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“Rebellmusik” by SHAG

ベースによる変則的なリズムが繰り返される中で、ピアノとギターが即興演奏で心地よく絡み合う。終盤、トランペットの即興演奏が始まると、リズムが四つ打ちに変わる。平凡なリズムのはずなのに、変則リズムに聞き慣れた耳には、とてもエキサイティングに聞こえる。

穏やかさの中に、ベースのリズムによる緊張感。私が一番好きなタイプの音楽。

SHAG は、1990年代に一世を風靡した LUNA SEA のギタリスト、SUGIZO を中心としたジャズバンド。X JAPAN のメンバーにもなってしまったので、世間的にはロックギタリストのイメージが強いのだろうが、元々はジャズ・ミュージシャンになりかったらしい。去年の7月から FM YOKOHAMA で放映されている自分のラジオ番組でも、マイルス・デイビスなどのジャズをガンガンかけている。でも1980年代後半のロックバンドブームの中で、表現手段としてロックの方が身近にあったということで、LUNA SEA を結成するに至ったそうだ。ロックっぽくないギターを弾く人だよなあ、と常々思っていたが、ジャズを聴きこんでいるという事実を知ると、色々納得する。
 
この Rebellmusik という曲は、もともと、SUGIZO 自らのソロアルバムに収録されていた曲で、打ち込みのベースとドラムの上に、なんと、K DUB SHINE がラップを乗せるという、型破りな曲。打ち込みならではの音のシャープさがカッコよかったので、その音像を引きずったまま、この SHAG ヴァージョンを初めて聞いたときは、違和感が拭えなかった。

しかし、今日、改めて、真っさらな耳で聞いてみると、ジャズの生演奏として上質に仕上がっていることに気づいた。それでいて、ベースは全くジャズっぽくない、という面白さ。

なお、YouTube のビデオは、ウクライナ戦争への反戦メッセージになっている。曲の雰囲気と合っていない気もするのだが、むしろ、こういう雰囲気と一体化しないと、我慢強く反戦を訴えていくことはできないだろうとも思う。

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