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失敗しないデータ利活用ツールの選び方

データ活用基盤のデータの収集、蓄積、前処理、分析などには必要な機能を揃える必要があります。これらの機能を実現するには、大きく分けて「スクラッチ開発」と「商用ツール活用」の2つの手段があります。現在、従来のスクラッチ開発より、導入期間の短縮、将来的な拡張性や運用保守の容易性などを考慮し、クラウドやSaaSをベースとしたツールの導入や活用が主流になりつつあります。しかし、そのツールを選定する際に、「同じ機能を実現できるツールが多すぎて、どう選べばいいか分からない」、ツール選定の際に十分な検討を行わず、ツール導入後に「こんなはずじゃなかった」という声をよく聞きます。これからツールの選定のステップおよびポイントを見ていきます。ツールの選定は以下のような手順を踏むことが一般的です。


上記のツール選定の手順については、3つのポイントを補足します。

▼ポイント① 要件の整理が先、ツール選定が後

ツール選定にいきなり飛び込まずに、ツール選定の前にまず自社が求める機能要件と非機能要件をハイレベルで整理し、自社にとっての重要度を付けておくことがポイントです。例えば、データ連携基盤に対して、整理されたハイレベルの機能要件と非機能要件および重要度は次の図のイメージで示しています。

 

▼ポイント② 要件への適合性を見極める

ツール選定の際に、「こんなことが実現したい」という要件の整理を飛ばして、いきなり複数のツールを横並びにして、機能の比較に没頭する人をよく見かけます。 しかし、多くのソリューションについては、ツールの機能性が同質化しており、機能の差異に優劣を付けるのが現実的に難しくなっています。仮に莫大な時間をかけて、微妙な機能の差異を特定できたとしても、その機能の差異は自社で実現したいことと無関係であれば、機能差異の比較がたったの「自由研究」にすぎません。機能差異の比較に労力をかけるよりも、本来の目的である「こんなことが実現したい」に目を向けて、自社が求めている要件を整理した上で、その要件に対して各ツールのアセスメントを行い、自社要件への適合性を見極めることに注力した方がよいでしょう。

▼ポイント③ ツールの生産性をPOCで評価する

スクラッチ開発より商用ツールを選択する目的のひとつは、ツールを活用することで、システム開発と運用保守の生産性を向上させることです。ツールの機能性が同質化している中で、開発・テスト・運用保守などをサポートする標準機能が揃っているか、それらの機能に対するベンダー側のサービスレベルが十分なのかは、見落としがちな選定項目でもあります。具体的に、ノーコードで開発可能のGUI、テストで処理の途中結果を確認できるプレビュー機能、各種稼働ログの自動集計・可視化機能などの有無を確認する必要があります。加えて、ベンダー側のサポート体制、サービス時間、日本語での問い合わせ対応など、システム開発と運用保守の生産性に大きく影響を及ぼす項目をPOCの実機検証で評価しておくのも重要です。例えば、機能面ではずば抜けたグローバルツールであっても、日本ではサービス・保守支援拠点が存在せず、日本語での問い合わせもできないケースも多々あります。その際に、自社の運用保守をタイムリーで行うことができるかという評価観点も入れるようにしましょう。

▼おわりに
上記で述べた内容は、私の著書に詳しく論じています。データ利活用に興味がある方は、ぜひ手に取って頂ければと思います。


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