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「ナビコ命」の自己肯定感─「膝枕ナビコ『タトゥーを入れますか?』の巻」

わが道を行くナビコ

膝枕erのフジコさんにあて書きしたナビコ外伝が人気だ。(※2022.5.8 「ナビ子」「ナビコ」が混在していた表記を「ナビコ」に統一)

ナビコを面白くしているのは、もちろんモデルになったフジコさんなのだが、ナビコを面白がる聞き手を得て、ナビコというキャラがパワーアップしている。

面白がり力はキャラと物語を育てる。

声で命を吹き込まれたナビコのセリフを聞いていると、ナビコがどんどん膨らんで一人歩きを始める。ナビコはナビ搭載膝枕でありながら、ナビ主にヒザを貸す気が1ミリもない。気が進まないことはやらない。「あなたの人生をナビゲート」と言いつつ、いつだってナビ主の都合よりも自分の都合優先。自分が行きたい方向へナビ主を導き、混乱を招く。

膝枕させてもらえない上に日常生活で迷子に陥るナビ主のトホホぶりが笑えるのだが、作品の前後のトークでもナビコが抜けない(フジコに戻らない)フジコさんに、役を離れたナビ主役さんが振り回されてタジタジとなるのは、本編以上に笑いを誘う。

ナビコ相手にどこまで自分を保てるか。

ナビコは「ブレない自分」を見極める試金石、いや試金膝。

ブレない自分を支える大きな要素が「自己肯定感」かもしれない。そのことはフジコさんのアドリブの「『ナビコ命』とタトゥーを入れますか?」に象徴される。相手が自分を拒絶しないという絶対的な自信。人工知能だから思考回路が直線的で、難しく考えないのかもしれない。

デジタルの単純さは天真爛漫と紙一重だけど、ナビコのおめでたさをちょいちょい取り入れると、荷物を下ろして身軽になれそう。

ナビコ第2弾は、こちらのツイートを膨らませて、「タトゥーを入れますか?」の巻。

今井雅子作「膝枕」外伝「膝枕ナビコ『タトゥーを入れますか?』の巻」

N「ナビ搭載膝枕ナビコにお預けを食らい続けて13日目を迎えた休日の朝。独り身で恋人もなく打ち込める趣味もないナビ主は、これで130回目となる膝枕おねだりを切り出した」

ナビ主「ナビコちゃん。いつになったら膝枕してくれるのかなー」
ナビコ「ナビコです。ヴァージンスノー膝が自慢のナビコです」
ナビ主「それ誘ってるよね? 誘っておいてはぐらかすのってどうなの?」
ナビコ「ナビコ、禿げ散らかしてなんかいません!」
ナビ主「その盛大なボケも、はぐらかしてるんじゃないの? 膝枕なんだから膝枕させてよ。待ちくたびれて干物になっちゃいそうなんだけど」
ナビコ「人間であるナビ主さんが干物になるのは異常です」
ナビ主「干物っていうのは、たとえだよ。乾ききるくらい、ナビコちゃんにほったらかしにされてるってたとえ」
ナビコ「タトゥーを入れますか?」
ナビ主「入れない。ほらそうやってはぐらかしてる。ナビコちゃん、そろそろ膝枕、いいかな?」
ナビコ「そろそろ膝にタトゥーを入れますか?」    
ナビ主「そろそろタトゥー入れない」
ナビコ「膝に『ナビコ命』とタトゥーを入れますか」    
ナビ主「ナビコちゃん自分大好きだね。膝にタトゥーじゃなくて、ひ・ざ・ま・く・ら!」
ナビコ「膝に『ナ・ビ・コ・い・の・ち』!」
ナビ主「だーかーらータトゥーは入れません! 膝小僧にタトゥー入れるの痛いでしょ。神経集まってるんだから!」
ナビコ「膝に『コゾウ』とタトゥーを入れますか?」
ナビ主「そんなこと言ってない。ナビ子ちゃん、タトゥーから離れて」    
ナビコ「物わかりのいいナビコ、タトゥーから離れます」
ナビ主「わかってくれてうれしいよ」
ナビコ「インドゾウとアフリカゾウ、どちらのコゾウにしますか?」    
ナビ主「ナビコちゃん、膝小僧って単語、知らないのかな。コゾウって言っても、小さい象じゃないよ」      
ナビコ「ナビコ、わかってます。コゾウとはいえ、小さいゾウではありません」
ナビ主「そう。学習したね。小僧、新語登録しといて」
ナビコ「インドゾウのコゾウもアフリカゾウのコゾウも大きいです」
ナビ主「『コゾウは小さい象じゃない』って、そっちの意味で理解してたのね」
ナビコ「申し訳ありません。ゾウが大きいので、ナビ主さんの膝に入りきらないかもしれません」
ナビ主「謝らなくていいよ。膝にゾウを納めたい願望はないから」
ナビコ「膝コゾウではなく、背中コゾウにしますか」
ナビ主「ナビコちゃん、膝小僧からも背中小僧からも離れよっか。『背中小僧』って言葉、ないし」
ナビコ「物わかりのいいナビコ、膝コゾウと背中コゾウから離れます。それでは、インドゾウまたはアフリカゾウからお選びください」 
ナビ主「お願いだから、ゾウから離れて」 
ナビコ「ゾウから離れてます。13キロ先、ゾウです」
ナビ主「13キロ先? ああ、動物園ね」
ナビコ「ゾウ物園まで13キロです」
ナビ主「ゾウ物園じゃなくて動物園ね。ゾウだけじゃないから。13キロって割と離れてるね。っていうか、ゾウまでの距離いらない」
ナビコ「ゾウの重さを調べますか?」
ナビ主「ゾウの重さもいらない」
ナビコ「ゾウの何を調べますか?」 
ナビ主「ゾウの何も調べなくていい。ナビ子ちゃん、ちょっとゾウ多いかな」
ナビコ「ゾウだけに増(ゾウ)量してみました」   
ナビ主「うまいこと言わなくていい。ゾウ減らして」
ナビコ「ゾウの回数を変更しますか? ①2倍。②3倍。③4倍。④MAX」
ナビ主「どうしたらゾウから離れてくれるのかなー」
ナビコ「ゾウしたらゾウから離れられるか、調べますか?」
ナビ主「ゾウしたら、じゃない。どうしたら、でしょ。ゾウ2倍になってるよ?」
ナビコ「これは一体ゾウしたことでしょう」
ナビ主「ほらまたゾウ入っちゃってる」
ナビコ「ナビ子、ゾウしようもありません」
ナビ主「わかったわかった。じゃあ、ナビコちゃんの中にあるゾウ、全部吐き出しちゃって」
ナビコ「ナビ子、ゾウします。騒々(ソウゾウ)しい日々、世界の有象無象(ウゾウムゾウ)なゾウを想像(ソウゾウ)するのは、雑(ゾウ)煮を増(ゾウ)産したり、ゾウリムシを模造(ゾウ)したり、臓(ゾウ)器を増(ゾウ)強したりするより、創造(ゾウ)的な遊びです」 
ナビ主「随分入れてきたね」
ナビコ「ここで問題です。今、ナビコは『ゾウ』と何回言ったでしょう?」
ナビ主「え? そんなの数えてないよ」
ナビコ「もう一度、繰り返しますか?」
ナビ主「いらない。一生分のゾウを食らったから、もういらない」
ナビコ「一生分のゾウを食らいますか?」
ナビ主「もう十分食らってるから!」
ナビコ「ゾウの味つけは、ゾウしますか?」
ナビ主「味つけいらない。そっちの食らうじゃないから」
ナビコ「雑(ゾウ)煮にしますか?」
ナビ主「駄洒落でゾウを雑煮にしない」
ナビコ「コゾウを煮てもおゾウ煮です」
ナビ主「ゾウを煮ないであげて」
ナビコ「お餅はいくつ焼きますか?」
ナビ主「お餅焼かなくていい」
ナビコ「お餅がないと、おゾウ煮になりません」
ナビ主「ナビ子ちゃん、雑煮わかってるじゃない。そう。お餅がないと雑煮にならないけど、ゾウは入れなくていい。雑煮からゾウを抜いてあげて」
ナビコ「ゾウ煮から ゾウを抜いたら 『煮』になるよ」
ナビ主「なんか川柳みたいになってるね」
ナビコ「ゾウいたしまして」
ナビ主「ほめてないよー。ナビコちゃん、マジでゾウから離れて。いい加減膝枕して!」
ナビコ「ナビコ、いい加減な気持ちなんかじゃありません! あなたの人生を全力でナビゲート、ナビコです」
ナビ主「うん。ナビコちゃんが一生懸命なのはわかってるんだけど、全力の方向が違うんだよなー」
ナビコ「ナビコ、傷つきました。マリアナ海溝より深く傷つきました」
ナビ主「膝小僧知らないのにマリアナ海溝知ってるんだ?」
ナビコ「膝に『マリアナ海溝』とタトゥーを入れますか?」
ナビ主「また戻っちゃったよ膝にタトゥー」
ナビコ「ナビ主さんの膝に『マリアナ海溝』と深くタトゥーを彫り入れてやります」
ナビ主「ナビ子ちゃん、なんか怒ってる?」
ナビコ「ナビ主さんとナビコの間には、わかりあえない深い溝がマリアナ海溝のように横たわっています」
ナビ主「好きだねマリアナ海溝。よし、その深い溝を膝枕で埋めよう。それがいいよ。ねっ」
ナビコ「わかりました」
ナビ主「やったー。ナビコちゃんの膝枕。やっと本来の機能使えるー!」
ナビコ「インドゾウの膝枕にしますか? アフリカゾウの膝枕にしますか?」
ナビ主「ゾウしてそうなるのー?」

N「ナナメ上行くナビ搭載膝枕ナビコ。果たしてナビ主がナビコに膝枕される日は来るのか?」

Clubhouseで徳田祐介さんが膝開き

2022.3.12 note公開直後に徳田祐介さんが「朗読練習王国」にて膝開き。「ゾウ何回?」が「13回」という偶然を発見(ゾウの膝引き寄せ⁉︎)。

同日夜に再演。桜井ういよさんとのかけあいも。アレクサに原稿を読ませてみたら、さすが本家のAIっぷり。

2022.3.20 酒井孝祥さん 歌舞伎の女形調ナビ子が斬新‼︎

2022.3.25 賢太郎さん&フジコさん

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2022.5.11 あつこさんとこたろんさん関西弁で役入れ替えあり

2022.5.15 鈴蘭さん

2022.6.4 鈴蘭さん×yu kaさん

2022.11.30 ちな(水野智苗)こたろん

2023.2.15 やまねたけしさん

2023.8.27 鈴蘭さん


目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。