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川原卓巳さんから教わったプロデュースの肝に触れて僕が感動に打ち震えたこと

きょうは、世界的プロデューサーの川原卓巳さんから、大変ありがたいことに「プロデュースの極意」の一端を教わった。なんとも贅沢な時間で、そこで得た感動は贅言で尽くせない価値あるものだった。川原さんの手腕は多くのマーケターやコンサルタントと接した私の経験からしても異次元の実力の表れと言って差し支えない。ここでは、川原さんのスタンスを紹介するとともに、今日ご教示いただいたことを足がかりにして私の奥底に眠る「ほんとう」を見つめていきたい。自分の「本音」に素直になるプロセスとして皆さんの学びにつながるものを提示できたら嬉しい。

ペルソナとかターゲット? 知りません

電◯さんや博報◯さんのコンサルを幾度か受けてきた私の経験に照らして、川原さんのプロデュースはそれらと全く異なることがまず指摘できる。いわゆる「ビジョン」や「売り出したい製品・サービスの強み」のなどのアリングをとおして「ペルソナ」を設定し、ターゲットを決めて……といった「型」を川原さんは採らない。彼がまずするのは、製品やサービスを誰にどう届かせるかというポイントよりも「プロデュースする相手の全人格的な気持ちや心を徹底的に深堀りする」ということである。彼は言う。

「彼・彼女がほんとうは何をしたいのか。いろいろな条件や事情や不安があって一歩が踏み出せないのだけれど、ほんとうはどうしていきたいのか。ほんとうは、どう生きたいのか。世界や社会にどう働きかけていきたいのか。そういった本音をまずは聞いていきたいと思っています。それで、本音を言ってもらえるとするでしょ。でも、実はそこからなんですよね、プロデュースは。本音の向こう側から、心の底に眠っていた叫びが聞こえてくるんですよ。それは、本音に正直になれない自分の『ほんとうはこうしたい!』の叫びなんです。それを聞いた時に僕のなかでプロデュースのプランニングが動き出すんです」

本音のさらに向こう側の叫びを聴く

川原さんは、その人の人生の来し方を丁寧にヒアリングする。そしてその人が今、「ほんとうはやりたい」と思っていることがその人の人生にとってどんな意義を持つのかを理解することに努めている。その意義が、社会にとって、人びとにとって、またその人自身にとってどう活きるのか。またその人が「より豊かに」なる道筋にはどういうものがあるのか、ということを足がかりにして考えを練り出すのが彼のメソッドである。

「いきなり大きな話になっちゃうんですけど、たとえば『こんまり流の片づけメソッド』って、人類的にどういう意味があるのかって考えるんですよね。世界的にこれだけメソッドが売れているということは、人類にとってそれだけ必要があったということです。その点を踏まえ、メソッドが『なぜ必要とされているのか?』という点を突き詰めました。気づいたことの一つは、時代を経るにつれてモノがあふれ、人がモノを所有し、生活が便利になっていく段はそれでいいのだけど、今はモノがあふれすぎて、モノが家に散乱して、家のなかで整理整頓が必要になってきた、という事実なんです。モノを所有する豊かさから、モノを手離す豊かさが求められるようになった。手離す幸せが注目されるようになった。そこに、片づけのきっかけを提供したのが、こんまりさんなんです。歴史的必然性を理解することが僕は大事だと思っています。生活におけるモノの適正な量を知るタイミングをある意味『与えて』いるのが、こんまり流メソッドです」

世の中のプラスになるかどうかを考える

川原さんは、こういった「本質を深掘りする作業」を常にしているという。ペルソナもターゲットもあまり関係がない。むしろ大事なのは、人類にとって何が有益で、何が人類の豊かさにつながるかという抽象度の高い次元に思考をめぐらしつつ、目の前の人のプロデュースをその次元の最大価値につながるように調整していくということだ。それを、抽象的な段階から一気に具体策に落とし込むのが川原さんの真骨頂である。彼は言う。

「その人が生まれた意味を最大化したいんですよね」

「すごく現実的なくせにすごく夢想家なんですよね、僕」

川原さんは、この抽象と具体を行き来しながら、プロデュースの施策を編み出している。

自分に素直になることの難しさ

みなさんは、自身の本音と向き合っているだろうか。自身の本音がどこにあるかをご存じだろうか。ひょっとしたら、本音がわからず迷っているかもしれない。本音の聞き出し方、内省の仕方がわからず悩んでいるかもしれない。内省も、ある意味、筋トレのようにトレーニングが必要である。自分の「ほんとう」に耳を澄ませることにはある程度の訓練が必要だ。

では、どうしたらいいか。一人で訓練するのも大切だ。だが、それで行き詰まるようなら、むしろ安心して、また信頼できる人に相談してみるといい。まわりの人は、案外あなたの本音につながるヒントを持っているものだ。あなたがほんとうはどうしたいのか。それを対話しながら鮮明にしてくれる友は必ずいる。そういった人に思い切って頼るのが手だ。もしかしたら、頼るのが苦手で「そうはいかないよ」という人もいるかもしれない。そのときは、頼るのを促してくれる友やコンサルにお願いするのでもいい。川原さんのような人と巡り会えたら最高だが、世の中にはすぐれたコンサルタントやコーチもいる。ぜひアクセスして欲しい(ただ、後述するように、この価値を提供してくれるのはコンサルばかりとは限らない)。

本音を発掘するために第三者の力を借りる

良いコンサルかどうかを見極める点は以下だ。

「コンサルをする時に、コンサルの手法の『型』にあてはめる素材集めのためにヒアリングをしている人はあまり良くない。自分が提案したいことのためだけに素材集めをするのでは、相手に寄り添うことはできないから。それって空気としておかしいと思うんです。それがないと、プロデュースする側とされる側みたいな上下関係も生まれるし、本物じゃないと思う。僕は、人対人を大切にして、『一緒にやっていこう』って思ってプロデュースしているんだよね」

私の肌感でいえば、このレベル感のコンサルタントはそうそう居ない。ただ、コンサルからの提案はさておき、自分の背中を後押ししてくれるレベルのコンサルならある程度はいる。第三者に関わってもらうだけで、新たな一歩を踏み出す勇気が得られ、踏ん切りがつくのは事実だから、友人知人、コンサルにたよってほしい。

いや、もしくは自分がいつもつき合っている仲間内の「外」にいる人たちと意識的に出会うことも大切だ。むしろ、こちらの方が価値があるといえるかもしれない。ぜひ、いろいろな人と出会い、視野を広げて欲しい。私は15,000冊超の本を読んできているが、個人的には、時として「人との出会いは千冊の本を読むのにも勝る」と思っている。

僕・正木の場合のビジョンはどうか

川原さんの視点は、巨視的であり具体的だ。プロデュースをする時に、『相手と接するなかで人類にどんな豊かさがもたらされるか』『その人の人生にどんな意味がもたらされるか』『その人の周囲の人にどんな良い影響がもたらされるか』を考えている。

僕の場合はどうか。

僕は、人生のコンセプトを「社会で弱くさせられている人たちの声なき声を聴診器のように聴いて、自ら拡声器となってその声を世に広める」をテーマに活動している。僕は、いま自分なりにこのテーマに沿う人生を、ともがき、悩み、前進しているけれど、本音と向き合うという点においてはどこまでできているか心許ない。いま動き出しているのは

・来年3冊ほどの自身の書籍発刊
・初の脚本書き
・連載4本のさらなる購読者獲得
・本業のマーケティング・広報PRでの成果出し

である。これらは、一つ一つとれば具体的なかたちになろうとしているが、しかし、これらが人類や自分の人生にとってどんな意味を持つのかについては、あまり深掘りできていなかった。そもそも、「社会で弱くさせられている人たちの声なき声を聴診器のように聴いて、自ら拡声器となってその声を世に広める」という取り組みをしている人は、すでに世の中にいっぱいいる。しかし、その活動はうまく注目されてこなかった。こういった話題に共感する人はいるけれど、なかなかその輪は広がらない。ここをどうするか。人類史なかで、歴史的な弱者救済のエピソードはつねに特異点であり続けた。私は、きょうの川原さんの話を受けて

「これを特異点にしてはならない」

と思った。

僕にしかできないことは何だろう

本を書く時によく「再現性」ということが言われる。誰もが明日から本に書かれたことを実践できること。それが内容になって本に載っていることが、発刊する書籍にとって重要なのだ。僕はこの再現性を、弱者救済においても実現したいと思っている。それは、ペットボトルの蓋を集めて車椅子と交換し、寄付しましょうといった日常からできることの推奨だけで終わってはならない。もっと永続的で、人びとの心の奥底に響き、万人にその取り組みが習慣化されつつも、意識的に「なぜいまその行動をするのか」に立ち返れるようにすることが大切だ。僕は、この点について、きょう再度、問いかけた。

どこまで本気で僕はこれをしたいのか。

この取り組みは僕の本音に根ざしているのか。

人生の意味と取り組みはリンクしているのか。

この取り組みで人類にどう貢献したいのか。

じつは、ここが鮮明でないことに僕は気づいた。

卓巳さんは言う。「コンテンツは常に、外ではなくあなたの中にある」。僕は、自身の深掘りをサボっていた。自身の本音や欲望と向き合うことをおざなりにしてきた。それがゆえに、いま僕は、正直、フラフラして生きている。恥ずかしい感じがするが、これが現実である。きょうは、そんな自分の至らなさを突きつけられた。

あー。

なんという気づき。

僕の人生の第3ステージはきょうから始まる。

川原さん、ありがとう。

※きょうは総論的な話でしたが、各論についても今後の彼の発信に期待してください。

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