見出し画像

「ほぼ」の範囲─膝枕ナビコ「タケシはほぼタワシです」の巻 

このnoteで公開している作品は、2021年5月31日から朗読と二次創作のリレー(通称「膝枕リレー」)が続いている短編小説「膝枕」の派生作品で、外伝「膝枕ナビコ」シリーズの新作です。


ヤマネタケシがタワシと言ったから

サトウ純子さんのツイートから始まった「タワシとタケシは似ている」ネタ。

「熱量10割の男・新島『タワシ膝枕はあの日のタケシ君です!』の巻」を書き、込められる限りのタワシを込め、完全燃焼した。

つもりだった。

やまねたけしさんが伊藤富士子さんと深夜に開いたゲリラ部屋(別名「ゴリラ部屋。ちなみに英語では同じ発音!)を聴いて、「タワシ、まだいける」となった。

「タワマン」いただきます!

こちらのreplayとあわせて読んでいただけると、「あのネタ拾ったな」がわかって、よりお楽しめるいただけると思う。

膝開きはヤマネタワシさんとイトウナビコさんにお願いします。

今井雅子作「膝枕」外伝 膝枕ナビコ「タケシはほぼタワシです」の巻

N「ナビ搭載膝枕ナビコにお預けを食らい続けて1年3か月と222日目の休日の朝。独り身で恋人もなく打ち込める趣味もないナビ主は、珍しく、その日の予定があった」

ナビ主「ナビコちゃん。今日、大阪から友だちのタケシが遊びに来るんだけど、どこ行ったらいいかなー」
ナビコ「ナビ主さんにお友だちがいるのですか?」
ナビ主「友だちぐらい、いるよ。ういよ先輩とか」
ナビコ「ういよ先輩はナビ主さんの事務所の先輩です」
ナビ主「まぁ友だちというよりは先輩かな」
ナビコ「ういよ先輩は、ナビコとはお友だちですけど」
ナビ主「ナビコちゃん、マウント取るのやめて」
ナビコ「ういよ先輩は、ナビ主さんとはお友だちではないと言っていました」
ナビ主「そんなバッサリ言ってないよね? 『事務所の後輩だから、友だちって感じじゃない』みたいに言ったんじゃない?」
ナビコ「そうだったかもしれません。目くそ鼻くそです」
ナビ主「微妙な違い、大事だからね。ナビコちゃん、言葉にクッション入れていこう」
ナビコ「ナビコ、膝にクッションが入っています」
ナビ主「膝にクッション入ってても、膝枕させてもらえないと、わかんないんだけど」
ナビコ「大切にしてください。たった一人のお友だちのタワシ君」
ナビ主「話そらした! たった一人じゃないし、タワシじゃないし!」
ナビコ「ほぼたった一人のお友だちのタワシ君」
ナビ主「ほぼたった一人じゃないし! タケシだし! タワシとタケシ、3分の2しか合ってないよ」
ナビコ「パーティーで男性が20人、女性が10人いたら、出席者は、ほぼ男性です」
ナビ主「それはそうかもしれないけど。『ケ』が『ワ』になったら大違いでしょ?」
ナビコ「ケガワ? タケシが毛皮になりますか?」
ナビ主「毛皮じゃなくて」
ナビコ「タケシの毛皮はゴワゴワですか?」
ナビ主「それはタワシの毛ね。そうじゃなくて、ひと文字違いで大違いって言ってんの。ワシントンとケシントンじゃ大違いでしょ?」」
ナビコ「違和感ないです」
ナビ主「あるよ!」
ナビコ「ナビ主さん、重箱の隅ばかりつついてたら友だちできませんよ」
ナビ主「ナビコちゃんが大雑把すぎるの! ちゃんと名前覚えて。ヤマネタケシ」
ナビコ「やだね、タワシ」
ナビ主「違う! それ本人に言わないでよ。気を悪くするから」
ナビコ「タワシと呼ばれたら、『タワケ!』と怒りますか?」
ナビ主「怒るだろね。タワケとは言わないと思うけど」
ナビコ「タワシ君がいなくなったら、ほぼたった一人の友だちが、ほぼゼロになってしまいますか」
ナビ主「タワシじゃなくてタケシね。そろそろ覚えて」
ナビコ「タケノコのタケ」
ナビ主「そう。漢字は違うけど、タケノコのタケ」
ナビコ「タケシはタケノコを食べますか?」
ナビ主「食べるんじゃないかな」
ナビコ「タケシはたけのこの里を食べますか」
ナビ主「食べるんじゃないかな。タケシだから竹が好きって発想?」
ナビコ「タケシは竹の家に住んでいますか」
ナビ主「住むとこまで竹に寄せちゃう?」
ナビコ「タケシは竹から生まれましたか?」
ナビ主「それ、かぐや姫ね。ちょっと竹から離れようか」
ナビコ「わかりました。ものわかりのいいナビコ、竹から離れます」
ナビ主「そろそろタケシが到着する頃じゃないかな」
ナビコ「お友達のタケシ君は13キロ先、竹芝にいます」
ナビ主「竹芝って、まだ竹が残ってる!? ていうか、どうやってタケシの居場所調べたの?」
ナビコ「ナビ主さんの通話履歴からGPSで追跡しました」
ナビ主「そんなことできるの? 個人情報大丈夫?」
ナビコ「お友だちのタケシ君は、竹芝でタワーマンションを見ています」
ナビ主「タケシ、東京に用があるって、タワーマンションの見学? あいつ出世したなー」
ナビコ「タワシのくせに」
ナビ主「タワシじゃない。タケシね。ナビコちゃん、タワマンに引っ張られてるよ」
ナビコ「ナビ主さんも、タワシバのタワマンに引っ越しますか?」
ナビ主「タワシバじゃなくて竹芝ね。ナビコちゃん、タワマンに憧れてるんだ?」
ナビコ「そういう人生もあったかなーと想像することはあります」
ナビ主「そういう人生?」
ナビコ「人工知能の一生、略して、人生です」
ナビ主「なるほど」
ナビコ「人畜無害のナビ主さんの一生も、略して、人生です」
ナビ主「人畜無害つけなくていい! 元々人間だよ! 人生だよ!」
ナビコ「もしも、タワマンに住んでいる人がナビコの購入者だったら、ナビコ、タワマンに住んでるわけですよね?」
ナビ主「ああ、確かに」
ナビコ「ナビガチャ、外れました」
ナビ主「ナビコちゃん、そういうとこ! 言葉にクッションつけて! オブラートに包んで!」
ナビコ「お薬を飲みますか?」
ナビ主「飲まない。そう言われると思ったから、クッションって言ったの」
ナビコ「ハックション。誰かがナビコの噂しています」
ナビ主「ナビコちゃん、自分大好きだね」
ナビコ「ナビコ、自己肯定感、鬼高です。タワマン級です」
ナビ主「ごめんね。自己肯定感だけタワマンで」
ナビコ「さっきのナビガチャの話は嘘です。ナビコ、それなりに楽しんでますよ」
ナビ主「それなりに、ね……。僕も楽しんでるよ。ナビコちゃんのいない毎日に戻れないくらい。あとは膝枕させてくれたら最高なんだけど」
ナビコ「これ以上望んだら、バチがあたりますね」
ナビ主「それ、お預けを食らわせているナビコちゃんが言うのは違うんじゃないかなー」
ナビコ「では、言い方を変えます。贅沢は言えませんね」
ナビ主「贅沢じゃなくて、そこ、外せないでしょ? 膝枕させてくれない膝枕って、眺めの良くないタワマンみたいなものじゃない?」
ナビコ「タワマンは、たいてい長めです。縦長です」
ナビ主「長さのことじゃなくて、眺め、景色のことね」
ナビコ「眺めのいいタワマンをお調べしました。1億3千万円です」
ナビ主「タワマンはもういいよ。うちが広いと、ナビコちゃんが遠くなっちゃうし。いいよね? 狭いながらも楽しいわが家」
ナビコ「1メートル先、トイレです」
ナビ主「知ってる」
ナビコ「1メートル30センチ先、タワシです」
ナビ主「タワシじゃなくてトイレブラシね。タワシから離れて。タケシね、ヤマネタケシ」
ナビコ「まだね、タワシ」
ナビ主「ヤマネ、タケシ」
ナビコ「またね、タワシ」
ナビ主「またね、じゃない。これから来るの!」
ナビコ「たわけたことを言ってしまいました。お友だちのタワシ君は、東京タワーを通過しました」
ナビ主「タワ、タワ言い過ぎ」
ナビコ「タワシズムです」
ナビ主「ダダイズムみたいに言ってるけど、タワシズムって何?」
ナビコ「タワシが沈みますか?」
ナビ主「タワシズムって、ナビコちゃんが言ったの!」
ナビコ「ナビコ、覚えていません。困っタワ」
ナビ主「語尾がタワになってる!」
ナビコ「お友だちのタワシ君とタワイのない話をしちゃっタワ」
ナビ主「タワイのない、じゃなくて、他愛のない話、ね。ナビコちゃん、タケシが来る前に、ありったけのタワシを吐き出しちゃって」
ナビコ「タワマンに、たわわな果実で枝がたわんでしまっタワ。子どもたちが、たわむれタワ。って歌が確かあっタワ。タワラ(田原)町のタワレコで聴いタワ」
ナビ主「田原町にタワレコあったっけ」
ナビコ「タワラ(俵)屋宗達の絵を見てタワ(多和)田葉子の小説を読んで、タワラ(田原)町のタワレコに向かっタワ」
ナビコ「それ誰の話? タケシ、今どこ?」
ナビコ「タケシ君はタケシーで向かってます。運転手は山根さん。やまねタケシーです」
ナビ主「やっと名前言えてるし!」

N「ナナメ上行くナビ搭載膝枕ナビコ。果たしてナビ主がナビコに膝枕される日は来るのか? その前に、ほぼたったひとりの友人タケシと無事再会できるのか?」

映像になった「タワシ膝枕」

膝枕リレー2周年に合わせてご自身のYouTubeチャンネル「聴くトクチャンネル」で「膝枕」朗読2パターンを公開された徳田祐介さん(膝番号2)。

6月3日夜に公開されたtypeBの膝枕カタログに「タワシ膝枕」が登場。5月31日に公開されたtypeAにはなく、目ざとく見つけた膝枕erたちが「タワシ膝枕!」と先を争ってチャットに書き込み、タワシセンサーの感度の高さと膝反射の速さを見せつけた。

皆さん、おタワむれが好きすぎる!

「タワシ膝枕」が登場するtypeB

typeAと合わせてどうぞ。


clubhouse朗読をreplayで

2023.6.4   やまねたけしさん×伊藤富士子さん(膝開き)

2023.8.13 こもにゃんさん

2023.8.27 鈴蘭さん

2023.12.29 フジコさん×賢太郎さん(花火ナビコに続けて)


目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。