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スンバ島ボランティア滞在記・3      ー有機農業研修を行った村へー

有機農業研修で習得できること

私が所属している認定NPO法人 地球の友と歩む会が2017年に有機農業研修を行ったワイクドゥ村を訪問しました。県庁所在地のワインガプから車で1時間弱で村まで行くことができ、近くを川が流れているので、スンバ島の他の村と比べて生活するうえで非常に条件が悪いというわけではないです。しかし、ガス、水道、インターネットといったインフラはありません。インターネットがつながるかどうかで実は大きな違いがでてきます。インターネットがつながる村ではYouTubeなどで自ら野菜の作り方を学ぶこともできますし、作った野菜をfacebookで販売する人もいます。
この村では有機農業研修によって有機肥料、防虫剤の作り方を学び、これまで作ったことのなかったトマト、青梗菜、白菜、キャベツ、十六ささげなどの野菜を作ることができるようになりました。冒頭の写真は十六ささげの栽培風景で、苗はまだ小さいですが綺麗に並んだ支柱を見ると今年もたくさん収穫できることが期待できそうです。

通りすがりに見た畑(支援地ではありません)。川の周辺のみ木が茂っています。

雨季の雨水利用と乾季のポンプ活用

水の確保はスンバ島で最も重要な課題の一つです。多くの地域では、川が谷底を流れていて水汲みのために川まで何キロも歩いて降りていく必要があります。たとえ畑の横を川が流れていても、灌漑設備がなければ畑まで水を持ってくることは困難です。この村ではオランダの支援によるポンプで川から畑に水を引いています。畑まで引いてきた水はプラスチック製のタンクに溜めています。雨季の間、川が増水して川の近くの畑では農作業ができないためそのタンクは家の横に運んで溜めた雨水を生活用水として使っていました。
私たち地球の友と歩む会でもガソリンや電気を使わずに川から水をくみ上げるポンプを開発して村に設置する事業に着手しています。まだこれから試作機の実験を川で行うところですが、普及に向けて徐々にプロジェクトを進めていきます。

農業研修によって村人の生活は向上したか

研修を受ける前も村の人々はトウモロコシなどの野菜を作ってワインガプの市場まで売りに行っていましたが、今は野菜の種類が増えたことで売上が大幅に増えたそうです。と言っても1回市場に売りに行って売上が3,000円、交通費が1,000円かかるという状況です。バイクなどの交通手段を持たない村人にとって町まで野菜を売りに行くことは容易ではありません。村から町まで行くバスが夜9時にしか来ないため、町に夜10時過ぎに到着してしまいます。翌朝まで待機し、市場の外で野菜を売って、そのお金で油や砂糖などの必需品を購入して夕方村に帰るそうです。

課題はまだたくさんある

この村には小学校しかなく、中学校に進学したければ中学校がある町に住むしかありません。スンバ島には学校に行きたいけれど通える距離に学校がない場合、町に住む親戚や知人の家にお世話になるという風習があって、この村でも今年小学校を卒業する二人の少女がワインガプの知人の家から中学校に通わせてもらうという話を聞きました。
インドネシアは日本と同様中学校まで義務教育です。それなのに中学校がない村がたくさんあります。受けられる行政のサービスが町と村で全く違うのです。行政のサービスが行き届くようになれば一番よいのですが、それまでは私たちNGOのような草の根の活動でも、できる限り助けを必要としている地域を支援できればと思います。

スンバ島の特徴的なとんがり屋根の家。茅葺ではなくトタンの屋根が増えてきています。

本記事は、特定非営利活動法人 地球の友と歩む会(https://earth-ngo.jp/)のボランティアとしてインドネシア・スンバ島に滞在中の記録です。
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