見出し画像

双極性障害のこと 【心の奥底にあるもの】

母に激しい暴力を振るう父。
泣きじゃくる私。
強い怒りと、何もできない悔しさ。
2歳年下の妹がいたのかどうかは覚えていない。

カウンセラーさんが引き出してくださった私の最も古い記憶です。

2002年。
46歳のとき。
出社して上司の姿を見たとたん、トンネルの中に入ったときのように耳が聞こえなくなりました。
どんなにつばを飲み込んでも治らない。
理不尽な人でした。
憎しみを感じています。
今も。

すぐに職場の近くの心療内科へ行きました。
耳が聞こえなくなっているのは顔の筋肉が緊張していることからくるものだとのことで、緊張を和らげる薬をもらいました。

以来、気分が落ち込み、眠れないことが増え、仕事に行くのが憂鬱になり、休みがちになりました。

理不尽なことへの激しい怒り。
それに負けてはならない。
間違ったことは直さなくてはならない。
断じて許してはならない。
そのためには強くならなくてはならない。
困難を乗り越えなくてはならない。
頑張らなくてはならない。

同じく、カウンセラーさんが引き出してくださった私の生き方です。

だから何をするにもとことんやらなくては気が済まない。

仕事はもちろん、遊びも一生懸命になる。
「一生懸命にやらなくては面白さが分からないではないか」
「中途半端な気持ちでやって、何が楽しいんだ」
常にそう思ってきました。

ゆっくりしなくては、と思うことがあります。
一生懸命に「ゆっくりしよう」とします。
気持ちを鎮めようとアロマオイルを焚く。

さあ!リラックスするぞ!
さあ、匂ってこい!
よしよし、きたきた、いい香りだ!
これでリラックスできる!
リラックス、リラックス!

こんな調子です。
気持ちが休まるわけはありません。

体を動かすことが好きです。
しかし、チャラチャラしたものは嫌いです。
だから、スキーやテニスは好きではありません。(すいません!)
一生懸命になれる環境が私にはないから。

高校生のときに始めた空手。
何ごとにも自信が持てず、意気地なしだった私に剛を煮やした父に無理やりやらされました。
しかし、口の中が切れて食べることができないほどコテンパンに殴られても、みぞおちに蹴りを喰らって床をのたうちまわっても、なぜか、やめようとは思いませんでした。
「負けてはならない!」
「強くならなくてはならない!」

大学生のときに男声合唱をやっていました。
幸か不幸か、かなり本気で音楽を追求しているクラブでした。
気を抜いていると怒鳴られ…
怒鳴っていたのは私だけか…(笑
最後の最後の時期に合唱が好きになりましたが、卒業してから地域などの合唱団に入ろうとは思いませんでした。
本気でできないから。
怒鳴れないから。

アイスホッケー。
最高峰を見たいという思いからカナダまで見に行ったこと10回。
香港赴任中に開かれた長野オリンピックを見るために休暇をとって一時帰国。
あちこち手を尽くして決勝の切符を手に入れました。
自分でもやりました。
大きな荷物を担いで満員の通勤電車に乗ったり、深夜に車でリンクに通ったり。
香港でもカナダ人、アメリカ人がやっているチームに入りました。
でも、どんなに頑張っても上手くなれないことが分かったので、やめました。

和太鼓。
これもちっとも上手くならない。
稽古に行っても満足できない。
そう思うのが嫌で稽古に行けなくなった時期があります。
「行かなくては」と思うのに、電車に乗れない。
今は…
「下手でも楽しめばいいんだ」と言い聞かせながらちょっとだけ続けています。

万事こうです。
一生懸命やっていない人を見ると許せない気持ちになります。
気持ちがこもっていない、適当にやっている人には憎しみを感じます。
仕事でも遊びでも。

このような気持ちをなくす、減らすことができれば、少しは気持ちが楽になるのかもしれない。
許せないことが減れば、日々の苛立ちも減り、物事を楽しめるのではないか。
この緊張を緩めることができれば、頑張りすぎたり、許せないことからくる憂うつな気持ちになったりすることが減るのではないか。

では、どうしたら緩めることができるのか。
ここ数日、そのことばかり考えています。

しかし、ここでも「緩めなくては!」と一生懸命になっています。
答えが見つからないことに苛立ち、欲求不満を感じています。

人生を終えるまで、あるいは、その後も、この緊張が緩むことはないのかな…