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立春

今日、2月4日は「立春」。冬至と春分の中間点。一年の間で、太陽が出ている時間が最も短い3ヶ月が終わった。気温はまだ低いけれども、日差しが高くなってきたのを感じる。

だから、これから何かが始まる、という雰囲気がある。江戸時代まで、立春に最も近い新月の日が元旦だったのは、自然に寄り添った、一年の始まりの決め方だと思う。

そろそろ梅が咲き出す、というのが例年だけれども、今年は暖冬だったせいか、あちこちですでに咲き出した梅が目につく。今日、京都御苑に行ったら、幾つかの梅の木は満開近くになっていた。でも、それじゃ「立春」のイメージに合わないので、咲き始めの木を選んで撮影したのがトップ画像。

梅は、咲き始めが一番綺麗なのだそうだ。

一本の梅の木で、いち早く開いた花と、2週間後に咲いた花を比べてみましょう。先に咲いた花のほうが花びらが大きく、かたちも整っています。また雄しべ・雌しべも太く、勢いよくまっすぐに伸びています。

『美の壷』file 203
京都御苑の梅の花(筆者撮影、2023年2月4日)

梅が咲き始めるこの季節、馬酔木(アセビ)、満作(マンサク)、黄梅(オウバイ)といった花も咲き始める。

梅の木には、「うぐいす色」のメジロが飛んできて、くちばしで花をつつく姿が見られるようになる。

というわけで、この季節の和菓子としては、うぐいす餅。餅を鳥の形っぽくして、青大豆のきな粉をまぶして、うぐいす、というより、メジロに見立てる。中村軒のうぐいす餅は、中の餡が青えんどう豆から作られていて、少しばかり苦味のある甘さが美味。

中村軒のうぐいす餅(画像元:中村軒

もう一つ、この時期にしか食べられない和菓子としては、椿餅。道明寺餅を、冬の寒さに耐える椿の葉でサンドイッチしただけの、シンプルなお菓子。源氏物語に出てくる、歴史ある和菓子なのだが、多くのお店の椿餅は見た目がイマイチ。椿の葉と道明寺餅の見た目がチグハグ。

しかし、京都の南にある二葉軒の椿餅は美しい。

二葉軒の椿餅(筆者撮影、2018年2月9日)



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