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インドでヒットしそうな 日本の外食チェーンTOP3

今回はインドでヒットしそうな日本の外食チェーン(勝手に)TOP3について書いてみたいと思います。

TOP3の選定基準は、私が日本でインド人の友人や同僚と日本で外食したときの経験、インドの人々の食事情をベースとしています。

これまで私は、日本に住んでいるとき、日本に住んでいるインド出身の同僚や友人と、仕事終わりの飲み会や、東京案内の際に、外で食事をする機会がありました。目的は様々ですが、おそらく計30~40回ほどは、外食をしています。

日本のファミレス、居酒屋、ファストフードなど、様々な店で共に食事をする中で、彼らに聞いた日本での外食事情や、実際に一緒に食事をして高評価だったところを中心に、挙げていきたいと思います。

ヒットしそうな理由、インド進出に際しての課題(素人目線での勝手な予想)も合わせて記載します。

選定基準は完全に独断ですが、インドの方々の視点を基にピックアップをしたので、外食チェーン関係者でインド進出を考えている方日本にインド人の友人や同僚がいる方で食事どころに困っている方がいたら、ヒントになれば嬉しい限りです。

インドに進出済みの日系外食チェーンは?

現時点でインド進出済み(予定)の外食チェーンは、どのくらいあるのでしょうか?

2022年2月時点でインドに進出している日系外食大手は、
すき家Coco壱番屋の2社のみ。

・すき家
ゼンショーホールディングスが運営する「すき家」は、現在デリーに2店舗を展開。2020年2月、デリーのショッピングモールのフードコードに第1号店をオープン。2021年には、同じくデリーの商業施設内に第2号店をオープンしました。

インドでは人口の約8割を占めるヒンドゥー教徒のほとんどは、牛肉を食べないことから、牛丼ではなく「鶏肉」をメインにした丼ぶりメニューを展開しています。ベジタリアン向けメニューも展開、値段も1杯あたり 200~500ルピー (350~750円)と、インドにある外資系外食チェーンと大体同じくらいの料金設定になっています。


・ココイチ

「Coco壱番屋」は、2020年8月にインド・グルガオンに第1店舗目をオープン。日本式カレーが本場インドにウケるのか?と日本、インドのメディアが注目し報道していました。すき家と同様、肉入りのメニューはは鶏肉中心のもの、ベジタリアンの人も食べられる動物性原料が入っていないルウで作ったカレーも揃えています。現地在住の日本人、インド人のお客さんで賑わっているようです。

ちなみに、過去にインド進出するも閉業したところも。

・吉野家
吉野家ホールディングスは、日本の外食大手としては初めてインドに出店。
2018年グルガオンに「BOWL GUYS」という名前で、第一号店をオープンしました。日本の吉野家の看板メニューである牛丼は提供せず、チキンや豚肉、ベジタリアン向けメニュー(豆腐など)を提供しました。
約2年間営業を続けるも、コロナによる外食不振なども影響もあり、2020年4月に店舗を閉業しました。

大戸屋、一風堂、丸亀製麺など、東南アジアや欧米の国々の都市部でよく見かける日本食チェーンは、インドには進出していないようです。

外食チェーンの進出は少ないものの、日本人が多く住むデリー都市圏、ムンバイ、バンガロール、チェンナイなどの大都市には、日本人のシェフや日本滞在経験のあるインド人シェフが、個人で創業されているレストランもあります。

・日系レストランが多い地域
最も日系レストランが多いのはデリー都市圏で、居酒屋、ラーメン、寿司デリバリー、和食レストランなど、幅広いジャンルの日本発のレストランが多数あります。

インドでヒットしそうな外食チェーントップ3

それでは、インドでヒットしそうな日本の外食チェーン、トップ3を紹介します。勝手に”TOP3”としましたが、選定基準は、日本でインド人の同僚や友人と一緒に外食をした際に聞いた感想、訪日経験があるインド人の友人らの評価に基づいて、選定しました。

日本に住んでいるとき、日本に住んでいるインド出身の同僚や友人と、仕事終わりの飲み会や、東京案内の際に、外で食事をする機会がありました。目的は様々ですが、おそらく計30~40回ほどは、外食をしています。

その際に非常に高評価だったお店、彼らに聞いた日本での外食事情を中心に、3つセレクトしてみました。

ヒットしそうな理由、インド進出に際しての課題(素人目線での勝手な予想)も合わせて記載します。

第3位:サンマルク・カフェ

「チョコクロ」で有名なベーカリーカフェ。

都市部とショッピングセンター内に主にビルイン出店し、セルフサービス型カフェでありながら、焼きたてパンを豊富に供給する形態を取る。「チョコクロ」(板チョコを包んで焼き上げたクロワッサン)が代表商品。「チョコクロ」はサンマルクカフェの登録商標である。(Wikipediaより)

理由は以下の3つです。
①インド人にも人気、日本の菓子、総菜パン
②若者に広がるカフェ文化

理由①インド人にも人気、日本の菓子、総菜パン

東京で働いていたとき、インド人の友人とのお茶や、同僚との打合せに、よくサンマルクカフェを利用していました。彼らに好評だった理由は、手ごろな価格で美味しい菓子パン、総菜パンでした。

インドの方々は、甘いチャイをこよなく愛していますが、チャイと一緒に、サモサやサンドイッチなどの軽食を一緒に食べる習慣があります。

スターバックスや、ドトールなど、色々なカフェに行ったことがありますが、インドの方々に特に好評だったのがサンマルクカフェ。特に、チョコクロワッサンや総菜パンが、お手頃な値段で食べられる点を気に入っている人が多かったです。

ちなみに、インドでもパンはよく食べられていますが、甘い菓子パンは少なく、主に食パンやロールパンのようなプレーンな食事パンが多いです。また、インドのパンは全体的にパサパサしており、パン自体の味のクオリティがそれほど高くない気がします。

私の推測ですがパンそのものを食べることは少なく、食パンは主にサンドイッチに、パオはカレー味のペーストと合わせたり(“Pav Bhaji”)、ポテトコロッケを挟んで食べる(“Vada Pav”)のが一般的です。

ヴァダ・パオ(Vada Pav)という、インド版コロッケパン。肉が入っていない、カレー味のポテトが入ったコロッケを、Pavというパンに挟んで食べる

パン自体を単品で食す習慣があまりないので、そこまで高いクオリティを追求していないのかと思います。

日本を訪れた友人や同僚に聞くと、日本の菓子、総菜パンを気に入っているインド人の方は多く、「日本のパンはフワフワしていて美味しい」「インドにあったら売れると思う」と話す方々もいました。

理由②若者に広がるカフェ文化

インドに根付くチャイ文化がある一方で、最近若い人の間では、カフェ文化も広がっています。

インドでは、チャイスタンドと呼ばれる小さな商店が、街のどこにでもあります。小さなカップに入ったチャイを飲みながら一息つく人々は、インドの日常的な光景です。

インドのチャイ・スタンド

一方で、最近は若い人々を中心に、カフェも人気です。

インドの大都市では、様々なカフェ・チェーンを見かけます。
代表的なものに、以下があります。
<インド発のカフェ・チェーン>
・Cafe Coffee Day
インドにカフェ文化を築いたカフェ・チェーンの祖(※1)
Chai Point
(2010年創業、2019年時点で国内100店舗)
・The Third Wave Coffee

<外資系カフェ・チェーン>
・Starbucks Coffee
・COSTA Coffee

都市部の若者を中心に浸透しているカフェ文化をベースに、日本発のカフェとしてインドに進出したらヒットするのはないかと思います。

(※1) Cafe Coffee Dayは、1996年にバンガロールに第1号店を開店し、その後急速に店舗を拡大、2019年時点でインド国内の240以上の都市に1700以上の店舗を構えるまで成長しました。(Cafe Coffee Dayの公式HPより)
インドでは、スターバックス(インド国内約130店舗)よりも店舗数が多く、インドで最もポピュラーなカフェ・チェーン。

第2位:鳥貴族

第2位には、日本で若い世代を中心に人気を誇る、鳥貴族を挙げました。

インド人の同僚が出張で日本に来たとき、一緒に行って好評だったのが、日本の居酒屋でした。居酒屋ならではの雰囲気や、料理がとても人気でした。特に鳥貴族は、お手頃な値段で、様々な種類の料理が食べられる、ということで人気でした。

理由①インドの人々の好みに合う居酒屋メニュー
理由②様々な料理を少しずつ試せる

理由①インドの人々の好みに合う居酒屋メニュー

インドには、ベジタリアンの人も多いですし、ノンベジタリアンでも、食べるのは鶏肉のみ(牛・豚肉は食べない)人が多数派です。日本食は肉や魚と多く利用しているので、インド人の人々が食べられるものは限られますが、居酒屋には、ベジタリアンでも食べられて、インド人の人々が好みに合った料理が意外とあります。

特に人気だったメニューは、枝豆、厚焼き玉子、天ぷら、串揚げ、唐揚げ、焼鳥などです。

枝豆は、ベジタリアンの人でも食べられます。また、インドの豆料理は、カレーやフライにして塩や香辛料で味付けしたものが多いので、「ゆでで塩を振っただけの枝豆はヘルシー!」と高評価でした。

フワフワで甘めの味付けである厚焼き玉子は、インドのオムレツと違って、新鮮なようでした。

理由②様々な料理を少しずつ試せる

日本食を初めて食べるインドの方々にとっては、これは大きいメリットだと思います。私たちも、海外でローカルの食事を初体験する際、色んなものを少しずつ試して、自分の口に合うものを見つけたいですよね?

インドのスパイシーな料理と異なる日本食は、インド人の人々にとって好みが分かれるようです。インドの友人と一緒に、蕎麦やラーメン店に行ってみたが、どうしても口に合わず何も食べられなかった、という経験が何度もあります。

色々な一品料理を少しずつ試すことができる居酒屋は、日本食を初めて食べるインド人の人々にとって、ちょうど良い場所と言えるでしょう。

第1位:サイゼリヤ

第1位はサイゼリヤです。(日本食ではなくイタリアンですが”日本発の”外食チェーンということで。)

サイゼリヤのピザやパスタは、インド人の人々からも好評です。
インド人の同僚や友人と外出先で食事をするとき、いつもお世話になっていたのがサイゼリヤでした。家族と一緒に日本に長く住むインド人の友人たちに聞くと、「よく週末に家族でサイゼリヤに行くよ」という人も多いです。

ちなみに、同社は既に海外に進出しており、中国を中心に世界に400店舗(2019年8月時点)で、近く出店しており、現在では海外の営業利益が全体利益の半分近くを占めているそうです。

サイゼリヤを第1位に挙げた理由は2つ。
理由①べジ・フレンドリーなメニュー
理由②インドでも人気のイタリアン

理由①べジタリアン・フレンドリーなメニュー

インドではベジタリアンの人が多いですが、サイゼリヤのメニューには、ベジタリアンの方でも食べられる、肉、魚、卵が入っていないメニューが多くあります。

例えば、マルゲリータピザ、野菜ときのこのピザ、コーンクリームスープ、フォッカチオ、などです。(調味料など、原材料の一部に動物性食品が入っている可能性がありますが、ここでは「べジメニュー」としておきます。)
インド人の友人とサイゼリヤに行くと、とりあえずこの4種類をデフォルトで注文します(笑)

先述のすき家やココイチのように、インドに進出する際はメニューを現地化せざるを得ないケースが多いですが、サイゼリヤは日本のメニューをそのまま持って行っても、現地の人に好評なのでは、と思います。(豚肉のベーコンなどのトッピングを一部変更するだけで良さそう)

ちなみに、日本のクリーミーなコーンスープはインドの方々にとても人気があります。インドにもコーンスープはありますが、塩気が強めの透明なスープに、コーンやグリーンピースがゴロゴロ入っているタイプが多いです。

日本のトロっとしたクリーミーで甘めのコーンスープは、インドの方々にとって新鮮な味のようです。

理由②インドでも人気のイタリアン

インドでは、保守的な味覚の人が多いからか、他の国の料理のレストランは少ないです。インド料理以外にあるのは、中華(インディアン・チャイニーズと呼ばれるインド人の好みに合った中華)、アメリカン(ハンバーガーなど)、メキシカン(ブリトーなど)、中東料理などに限定されます。

そしてイタリアン、特にピザはインドでも広く人気があります。ピザハット、ドミノピザなどのピザ・チェーンをはじめ、カフェや屋台などでも、ピザを提供しています。

ピザ以外にも、パスタなども既に浸透しています。

一方でインド国内にあるピザ・チェーンやカジュアルなイタリアン・レストランは、どこのお店もメニューや味付けが大体似ています。ピザやパスタが中心で、味付けはスパイシーか、クリーミーなホワイトソースが多いです。
またインドにある、中所得層の人が行くようなイタリアン・レストランは、大別して2種類に分かれます。一方はピザ・チェーンなどのファストフード系、もう一方は超高級イタリアンです。(超高級というのは、一人当たり約1000~1500ルピー(1500~2500円)程度です)

日本のサイゼリヤのような、「お手頃な価格で、そこそこクオリティの良いイタリアン」は、ほとんどありません。

そんな中で、サイゼリヤがインドに進出して、日本のオリジナル・メニューを残しながら、1000ルピー(1500円)以下程度の価格(1人当たり)で提供できたら、インドに既にあるイタリアン料理と大きな差別化になり、人気が出ること間違いないと思います。

外食産業のポテンシャルが大きいインド。現地化がカギ

以上、インドでヒットしそうな日本の外食チェーンTOP3を挙げました。
今回挙げた3社以外にも、日本外食チェーンは、インドでヒットする可能性を秘めていると思います。

本記事で挙げた3社以外にも、これまで様々なレストランで、インドの方々と食事をしました。多くの人から、以下のようなの感想を聞いていました。

「日本のレストラン、特にファミレスや外食チェーンは、価格に比べて味のクオリティがとても高い。非常にコスパが良い。」

「日本の食べ物はインドで普段食べる料理とは、味も調理方法も全く違うが、食べてみたらとても美味しい。インドの人は保守的な味覚だし、インドには無い食べ物ばかりなので、万人受けするかは分からないが、絶対に一定のファン層ができると思う。」

また、都市部のアッパーミドル層を中心に、健康志向の高まりや日本文化への関心から、日本食に興味を持つ人も増えています。

日本の外食チェーンは、インドでヒットするポテンシャルを大きく秘めていると思います。

一方ですき家やココイチの例に見るように、インドでヒットするためのカギは「メニューの現地化」にあります。インドの食文化、食事情を理解したうえで、ターゲット層に合ったメニュー開発、マーケティングを行うことで、ヒットする可能性は大いにあると思います。

14億人の巨大市場インド、ぜひ日本発の外食産業がインドにもっと進出してほしいと思います!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(余談)インドの人に好かれなかった日本食

インド人の同僚や友人とにトライしてもらったものの、「これは好みじゃない」「美味しさが分からない」と言われてしまった料理もあります。
インド人も色々な方がおり、味の好みも人によって様々なので、
一概には言えないですが、何人かの人に「これは好かない・・」と言われた料理を紹介します。

・日本の丼ぶり料理(親子丼、天丼など)
(理由)甘辛めの味付けが好みに合わないらしいです。

・汁っぽい麺料理(そば、うどん、ちゃんぽんなど)
(理由)醤油味のシンプルな味は、インドの人々には味にパンチがなさすぎるようでした。一方で、焼きそばは評判が高かったです。(インドにある中華料理に似ているから?)

・生魚(刺身など)
(理由)インドでは生ものを食べる習慣がないので、「生魚=未調理のもの」というイメージが強く、気に入っている人は少ない印象でした。

寿司は人によってかなり好みが分かれます。
日本食の代表格で,、インドの人々にも知名度の高い寿司は、食べてみて好きになる人もいれば、好きにならない人も多いようでした。



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