見出し画像

他責型人材を見捨てない

“他責型人材は、変われると信じ切る”

人のせい、環境のせいにしてしまう人、いわゆる他責型の思考習慣がある人は、果たしていつまでも変われないのでしょうか。この問いに対する答えは人それぞれですが、僕は何度もお伝えしていますが以下のように考えます。

「人はいくつになっても変われる」

これが揺るぎない僕の信念です。では実際にどうしたら変わっていってもらえるのでしょうか。その話に入る前に、他責型の思考というものを定義しておきます。分かりやすくするためにいくつか分類してみました。

①自信過剰タイプ
・ここまで言っているのに、
 なぜ分からないんだろう
例)仕事の仕方を教えたけど、
  何回もつまずく部下を見た上司の気持ち

・正しく伝えたのに、どうしてそんな
 理解になるんだろう
例)15時で約束したのに、相手が
  5時だと勘違いした時に抱く気持ち

②悲劇の主人公タイプ
・こんなに頑張っているのに、
 何で協力してくれないんだろう
例)自分の抱えている案件が多くて、
 周りはさっさと帰宅した時の気持ち

・何で自分ばっかり落ちているゴミに
 気づくんだろう
例)清掃時間以外に、応接や水場周りの
 ゴミを片付けている時に抱く気持ち

③環境が全てタイプ
・あの人は評価されているけど、
 結果を出しやすい環境にあるからな
例)同期や同僚の抱えている事業で
 利益を生んだ時に感じる気持ち
・自分が勉強を頑張れなかったのは、
 良い先生に恵まれなかったから

どうでしょうか。これらの状況を見たときに思い当たる人が浮かぶでしょうか。他責型といってもいくつかタイプがあり、どれか一つでも思考の癖があてはまったら注意が必要です。

ちなみに僕は社会人3年目までこの3つのタイプの全ての思考習慣を持っていました。我ながらとんでもない人材です。

僕自身が自責型の人材になれたきっかけと、その後マネジメントでも実際に実践して確信を得た取り組みをこれから紹介していきます。

私のように他責から自責型の思考習慣に変われて、人生を好転できる人が少しでも増えて欲しい。

“一対集団で発信すべきこと”

退職を選択する人の理由は、今も昔も上位に「人間関係」が入ります。人間関係をコミュニケーションのすれ違いと捉えて、メンバーには以下の比喩表現について考えてもらいます。

これから2つの文を記載するけど、〇の部分には皆さんの家庭の中にある物漢字一文字が入ります。ぜひ、考えてみてくださいね。

物事が良い状況にある時は〇を見る。
物事が悪い状況にある時は〇を見る。

いかがでしょうか。〇に入る漢字は思い浮かんだでしょうか。家の中にある漢字一文字なので、実際にセミナーでクイズとして発問するととても盛り上がります。残念ながら記事ではやり取りができないので、答えを提示します。

物事が良い状況にある時は「窓」を見る。
(周りの人々のおかげ)
物事が悪い状況にある時は「鏡」を見る。
(自分ごととして捉える)

これだけを読むと、ふむふむと思える人も多いでしょう。でも世の中逆の人が多い。逆にするとどうなるでしょうか。

物事が良い状況にある時は「鏡」を見る。
(自分の手柄)
物事が悪い状況にある時は「窓」を見る。
(周りのせい、環境のせい)

年末の忘年会で新橋の酔っぱらいの映像が流れ、インタビュー時に気を良くしたサラリーマンが「上司のバカヤロー」と叫ぶ姿。これは悪い状況のときに「窓」を見ている人の典型です。

話を自責に戻します。自責の定義は以下に示す通りです。

責任の所在の観点を外してすべての状況は自分が作り出していると捉えること

ポイントは責任の所在という観点を外すこと。教育現場で例えると、生徒が授業中に寝ている状況を作っているのは自分ということになります。つまり授業の組み立てに工夫の余地があり、眠くならないような話の引きつけ方を身につける必要があることから自己の成長につなげるという捉え方です。

でも寝ている生徒の中には夜中まで起きていた人や、遅くまでアルバイトをしていて肉体的にも限界という人はいます。だから誰が良い悪いに目を向けてしまうと自分の授業は悪くない、生徒の生活習慣が悪いんだと言い出しかねません。

しかし、この状況を作っているとしたらという観点で捉えると、夜中まで起きていた人ですら起きていたいと思える授業をするにはどうしたら良いかという前向きな力を取り戻せます。

次に示すような場面に遭遇したら、自責型の態度で捉えるとどうなるでしょうか。

①「何回言っても、この企業は違った商品を納品してくるんです」
→依頼の仕方、注文書の書式、商品を受け取った時の指摘の仕方等工夫できる

②「後輩に指導しても全く響いてないんです」
→普段の信頼関係なのか、伝え方なのか、教える方法等を工夫できる

③ファミリーレストランで注文した料理と違うものが届いた
→写真を指差して注文するのか、復唱をちゃんと聴く等工夫できる

“この状況を作っているのが自分だと捉えると、打つ手が浮かび続ける”

先程の例には全て「等」という言葉が入っています。一つの問題に対して打ち手は一つではないことを表し、打ち手が浮かんでいる間は相手のせいにしないで済むということが分かります。つまり、相手のせいにするストレスを減らすことができるのです。

自責型の態度で物事を捉えられるチームになるためには会議などの一対集団の場で、これまで述べたような価値観を「メンバーのストレスを減らす為」という大義で何度も発信していきます。

それでも他責型の思考癖が変わらなかったら、自責の姿勢で捉えて伝え方を工夫し、手を変え品を変え何度も発信していきます。

メンバーに変化が訪れない様子をリーダーが自責の態度で捉える姿勢を見せていたら、その姿に影響を受けるメンバーが現れ始めて少しずつ変化していきます。

次に1on1で取り組んでいく時に必要な態度を提示します。

①まずは先に愛する
②長所を見つける
③信念を持つ

①、②、③と表現しましたが、これらは全て並行して行う必要があります。どういうことか次から順番に説明していきます。

①先に愛する

他責型人材との1on1は育成側の器が試されます。例えば、人事評価を伝えるときに「今年はこんな状況でしたので」「一緒に組んだあの人とは合わなかったので」という発言が飛び出してきます。

その時に、苛立った感情から「いつまでもそんな発言をしているから周りから信頼されないんだ!」と発言してしまったら成長を促せないばかりか、育成側の信頼も失ってしまいます。

そこで僕は他責型人材との面談に入る前には頭の中で、「何言われても愛す!」と10回唱えてから入室します。「私はできる」と何回も宣言するアファメーションに近いかもしれません。そうすることで他責の発言を聞いても相手のストレスを除きたいという感情が働き、相手の為を想った反応ができます。

他責型の人材であっても、先に愛することでどんどん愛せる人材に変わっていってくれた経験が多数あります。

話し手の目的が「相手に分からせるため」から「相手のため」に変わると同じ内容を伝えるのにも、「ここは信頼をしているから」等のクッションフレーズを挟む余裕が生まれます。

さらに信頼関係を結んで1on1を効果的にするためにも、相手の良さを見つける必要があります。そのため②の視点について触れていきます。

②長所を見つける

突然ですが、以下の記号を見てどこに視点がいきますでしょうか。

画像1

多くの人は欠けている部分に目がいったのではないでしょうか。
長年行っている視力検査のせいだけではありません。

意識しないと人は、欠けているところに目がいきます。

″美点凝視を体得しているか″

教育業界ではよく使われる言葉、美点凝視。人の短所ばかりに目を向けるのではなく、長所に目を向けようという意味合いが込められています。

人を指導する役割にある人で、人の欠点を見つけることが得意な人と人の良いところを見つけることが得意という人に分かれます。

でも人の良いところを見つけることが得意という人は、実は悪いところだって見つけられています。それでも尚、良いところに着目する姿勢を持っている人こそが美点凝視という姿勢を持っているのです。
ただし、良いところを見つけるには次の態度も必要になります。

③信念を持つ

″良いと認めるには、自分にとって何が良いことなのか知る必要がある″

ゴミを跨がないという信念がある人は、通りすがりに事務所に落ちているゴミを拾う部下を見て「素晴らしい姿勢だね」と長所を見つけることができます。

簡単なことを妥協しないという信念がある人は、どんな電話の伝言にも必ず先方の連絡先を記載している人を見かけると「いつも徹底していて素敵だよね」と思えます。

自社の評価基準以上に人としての美学をたくさん持っていると、その数に応じて人の長所をよく見つけられる人になることが可能です。

他責型の人材に変わってもらうためには、先に愛します。愛すると相手の納得感を得られる伝え方ができて、伝わり方が変わります。愛するためには相手の課題だけでなく、長所を見つけられる視点が必要になります。長所を見つけるためには、育成側に人としての信念が必要になり、信念が複数あれば相手の良さを見つけられます。

他責型の人に自分の考えを理解してもらおうと思ったら、先に相手のことを理解する必要があります。そして理解するためには繰り返しになりますが、先に愛します。

他責型人材に悩んだら、1対集団での発信の継続と1on1に臨むことで諦めずに向き合っていきましょう。

「人はいくつになっても変われる」

続きはまた違う記事で。お読みくださり感謝。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リーダ―育成・事業再生コンサルタント

本間 正道
Email: playbook.consultant@gmail.com
twitterID:@masamichihon

amazon.co.jp/dp/B08BDYYN8H/

https://note.com/sanctuary_event/n/nc67ae420937f


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

よろしければサポートをお願いいたします。御恩は忘れません。頂いたサポートは、多くの人材が再び輝く日本にしていくための活動に充てさせていただきます。