちらを使用しても差し支えありません。
原料米の産地および製造場についてはラベルに記載の義務がありますので、確認してもらえば間違いありませんが、「清酒」表示している商品は海外産の米使用または海外製造の酒だ、ということではないのでご注意ください。
以下余談ですが、海外醸造の清酒について、日本酒と区別するために「クラフトサケ(SAKE)」と書いているメディアがあります。
しかしもう一方で、清酒の製造免許の新規取得が困難なため、どぶろくなどの「その他の醸造酒」を造っている国内の醸造場の製品についても「クラフトサケ」と呼ぶメディアがあります。
国税庁の見解は「清酒=sake」なので、後者に対して「サケ」の表現を使っていいのか? という疑問があります。海外で清酒(およびその醸造法で造られたものを含む)にフレーバーを加えたものも同様で、”清酒様の清酒ではないもの“に厳密に言語対応しようと思うと非常に面倒です。
まぁ日本語の「酒」は酒類全部含めると考えると、「クラフト酒(さけ)」なら良いのか…? 少なくとも日本語では。
最後は少し話が逸れました。
次回はそもそも「清酒」とは? というお話をしたいと思います。
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