「多文化主義?? 非現実的です」
下の動画は2年前のHarano TimesさんのYouTubeですが、短いながらも非常に本質を突いているのでご紹介します。語り手はジョーダン・ピーターソンというカナダの心理学者で、「生き抜くための12のルール」という著作で有名です。曰く、
・共通の枠組みや土台となる価値観がないのに、すべての文化を1つの場所にまとめるなどと言うのは非現実的。
・多くの人が同じ場所で調和を保ちながら一緒に生活するには、誰もができて、誰もが知っているルールを導入しなければならない。10通りの異なるルールを設定しても意味がない。そんなのは極めて甘い考えである。
・多文化な環境で市民全員が「共通文化」を持ち、それに「個別文化」をプラスするという意味ならわかる。つまり共通のアイデンティティがあって、その上に個別のアイデンティティがあるという構造。
・日本を例に言うと、日本国で「日本人」としてくくるなら、その日本人を結びつけるもの、例えば価値基準、その認識や価値基準を共有できる枠組みの中で活動しない限り、「平和的に」協力したり「平和的に」競争したりすることは無理。集団生活をするなら当然のこと。外国人が日本に来て(個人的なことはともかく、社会的なことで)「自国の生活習慣に合わないから日本の生活習慣(含、法)変えろ」というのは本末転倒である。皆が自分の文化だけを守るなら当然戦争になる。
・アイデンティティ政治(主にジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティに基づく集団の利益を代表して行う政治活動)というが、理念では例えば「白人、黒人誰もが共存できる世界」を唱えても現実はそうなっていない。
⇒それは「個別分化」のみを主張しているだけで、共同体に本質的に必要な「共通文化」を無視しているからである。そんな議論は共同体の中で成り立たない。無人島生活や共同体化されてない烏合の衆ならいざ知らず、共同体の中で生きるなら、基本的に共通文化は個別文化に優先する。その共通文化が曖昧になり又は破壊され、認識が弱まっていることが問題である。
・アメリカはアイデンティティ政治に基づいて建国されてはいない。アメリカは英国での民主主義の発展に大きく寄与した原則に基づいて建国され、それはユダヤ・キリスト教の価値観「男も女も神の形に作られ、すべての人は神聖な価値をもつ」というもの。どこにも(今いう)アイデンティティなどない。ただ問題は、人間の悲しい性もあり奴隷制度や女性の参政権などの問題があったため、この価値観を政治の中で具現化するのに時間がかかっていることだが、この建国の原則は変わっていない。
◇日本でも多様化が話題になっていますが、それがうまく行く前提条件は何か?多文化主義はなぜあり得ない概念なのか?アメリカのアイディンティポリティクス(身分政治)の問題:(Harano Times:2022/02/21)