うつむいて咲く
実家ではあふれるほど咲いていたオオイヌノフグリが、近所ではあまり見つからない。
雑草も土があればどこでもいいというわけではなく、ちゃんと根を張る場所を選んでいるんだと思う。
毎年同じ石垣の隙間に咲くスミレを見つけて、ほっとする。ひっそりとうつむいて咲くスミレが昔から好きだった。
例えばこれを持って帰って軒先の鉢植えで育てたとしたらどうなるだろう。
肥料をまいて、水をあげて、たっぷりとお日様を浴びて。
野の花の持つ健気さは、自立心みたいなものじゃないかとふいに思う。
人を寄せつけない、干渉させない、そんな佇まいにもしかするとわたしは憧れているのかもしれない。
娘と一緒にオオイヌノフグリを探しながら、雑草と呼ばれるいくつもの植物に目をやり、なんだか心が満たされていくのを感じた。
春の訪れに、ではなく、この世界の多様性のようなものに。
なんていうのは大袈裟かもしれないけれど。
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