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双極性障害【振り返り】

久しぶりに病気のことを書きます。

今年の初め以来、気分が落ち着いています。
怖いくらいに落ち着いています。

それまでは毎朝、頭が重く、やっとの思いで家を出て職場へ向かっていました。
この頭の重さ、頭重感というのだそうですが、これが私の最大の悩みでした。
それ以外にも、憂鬱な気分になって何もする気にならなかったり、そうかと思うと、とたんに張り切って、できもしない新しいことを始めてしまうことが多々ありました。

それが、年が明けてから急に落ち着き始めました。
頭の重さに悩まされることがなくなり、毎朝何の迷いもなく家を出られるようになりました。
週に五日間仕事に行けることは稀だったのが、今は所用以外で休むことはなくなりました。
それどころか、先月から月水金は勤務時間を1時間増やし、9時から18時まで働いています。

ただ、先月は、ちょっとしたことでひどく落ち込み、希死念慮に囚われたことがあり、また、台風の影響で体調を崩しました。
ですので、治ったとは言えませんが、格段に良くなったことは確かです。

2002年にこの病気を発症して以来、病院での治療はもちろん、それ以外にも様々なことを試しました。
カウンセリング、自助グループ、心理療法、マインドフルネス、サプリメント、などなど。
何度も転院しましたし、本を何冊読んだか分かりません。
しかし、一向に良くなることはなく、不本意ながら、5年間休職したまま、2016年に定年退職を迎えました。

休職中の立場では職場へ入ることが許されないため、社外の人も入れる会議室で定年退職の記念品をもらい、同僚たちへのお別れの挨拶はできず、また、家族からは「ご苦労様」の一言もなく、この上ない屈辱を味わいました。
この屈辱が晴れることは今後もないでしょう。

そんな思いをさせられたこの病。
今の医学では生涯治らないとされているこの病。
どんなに薬を飲んでも少しも改善しなかったこの病。

それが、何故、急にこんなに回復したのか。
思い当たることが二つあります。

その一つは、無理なく、心から安らげる時間を持てたこと。
過去には「療養のため」と思って静かな場所へ旅行をしたり、趣味の活動をしたり、散歩をするなどしたことがあります。
しかし、どれも「無理やり」やっていました。
「頑張って」やっていました。
でも、それでは「療養」にはなりません。
むしろ負担になっていました。

それが、2年ほど前から、まったく無理をすることなく、心から「心地良い」と思える時間を持つことができるようになりました。
どんなに頭が重くても、どんなに気分が落ち込んでいても、その時だけはその場に行きたいと自然に思える。
そして、その時間を過ごした後には、それまでの落ち込みが嘘のように晴れる。
月に1度、2度、そういう時間を過ごしてきたことで、少しずつ気分が安定する期間が長くなってきました。

誰もがこのような時間を持てるわけではないと思います。
それは趣味の活動だったり、人とのおしゃべりだったり、人それぞれでしょう。
また、努力して探して手に入るものではないとも思います。
私は偶然そういう機会に恵まれ、とても幸運なことだと思います。

病気の回復のきっかけになったと思われるもう一つのこと。
それは「断薬」です。

今年の年明け早々にクリニックを予約していました。
しかし、その日に気分がひどく落ち込み、診察に行くことができなくなりした。
別の日に予約を取ろうとしたところ、年明けということもあり、2週間後にしか予約が取れず、2週間、薬なしで過ごさざるを得なくなりました。
精神科に限らず、薬の服用は医師の指示に従うべきだと思います。
まして、やめることによって離脱症状という危険な症状が起こる可能性のある薬を服用していることもあり、医師の指示なしに急に薬をやめることには大きな不安がありました。

2週間、薬なしになるのに、何の対応もしてくれなかったこのクリニックは問題ありと言えるかもしれません。

それはさておき。
しかし、幸いなことに離脱症状が出ることはなく、驚いたことに、薬を服用していたころよりも気分が改善したのです。
頭がスッキリし、重い気分になることもありませんでした。
2週間後の診察でそのことを話し、そのとき以来、今も薬は1種類しか飲んでいません。
今はそれも要らないのではないかと思っているくらいです。

先ほど書いた「安らげる時間」もこの薬のことも、私の場合は偶然そのような幸運に恵まれました。
ですので、このような話はこの病に苦しんでいらっしゃる方々の治療や療養の参考にはなりませんね。
特に二つ目の「断薬」は決して自分の判断でしてはならないことです。
でも、もし、小さなことでも、無理することなく安らげるものがあったら、それを大切にすることが改善につながるかもしれません。
逆に言えば、少しでも気持ちの上で負担になることは、たとえそれが病気の回復に良いとされていることでも、やらないほうが良いと思います。
私も、先月のようなことがあるので、まだまだ油断はできません。
いつ再びガクッと落ち込むか分かりません。

ですので、通院を続けるのはもちろんのこと、先述の「安らげる時間」をこれからも大切にしてゆこうと思っています。