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小雪

今日、11月22日は、二十四節気における「小雪」。秋分から冬至までの期間の3分の2が過ぎたことになる。

これからの約二週間で、コートを羽織らないと外出できない季節になる。京都では初霜が観測される(情報源:京都地方気象台)。

京都では各地で紅葉が見ごろになる。モミジが見ごろになる前に、まずは、イチョウ。京都で一番有名なイチョウの名所は、西本願寺。

西本願寺の「逆さ銀杏」(2020年12月1日、筆者撮影)

イチョウは火災の時に水を噴き出すらしく、そのおかげで、江戸時代に建てられた西本願寺の木造建築が今も現存している、との都市伝説がある。

京都では、他に、堀川通をずっと北へ進むと、イチョウ並木になり、この季節、真っ黄色な世界になる。


そして、モミジ。京都には名所が山ほどあって、毎年「そうだ 京都、行こう。」のホームページでは、紅葉情報が毎日更新される。多分、一番真っ赤になるのは、永観堂。だけど、真っ赤すぎて品がない気もする。それに、人でいっぱいになる。

個人的に一番綺麗な紅葉が見れる場所だと思っているのは、南禅院。南禅寺の境内の奥に、明治に造られたレンガ造りの水道橋があるが、その裏側にあるこじんまりとしたお寺。それほど知られていないので、ゆっくりと紅葉を鑑賞できる。池の周りの苔の生えた地面の上に、枝振りの綺麗なモミジが赤から黄色までのグラデーションを造る。池にある島は、その石組が、上を向いて紅葉を眺める亀のように見える。

南禅院(2017年11月26日、筆者撮影)

この池の周りは歩いて回れるので、見る角度ごとに異なる紅葉の景色を楽しめる。この記事のトップ画像は、池の周りを歩いて振り返った時に撮影したものをトリミングしたもの。

南禅院の庭園は、天龍寺と西方寺(苔寺)と並び「京都三名勝史跡庭園」に指定されている。そのような美しい庭とセットで紅葉を鑑賞するのが、最も京都を満喫できる方法だと思う。

他に名庭園と紅葉の「コラボ」を楽しめるのは、あの龍安寺石庭。一年中表情を変えることのない石庭を、左手に黄色、右手に赤色のモミジが引き立てる。龍安寺は10時以降は観光客でごった返すが、8時の開門直後は、ほとんど人もいなく、朝日が登ると共に表情を変えていく石庭を眺め続けるのは至福の時間。

龍安寺石庭(2019年11月29日午前8時26分、筆者撮影)

紅葉の影に隠れて存在感が薄いのだが、この時期、見頃を迎えるのが山茶花(サザンカ)。冬の間ずっと咲き続けるが、朽ち方がお世辞にも美しいとは言えない花なので、咲いたばかりの花だけを見ることができる今の時期が、見頃だと個人的に思う。

よく見かけるのはピンク色の園芸種だが、あまり品を感じない。白い山茶花の方が、趣がある。花びらの先がほのかにピンク色になっているものが特に。

山茶花(2019年11月10日、筆者撮影)

さて、恒例の旬の食べ物の話。秋の味覚(柿、りんご、さつまいも、など)が今も食べ頃である一方、冬に旬を迎えるほうれん草、大根、ブリ、柚子、蜜柑などが美味しくなってくる。冬の旬野菜などについては、次回の「大雪」(12月7日)にとっておいて、今の時期にしか食べることのできない京都の和菓子の話を。

それは、お火焚き饅頭。

11月は、京都のあちこちの神社で「お火焚き祭」が行われる。伏見稲荷神社や貴船神社は11月初旬に済ませてしまうが、その他多くの神社は11月下旬。昔は、京都中の火を使う商いをしている家々が11月28日ごろに盛大に火を焚いていたらしい(情報源:表千家ホームページ)。

このお祭りの際に、神様に供えるお菓子として作られるのが「お火焚き饅頭」。炎を形取った焼印の入った饅頭。

中村軒のお火焚き饅頭(筆者撮影)

写真は、今も餡子を「おくどさん」(かまど)で薪木を燃やして小豆を焚いて作っている中村軒のお火焚き饅頭。お火焚きにふさわしい。


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