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写真雑館【フィルムのこと】

私がよく写真を撮っていたころはフィルムカメラが全盛でした。

当時、日本では主に3社がフィルムを売っていました。

日本の「富士フイルム」と「小西六(コニカ)」、そして、アメリカの「コダック」。
ヨーロッパにも「Agfa」などのメーカーがあったようですが、日本ではほとんど普及していなかったように記憶しています。

その中で私が好んで使っていたのはコダックの製品でした。
それも紙(印画紙)に焼き付けるネガフィルムではなく、「ポジ」や「リバーサル」とも呼ばれている「スライド」フィルムでした。

コダックは、私にとっては、圧倒的に画質が良かったからです。
富士はネガではだいぶ画質が向上していましたが、それでもコダックにはかないませんでした。
小西六は…、少なくとも私にとっては、選択の対象にはなりませんでした。

そして、ネガフィルムの画像を紙に焼き付ける、いわゆる「プリント」ではなく、見るためには部屋を暗くして映写機を使う必要のある「スライド」を敢えて使っていたのは画質が比較にならないほど良かったからでした。

色合い、鮮明さ、コントラストなど、どれをとっても「プリント」より「スライド」が好みでした。

また、フィルムには感度の違いによる種類もありました。
ISOやASAという指標で表される感度。
ISO100とISO400が主流でした。
数字が高いほうが感度が高く(良く)なります。
「感度が高い」というのは、少ない光量でも撮れるということです。
ですから、暗いところでの撮影やスポーツ写真などシャッター速度を早くする必要がある撮影には感度の高いもののほうが向いていました。

しかし、感度の高さと画質は反比例の関係にありました。
感度の高いもので撮った写真は粒子が粗い。
ザラザラした感じでした。
富士フイルムは、この高感度での画質の向上に力を入れていたようです。

そんなことから、私が使っていたのは、コダックのISO100のスライドフイルムでした。

さらに、コダックには何種類かの製品がありましたが、私が最もよく使っていたのは「Ektachrome(エクタクローム)」と「Kodachrome(コダクローム)」でした。
両者の違いは色合いで、私はEktachromeのほうが好みでした。

ただ、今、当時撮影した写真を見てみると、Kodachromeのほうが当時の色合いが保たれています。
そのころには分からなかった、褪色性(退色牲)という意味ではKodachromeのほうが優れているということのようです。

下は1976年(昭和51年)Kodachromeで撮った五色沼の写真です。

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同じ日にEktachromeで撮った写真です。
沼の色はかろうじて保たれていますが、後ろの緑が完全に褪色してしまっています。(枯れているわけではありません)

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