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shift innovation #32 (V.School hack)

V.Schoolカフェ「移動と価値:利用者の行動変容をいかにうみだすのか」のイベント(オンライン)に参加しました。(途中から)



【イベント概要】

イベントでは、「移動」に焦点をあて、移動における価値とはなにか、価値創出につながる利用者の行動変容をどのように引き起こすかについて、これまでの事例を紹介するとともに今後の展望について意見交換します。

まず、スタジオポピー夏目氏から「SPOBY」(ひとの移動で脱酸素と健康を実現するアプリ)について説明いただくとともに、入間市などにおける取り組みについて紹介いただきます。

次に、デンソーテン山田氏から来街者の回遊性向上と地域振興を目指す「Be kobe Fun」など、これまでの取り組みについて紹介いただきます。

パネル形式で、移動を行動主体の価値だけではなく、社会の価値にどのようにつなげていくのか、そのためのユーザの行動変容をどのようにうみだすのかについて展望します。


【スタジオポピー活動概要】

入間市と連携し、「SPOBY」を活用することにより、市民の行動変容による脱炭素量や歩行量を可視化し、環境面・健康面での定量的な行動変容を計測することによって、人流データを分析し、未来のまちづくりの提案をしています。

また、市民が貯めた脱炭素量と地域店舗が協賛する特典を交換する仕組みにより、地域産業の活性化、市民の活動量増による健康増進を目指しています。


【デンソーテン活動概要】

「KOBEスマートシティフェア2023」において、安全な移動と消費行動の活性化を促す回遊性向上サービスとして、スマートフォンアプリを活用し来街者の嗜好に合わせた街の魅力を伝えることにより、三宮や元町、ウォーターフロントエリア、北野等への人の流れ(回遊)を創造し、街の活性化につながるサービス実現を目指しています。

サービス利用者への移動距離に応じたポイント付与や個人の趣味嗜好に合った店舗・施設・観光名所などのおすすめ情報を提供することで利用者の回遊意欲を高める上で、貯めたポイントはクーポンとして利用することができます。


【取り組みにおける課題】

両社における取り組みにおいて、イベントの中で取り上げられた課題として、両社が自治体と連携をし、市民等の地域内の回遊性の向上により、地域活性化、市民の健康増進の実現を目的に、クーポン券を発行することによって、市民等の行動変容を促進するという取り組みとなります。

しかし、「クーポン券を発行する魅力的な店舗が増えるのか」、また、「魅力的な店舗のクーポン券が増えれば、市民等は持続的にサービスを利用するのか」というような課題が取り上げられていました。

両社においては、これらの取り組みはあくまでも脱炭素や健康増進の実現への行動変容のきっかけとなるものであり、これらの取り組みをもって、目的すべてを実現させるものではないという見解のようです。

そこで、これらの取り組みを持続可能なサービスとする上で、新たな仕組みについて、提案することとします。


【課題解決の提案概要】

これらの取り組みを持続可能にする上で、時間軸に基づく新たなトリガーとなる仕組みを導入することとします。

今回の取り組みは、脱炭素、健康増進、地域活性化などの実現を目的としていますが、これらの取り組みは、短期的な取り組みでは実現することは困難であり、長期的な仕組みが必要となります。

例えば、これらの中でも、健康増進に関しては、健康が増進することにより、老後の生活が長期間となりますので、その際、特に必要となる老後の資金に対する不安が生じることとなるのではないかと考えられます。

この課題に対して、クーポン券の発行という短期的なトリガーだけでは、持続可能な取り組みとすることは困難であり、長期的なトリガーとなる仕組みが必要となります。

そこで、長期的な行動変容を促すトリガーとして、老後に必要となる資産を形成できる新たな仕組みを提案することとします。


【課題解決の提案内容(脱炭素・健康増進による資産形成)】

今回の取り組みに関しては、「移動」の価値に焦点をあてたものであり、乗り物による移動により、二酸化炭素の排出量が増加することから、徒歩による移動へ転換することによって、脱炭素を実現するものとなります。

そこで、乗り物、例えば、バスによる移動を徒歩による移動に転換した場合、脱炭素を実現することができることはもちろんのこと、個人においては、バス移動による運賃を節約することができます。

このように節約できた運賃を、短期的に使用することはできるものの、バスによる移動を徒歩による移動へ転換することにより、健康の増進が実現することによって、長期間の老後生活が待ち受けていることを踏まえ、この節約できた運賃を老後に必要となる資産形成に活用することとします。

老後に必要となる資産形成に活用するための仕組みとして、はじめに、徒歩による移動距離に基づき、バス移動による運賃に相当する金額を、資産形成に活用することとします。

金融機関においては、バス移動による運賃に相当する金額を、個人の普通口座から目的別口座へ移管することとします。

証券会社においては、金融機関の目的別口座の資金を、毎月一回、環境に配慮したESG企業の投資信託に投資することとします。

ESG企業においては、投資を受けた資金に基づき、脱炭素などの環境に配慮した企業活動を実施することとします。

これらの仕組みを証券会社が運営することとし、金融機関、証券会社、及び投資先であるESG企業との関連性において、脱炭素の実現に向けた好循環となる仕組みを構築することとします。

これらの仕組みによる脱炭素の実現のために、乗り物による移動を徒歩による移動へ転換することにより、健康の増進が実現することによって、長生きすることができます。

そして、長生きするためには、老後の資産形成が必要であり、乗り物による移動を徒歩による移動へ転換することによりできた資金を、ESG企業へ投資(信託)することとします。

その結果、資産的にも環境的にも老後の生活を安心して暮らせることになることから、この仕組みによって、市民による脱炭素への行動変容を促進させることができるものと考えます。


【課題解決の提案内容(地域店舗との連携による地域活性化1)】

脱炭素・健康増進の実現に対する取り組みにおいて、前段では老後のための資産形成を優先事項とし、仕組みを構築しましたが、次いで、地域活性化させる上で、自治体との連携による仕組みを構築することとします。

自治体においては、街の回遊性を向上させることにより、地域活性化につなげることができることから、地域の店舗と連携をし、クーポン券の発行をすることによって、スマートフォンのアプリへの登録を促進すると共に街の回遊性を向上させることとします。

スマートフォンのアプリの運営を、証券会社が実施することとした場合、証券会社においては、スマートフォンのアプリの登録者数を増加させる上で、自治体と連携した仕組みを構築することとします。

自治体との連携した仕組みとしては、市民及び観光客に分けることとし、市民に対する仕組みとして、健康増進を実現する上で、乗り物による移動を徒歩による移動へ転換させましたが、環境に配慮した行動をさらに広く捉えることにより、食による健康増進の実現も加えることとします。

例えば、食による環境問題として、フードロスに関する問題がありますが、スーパーマーケットなどの食品販売店における賞味期限前の食品情報を、スマートフォンのアプリの登録者に対して、プッシュ通知を優先して行い、予約できるようにすることによって、スマートフォンのアプリの登録者は、賞味期限前の割引された食品情報を入手できると共に環境問題の解決にも貢献することができます。

そして、割引された金額に関して、乗り物による移動を徒歩による移動に転換した場合と同様に、金融機関における個人の普通口座から目的別口座へ移管した上で、証券会社においては、金融機関の目的別口座の資金を、毎月一回、環境に配慮したESG企業の投資信託に投資することによって、ESG企業においては、投資を受けた資金に基づき、脱炭素などの環境に配慮した企業活動を実施することとします。

これらの仕組みは、「移動」による価値創出とは異なりますが、環境に配慮した行動をさらに広く捉えた場合、今後、必要となる行動でもあり、この仕組みが徒歩による移動へのトリガーとなることによって、市民による脱炭素への行動変容を促進させることができるものと考えます。


【課題解決の提案内容(地域店舗との連携による地域活性化2)】

次に、観光客に対する仕組みとして、街の回遊性を向上させることにより、地域の店舗における購買を増加させる上で、クーポン券を発行することとします。

しかし、観光客が来たときのみ利用できるクーポン券である場合、脱炭素という大義名分があったとしても、観光客がわざわざスマートフォンのアプリを登録するとは考え難いことから、クーポン券の割引率を上げる、またはクーポン券以外の魅力的なメリットがないと持続可能なサービスとすることは困難であると考えられます。

例えば、スマートフォンのアプリの運営を、証券会社が実施することとした場合、証券会社において、自治体におけるスマートフォンのアプリの登録促進に対して、手数料を支払うこととし、観光客がスマートフォンのアプリに登録した場合、各店舗におけるクーポン券の割引率を高めることとします(クーポン券の費用の一部を証券会社が負担することとします)。

これによって、各店舗は割引率の高いクーポン券を発行することができ、観光客は割引率が高いクーポン券を魅力に感じてスマートフォンのアプリを登録し、自治体は観光客による街の回遊性を向上させることができることとなります。

そして、証券会社においては、スマートフォンのアプリの登録者が増加することにより、スマートフォンのアプリの登録者によるESG企業への長期投資を増加させることができることとなります。

この仕組みは、当初のコンセプトを踏襲した仕組みでありますが、クーポン券の割引率を高めることによって、観光客による脱炭素への行動変容を促進させることができるものと考えます。


【まとめ】

社会的価値と経済的価値を両立させるためには、長期的視点により捉えることが重要であり、特に環境問題に関しては、短期的に解決できるものではなく、長期的な取り組みにならざるを得ないため、持続可能なサービスを提供するためには、老後のための「資産形成」や毎日購入する必要がある「食」など、長期間取引する必要がある仕組み、長期間取引することができる仕組みをトリガーとする必要があると考えます。

また、新たな仕組みを導入する上で、自治体と連携するなど、地域単位による仕組みを導入することも重要ではありますが、地域に関係なく導入することができる仕組みも重要であり、検討するにあたっては、時間軸・空間軸の両軸を踏まえた仕組みを検討する必要があると考えます。

そして、老後のための「資産形成」に関しては、老後に不安があるものの、若い時からコツコツと貯蓄することが習慣化できないことも多く、また、毎日購入する必要がある「食」に関しても、できる限り節約したいものの、購入可能な時間に店舗に行くことができないなど、制約が多いこともあることから、このような仕組みを導入することによって、これらの課題を解決することができるものと考えます。

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