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あわよくば精神を許さない

“責められる程でもない遅れは早めに芽を摘む”

会議や会食のスタート時間に1、2分遅れて参加してくる人。または職場の朝礼に、他部署の人間と打ち合わせをしていたという言い訳で1、2分遅れて参加してくる、本人は少しはにかみ、少し申し訳なさそうな顔で。

このような1、2分の遅れを見逃すと1、2分なら許されるのかという空気を生むだけではなく、真面目に時間を守る人の意識も堕落させます。そして、細部にこだわらないこれらのずさんな意識は、いずれ大きなリスクへとつながっていきます。
危機管理におけるハインリッヒの法則をご存知でしょうか。一つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。

これはマネジメントにおいてもあてはまります。今回の1、2分の遅刻は例ですが、これも言ってみれば異常の一つです。これが許されることで、そのうち電話の取り次ぎのメモを残す基準が甘くなっていきます。
例えば初めは「電話があったことをお伝えください」という電話も不在相手にメモを残していたのに、そのうち「折り返しお電話をください」という電話しかメモを残さなくなっていきます。
プレゼン資料に誤字脱字が目立つようになります。
コスト意識がなくなり、ペーパーレスや両面印刷で経費削減できるところを片面印刷で済ますようになります。
社用携帯を私用に使うのです。
会社のパソコンで仕事中に甲子園の経過を調べるなど、軽微な異常は一つを許すと芋づる式に膨れ上がっていきます。
これらの社内の軽微な異常が最終的にどこにしわ寄せがいくかというと、顧客です。本来大事にすべきお客様に多大な迷惑を掛けてしまう大元の原因は、多くが普段のずさんな風土にあります。

“責められない程の過失を見逃さない”

あわよくば、社内の決まりを少し逸脱する、そのような思考の癖を無意識に持つ人が多い事業部は、本来上司にすべき報告を怠り、上司も無頓着であることから納品すべき日程に製品が間に合わないなんてことも珍しくありません。

“あわよくば精神を蔓延させないために必要なこと”

事業部に浸透したい風土と、解消したい風土では取り組み方が変わります。
1、2分の遅れが許されるという風土は解消したい、その場合、教育現場での知見が有効となります。
教育にはクラスの風土を形成する上で、事前指導、現場指導、事後指導の3区分があります。
この中で一番大事なのは事前指導。
集団を率いるリーダーとして、どんなチームでありたいか方針を発信します。これは、その場の指導、事後指導で納得感を生むための布石の役割も担います。
例えば、提出物を締め切り日までに提出できる風土をクラスに形成したい場合。
事前指導では、提出物を締め切り日までに守る意義を発信します。意義の伝え方は複数。
社会人になるために必要な姿勢を今から身につけよう。
締切を守れる計画性を身につけよう。
小さなことを妥協せずに守れると、自信を身につけられるよ。

動機付けは様々です。これらに加えて、以下のように布石を打ちます。
ただし、卒業後皆に損をしてほしくないから締切を守れなかった時には皆の為に厳しく指導させてもらうよ。
そして迎えた締め切り日当日。設定した日時に提出を5分遅れてきた生徒が生じた場合の指導で、その後のクラスの風土の明暗が分かれます。
クラスメイト皆の前で凛とした指導ができる教員のクラスは、その後の提出物は乱れることはありません。担任の覚悟が伝わるからです。反対に5分程度だし、初回だからという認識で軽く流すとその後、他の生徒も締切を守らなくなります。果ては清掃もさぼりだし、欠席者が多くでるクラスへと変わっていきます。この担任の言うことは守らなくてよい、真面目に守ることは馬鹿らしいという風土が作られるためです。

ではどうしたら、その場の指導を凛とした姿勢でできるのでしょうか。必要なのは覚悟。言ったからには、本気でここにはこだわりたいという姿勢を示せるかどうかです。指導の仕方は凛とします。

“どんな指導方法があるか”


凛とした指導といっても、相手の反省度合いで取るべき選択肢は複数あります。

①相手に反省の色が見られなかった場合、全員の前で叱責する
 その後、個別面談の機会を設けフォローする。
②相手に反省の色が見られ、全員の前で注意する。
 その後、個別面談で諭した後、本人の納得を得た後にチームの前で今後は
 繰り返さない誓いを立ててもらいます。または立てたことを共有させてもらいます。
③相手に反省の色が見られ、全員の前で叱責し、その場で普段頑張っている様子を褒め、もったいないから次回から気を付けようと赦しを与えます

これらはあくまで指導例です。ただ、悪手は分かります。軽く注意するだけ。本気度が伝わらない指導は、リーダーとしてふさわしい態度とは言えなません。

対大人のマネジメントも同様です。
後々の苦労を減らすためにも、事前指導、現場指導に注力します。

“あわよくば精神を許さない”

事業部の風土を乱さないために、事前指導、そしてその場の指導を大事にします。
この姿勢に似た態度を製造業では「フロントローディング」と呼びます。
語源はフロント=「前に」「ローディング=負荷をかける」という意味でです。
製造業界で使われた場合、製品開発や設計という初期段階で品質の作り込みを綿密にするという意味になります。翻訳すると、初動に労力をかけることを惜しむと、取り返すのに後で何倍も労力がかかるという原則になります。

これは誰もが経験あるところ。例えば雪かきはため込むと大変だけど、都度行うと短時間で済みます。ゴミ捨ても同様。都度行えば一回で済むところを、ため込むと往復が必要であったり、重たくなります。
事業部の風土を保つ努力も、普段が大事。その都度タイムリーに自分の信念を発信できているか。責められる程でもない過失を見逃さないでいられるか。
あわよくば精神を許さない、その覚悟を持ちましょう。

続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。

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リーダ―育成コンサルタント

本間 正道
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