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A Quick-boiled――寝てたまるか

退屈で空虚な仕事を終えすごいバーボン片手に何とも汚いとしか言いようのない古アパートで安い魚肉ソーセージを齧っているとふと昨夜もつ煮屋で耳に入った国際ギャング団の噂を思い出すとともに何か凄いことをひらめいた木佐貫檀はトレンチをひらりと羽織り愛車の日野コンテッサ1300クーペを吹かし左折して山手通りへ1.4km首都高に乗り用賀から環八第三京浜目的地付近と八面六臂のドライヴィングテクニックで真っ暗な港の隅っこに純白の日野コンテッサ1300クーペを停めていかにも怪しげなリベリア船籍の貨物船にひらりと乗り込むと背後から鈍い衝撃を受けすぐに意識を失い

うッ





はッ

気づいたら両手を縛られ猿ぐつわをはめられていたダンディな木佐貫檀は黒衣を纏った国際ベルベル団たちに囲まれピストルを突きつけられていたがトレンチの裏に付けていた最新技術機器 G.P.S. により恋人兼相棒の柳沼玲が危機一髪のところで駆けつけ逆に国際ベルベル団たちをマシンガンで掃討して彼らが隠し持っていた麻薬とかすごい現金とかを手にすることに成功した国際指名手配超絶凶悪犯のダンディな木佐貫檀とその愛人兼共同正犯の柳沼玲はそのすごい現金のほんの一部で極秘裏ルートの偽造旅券を作成し某国へと高飛びしたのであったが待ち受けていたのは実に筆舌に尽くし難い試練であったのだ。

(第1部第1章第1項の1の1 附 完)


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