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歯の寿命は意外に短い!歯を長く残す方法はこれ!かも… 


歯を長く残すにはどうすればいいの?
これに対する歯科医師のアドバイスは、大概しっかり磨け!
細菌感染が歯を失う原因第一位なので分からなくもない。
でも
そこから一歩踏み込んで、歯を長く残す方法について考えてみた。

歯は50歳で1本無くなる!

「80歳になっても自分の歯を20本以上持とう!」をスローガンに日本歯科医師会と厚生労働省が推進してきた8020運動というものがあります。
20本以上歯があれば、何でも咬んで食べることができるという報告をもとに、平成元年(1989年)から展開されてきた運動です。
8020達成者の割合は毎年上がっていて、平成28年(2016年)の調査では51.2%にまできました。
一方で、平成11年(1999)の歯科疾患実態調査では歯の寿命の調査もしており、それによると長いものでも、
下あごの犬歯で男性66.7年、女性で66.2年となっています。
寿命が短いのは
左下第2大臼歯で、男性50.0年、女性49.4年となっており、
歯は50歳で奥歯から無くなっていくようです。
厚生労働省の集計によると2020年の日本人の平均寿命は
男性が81.64歳、女性が87.74歳となっていますが、歯の寿命はこれほど長くありません。
歯の寿命は肉体の平均寿命よりはるかに短いのです‼

歯が無くなる理由はこれ!かも…

1.かみ合わせ

良いかみ合わせとは、前歯で咬み切り、奥歯で潰すという役割分担がしっかり出来るものと言えます。
歯が長持ちしている8020達成者のかみ合わせを調査した結果から、どんなかみ合わせだと歯が長持ちするのかが見えてきました。

分かりやすい指標となるのが、この2つ。
頬っぺたを引っ張って、真横から前歯を眺めて下さい。
①    オーバージェット:真横から見た上の前歯と下の前歯の水平的な距離
②    オーバーバイト:真横から見た上の前歯と下の前歯の垂直的な距離 

理想的な前歯は①②ともに+2~3mmです。
この形だと前歯と奥歯の役割分担がしやすいのです。
8020達成者のオーバーバイトの平均は+4mm、オーバージェットの平均も+4 mm前後であったとのことです。
やはり理想に近いかみ合わせが歯を長持ちさせる条件かもしれません。

逆に8020達成者に見られなかったかみ合わせが、受け口と開咬でした。
受け口の場合オーバージェットが-に、
開咬の場合オーバーバイトが-になるので前歯が使えません。
前歯が使えないと、何をするにも奥歯を使うことになるので奥歯からダメになっていくのでしょう。
推測の域を出ませんが、前歯で咬み切れないと奥歯を失うリスクは上がるのではないかと思います。
過剰な出っ歯や、下の前歯が一切見えない過蓋咬合(かがいこうごう)も8020を達成しにくいのではないでしょうか?
もしそうであれば、矯正歯科治療によって前歯の位置関係を正常範囲に変えるという方法が、奥歯を長持ちさせる面からは有効のように感じます。

2.当たり前だが細菌感染

誰もが思いつく、歯を失う理由は虫歯と歯周病という「細菌感染」でしょう。
我々の歯はペリクルという薄い膜で覆われているのですが、ここに細菌が吸着して増えていくことで歯垢(プラーク)になります。
ですから歯垢は、細菌のかたまりです。
その細菌の中にむし歯や歯周病の原因菌がいるので、当たり前の話ですが、正しいブラッシング技術を身に着けて、歯垢をしっかり除去することが歯を長く保存することにつながります。

3.歯ぎしり・食いしばり

知らない方が多いのですが、
歯はふつう、上の歯と下の歯は離れているものです。
使うときだけ接触するのが理想です。ですから歯に異常な力のかかる歯ぎしりや食いしばりは歯の保存にとってはマイナスなのです。
犬歯の先が削れている方、その傾向ありです。
歯ぎしり・食いしばりはなかなか止められないのですが、
無意識だから…を言い訳にしないで、奥歯を1ミリ離すことを意識してみましょう!

明日、歯医者へ行こう!

奥歯を守っていくことが8020達成者になる近道のようです。
そのための方法は、矯正歯科治療により前歯で咬み切れる状態を作ること、細菌感染の予防、歯ぎしり・食いしばりを防止する意識、かも…
矯正治療は骨の中で歯を移動させるという治療の性質上、歯を支えるあごの骨がしっかりしているうちに始めるのが理想です。
昨今、矯正治療は美容面が強調され過ぎて、前歯を並べる手法ばかりがクローズアップされていますが、歯を長く残すためには前歯と奥歯の役割分担という機能面にも目を向けることが必要です。


参考文献
後藤真人:成人歯科保健の指標としての「噛めかた」の検討(第2報)口腔衛生会誌37:444-445.1987.
新庄文明,他:歯科保健センターを基盤とした南光町における成人歯科保健事業.日本歯科評論530:170-175.1986.
平成11年 歯科疾患実態調査
平成28年 歯科疾患実態調査
吉野浩一,他:成人の歯の喪失の初発現部位.口腔衛生会誌51:258-262,2001.
茂木悦子:矯正歯科治療がめざす咬合にヒントとなる8020達成者の咬合の観察より.クインテッセンス出版:80-93,2018.

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