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向いている、向いていないで悩む部下にどう話す?

“職業の向き不向きという言葉の弊害”

僕はこの職業に向いてる、向いていないという言葉が好きではありません。

なぜなら、この言葉があることで適性がある、無しという考え方がどうしても浮かんでしまう人がいるからです。

言葉を定義づけたり、自分の感情を表現できる語彙力は大事だけど、ときにその言葉があることで諸刃になる懸念があります。

例えば発達障害支援法が平成17年4月に施行されて以降、それまでの年に比べて飛躍的に発達障害と診断される人が増加しました。その良し悪しを取り上げたいわけではありませんが、発達障害という言葉が認知されるまでは個性的だと見られていた人が少し人と違う言動を取ったら、空気が読めない、もしかしたらグレーゾーンなのではとささやかれるようになりました。

フランス人にとっては蛾も蝶もパピヨンと表現されます。つまり、僕達日本人にとっては春の風物詩である蝶の出現も、フランス人にとっては蛾と同じ捉え方なのです。

どんな言葉を紡ぐかによって、捉え方が変わります。言葉の影響がいかに強いかが分かる例ですよね。

話を本題に戻すと、職業に向いてる、向いていないという言葉や、適性という言葉がいつ生まれたのかは分かりませんが、間違いなくその言葉を知っていたがために、もう少し続けたらきっとやりがいを得られるというステージに行く前に、自分は向いていないと途中で辞めてしまう人がいます。

苦手なことも、精神的に負荷がかかることも、どうしようもないくらい失敗をしてしまったことも、やり続けるうちに適性は生まれてきます。

僕の話を例に挙げてみます。

“明らかに職業として適性がなかった教員になって”

僕は教員になりたての頃、プリントを配る手に生徒の注目が集まるだけで手が震えていました。何とか震えを隠して、生徒にプリントをまわしても後列に座る生徒から「足りませーん」と言われる始末。生徒が黙って僕の手元に視線を集中させている時の教室の換気扇の音を今でもはっきりと覚えています。

授業の前は必ずトイレに行くほど緊張しました。人を正せるほど信念もありません。叱ることも下手で、納得感を与えられませんでした。そしてとにかく授業が下手でした。

他の先生にあなたとは二度と仕事を一緒にしたくないと言われるほど、人格も伴っていませんでした。

もし、当時の自分に教員に向いている、向いていないという概念があったら間違いなく向いていませんでした。

しかし幸いにも向いているか、向いていないか悩むほどの時間に余裕がなく、とにかく反省と改善の毎日を繰り返しました。すぐに結果を出そうと苦しむ時間も惜しんで、いつか花を咲かすために全てを経験に変えていきました。

そうすることで、今では当時考えもつかなかった強みを開発できています。

長所進展法や、強みを生かすという言葉も、できることだけやっていくと曲解する人がいます。

苦手なことをコツコツと続けていたら、自分でも気づかなかった力が開発できるという体験ができなくなってしまうのです。

100回叩いて壊れる扉を多くの人は99回まで叩いて諦めると言われるけど、叩き続けられる人であって欲しい。

人に向いているか、向いていないか聞かれたら、そんな言葉は無い、と答えたいのです。

“なぜ、向いている、向いていないという言葉が危険なのか”

もしこの仕事に向いていないとか、失敗続きで悩む人が現れたら、その人は「短期的な成果」を求めてしまっている傾向にあります。

今は何でも見える化されてしまう時代。定量化できるデータは社内に共有されています。僕のように何年も失敗して成果が出せなくても、事業部内だけの情報で留まっていた時代とは異なり、今の若手は結果が多くの社員の目に触れる時代に生きています。

そうなると、どうしても短期的な成果を出そうと焦るあまり、職業への適性を早いうちから考え出してしまいます。そんなときに事業部のマネジャーとしては、自身の失敗談を惜しげもなくさらすことができ、若手社員を長期的な視点に立って導いていける姿勢が必要になるのです。

若手社員が熟していくことを待つことができる風土。これがあるのとないのとでは、毎年採用に悩まされるのか、どんな社員も輝きだすのか大きな分かれ目になりそうです。

続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。

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リーダ―育成コンサルタント

本間 正道
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