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当事者意識を持てない人は、当事者にせよ

“評論家にはボールを持たせる”

自分ごとと捉えよ、当事者意識を持ちなさい、人として成長していくために、社会で求められる姿勢の一つ。「当事者意識」

僕も御多聞に漏れず、新入社員の頃に当事者意識の重要性をたくさん教わりました。でも蓋を開けてみると、会議の中で案件者に対し「この場合どうしますか?」と聞く人が多いことに違和感を覚えます。

一生懸命代案を考えた末でのこの質問であれば良いのですが、その表情からは最初から思考を案件者にゆだねている様子です。

若手の頃にこの空気に危機感を感じたのを強く覚えています。なぜなら案件者に対して思考を委ねる習慣が身についてしまうと、人数が多い部署では自分が受け持った仕事の経験値しか得られないのに対して、人数が少ない部署でスタートした同期は多くの経験値を得てしまうと思ったからです。

そのことに気づいた後は、誰かが会議中に案件者に質問する度に、自分が案件者として同様の質問を受けたら何て回答するだろうと常に脳を働かせた状態で会議に臨むようにしました。

そうすれば人数が多い部門では反対に、人が引っかかるポイントや、案件者の回答に関する自分との差異など多くの人の価値観を吸収できるメリットがあると考えたからです。

ここまではプレイヤーとしての当事者意識の重要性を示した例になりますが、マネジャーとして事業部を受け持つ上で壁が現れることになります。

“理屈で態度を変容できる人は少ないという現実”

会議で意見を述べるなら、代案を出せ、たまに見かける会議での臨み方。これは代案を出せないのであれば意見を述べるなということが本意なのではなく、案件者だけでなく全員でより良くしていこうという当事者意識の重要性が意図されています。

理屈で腹落ちできたら態度を変容できる人にとっては、正直、この一言に出会うだけで当事者意識が芽生えることは可能です。自分が案件者に質問する時は、自分も同じ質問を受けたらどう回答するか先に考えてから手を挙げます。そうすると相手の経験値も吸収できるよ、自分はこのような理屈で考えていました。

でも多くの人は理屈で態度を変容できるわけではありません

概論が続いたので、実際にあった例を共有いたします。

僕は新卒として配属された部署の他に、マネジメントの役割を担ってからは異動して兼務を含めて6つの事業部を担当してきました。勤務先が全国規模の大手学校法人であることから、6つの事業部とはすなわち6つの学校になります。

マネジャーとして着任して、私がまず必ずすることは毎週の会議にて自分自身の価値観をメンバーに発信していきます。価値観の8割は好き嫌いで構成されると一般的に言われていますので、つまりは僕の好きな仕事の姿勢を共有していきます。

そうすると日ごろから関わりの多い常勤職員=担任が対象なので、質問の仕方も質問を聴いている側も当事者意識を持つように変容してくれます。

ただ、学校運営には常勤職員だけではありません。主に授業を担当する講師の存在。講師に対しては年に3回の全講師を集めた会議と、日ごろのコミュニケーションでしか僕の価値観を共有できません。

価値観を浸透できないことの弊害で一番顕著に表れるのは、生徒の成績のつけ方になります。

僕は講師に対して自責の態度を求めます。既に別の章で述べている通りですが、生徒が授業中寝てしまうのは教科担当の責任と考えます。補足すると完全に講師が悪いと思っているわけではなく、結果に対してどう工夫したら良いかという姿勢さえ持っていれば一緒に働く仲間として信頼します。

しかし、着任したばかりの事業部では自責の風土が形成されていないことが多いです。中には欠席者が多いことを担任のせいにして、担任に詰め寄る講師もいるぐらいです。こういった事業部を変える手立ては以下の3つです。

①マネジャーが自身の言葉で価値観を発する

前述した年に3回しかない全講師を集めた会議。これをたかが3回と捉えるか、されど3回と捉えるか。トップから発せられた全社的な方針をただ伝書鳩のように伝えることに機会を使ってしまうのは、価値観を浸透する上で大きな機会損失につながります。

全体の場で自身の価値観を発信しておくことは、個別で相談を受けたときに返す言葉の布石になります。この場合の例で言うと、教科の出欠席の責任は教科担当にあるという価値観です。魅力的な授業であれば、生徒は率先して参加するという理想論です。

②朝礼で唱和する

社内で立案したクレド(信条)を唱和するだけの朝礼は時に批判されることもありますが、朝礼の位置づけによって運用が変わります。その日一日頑張るぞ、という士気を上げるためのものならば違った運用になるでしょう。この時の目的は、価値観の浸透にありました。そのため唱和するだけの朝礼も、唱和していくうちにクレドに共感していってくれる講師が出始めましたので目的とした成果は得られていました。

③発信者にする

私が着任前の成績を判定する会議では、生徒の欠席状況や遅刻の状況を担任が講師に説明を行っていました。この状態では、生徒の出欠席に講師が当事者意識を持てないのも無理はありません。

そこで第1回の会議から今年度末の成績判定会議では教科担当の責任として、その教科の生徒の出欠席の状況について出席率を高めるために何をしたのか、習熟度を高めるために担任とどんな連携を取ったのか、講師に説明をしてもらうと発信してきました。

その結果、その年の年度末の判定会議においては、講師側からも自責の発言とともに状況説明がなされる事業部として生まれ変わることができました。これは、1つの事業部だけの例ではありません。これまで受け持った6つの学校全てで起きた変化です。

まとめると、表題に示した「当事者意識を持てない人には、当事者にせよ」は、意識を簡単に変えられない人は発信の仕方や内容だけでなく、仕組みを変えて発信者として巻き込むと、当事者にしていくことができるということです。

続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。

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リーダ―育成・事業再生コンサルタント

本間 正道
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