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shift innovation #28 (IAMAS hack 1)

今回、IAMAS(情報科学芸術大学院大学)が企画するバウンダリーメディアに関するワークショップに参加しました。


【ワークショップ趣旨】

企業がイノベーションを実現するためには、創造した事業アイデアの実現に向けてプロジェクトメンバーが協働する必要があります。しかし協働を促進するような事業アイデアの創造は困難です。この課題を解決するために、媒体(メディア)に着目したワークショップを設計しました。

バウンダリー・メディア・ワークショップでは、イノベーションを目的とした事業アイデア創造を行うグループを設定し、テーマに従ったアイデア創造を行います。アイデア創造の過程で、テーマを創作的に表現したメディア(バウンダリーメディア)を制作し、それらを鑑賞することを通じて、グループ全体のアイデア創造の視野を広げることを目的としています。


【プログラム】

フェーズ1 ファーストインプレッションに基づくアイデアの創出1
フェーズ2 課題コンセプトに基づくバウンダリーメディアの制作
フェーズ3 バウンダリーメディアの選定
フェーズ4 バウンダリーメディア(グループ内)に基づくアイデアの創出2
フェーズ5 バウンダリーメディア(グループ外)に基づくアイデアの創出3
フェーズ6 アイデアの選定


【バウンダリーメディア】

イノベーション活動において、今までにはない新たな発想が必要となる中で、個人の知見、組織内の知見だけでは、新たな発想は難しいとされています。

オープンイノベーションなどにおいては、関連性の低いと思われるような新たな知見との融合により、イノベーションが促進されることがあります。

バウンダリーメディアとは、このような新たな知見に基づき、言語化されていないメディアを活用し表現することにより、新たなアイデアの創出を触発することをはじめ、多様な人を集めること、ビジョンなどにより意思統一すること、内発的動機を高めることができるというもののようです。

なお、shift innovation #28 (IAMAS hack1)においては、ワークショップ趣旨に基づき、バウンダリーメディアを活用することにより、新たなアイデアの創出を触発することに関する説明をすることとします。


【ワークショップ課題】

ワークショップにおいて解決する課題とは、「森の深呼吸」というコンセプトに基づき「デスクライト」を創出するというものです。


【フェーズ1】

コンセプトである「森の深呼吸」に対するファーストインプレッションに基づき、デスクライトのアイデアを創出するという課題となります。

はじめに、「森の深呼吸」からイメージしたのは、「森林浴をしている時、森が深呼吸することにより、マイナスイオンが発生し心が癒されることによって、いつの間にか深い眠りに入り、そして、自然に目覚める」というとコンテクストです。

そこで、イメージしたデスクライトとは、寝室のテーブルの上に置くライトで、タイマーにより寝る時間になると、ゆっくりとライトが消えて、朝になるとゆっくりとつくライトがつくことによって、気持ちよく寝入り、目覚めることができるという「目覚ましライト」になります。

ライトの形状としては、日が沈み、日が昇るイメージより、太陽のように丸いライトで、寝るときはゆっくりと長いアームの先についたライトが下がる(沈む)ことにより、ライトがゆっくりと消え、そして、朝になるとゆっくりとライトが長いアームの先へ上がる(昇る)ことにより、ライトがゆっくりとつきます。※ワークショップ終了後アレンジあり


【フェーズ2】

デスクライトとは関係なく、イメージした「森の深呼吸」そのものを、用意してある部材を使用しバウンダリーメディアを作成するという課題になります。

はじめは、「森の深呼吸」について、全くイメージできなかったのですが、用意してある部材を順番に見ていく中で、「ネット」があったことから、「ネット」を活用し何かできないかと考えました。

そして、「ネット」を持って歩いていると、反対側に「葉っぱ」が入った袋がったので、「ネット」にたくさんの「葉っぱ」を入れている中で、「ネット」に入れた「葉っぱ」で木(森)を表現できないかと、「ネット」に入れた「葉っぱ」に「枝」を取り付けました。

次に、「葉っぱ」と「枝」を地面を想定した「石板」の上に立たせるために、「粘土」を使用することとし、黄色・水色・ピンクの3種類の「粘土」がありましたが、水色の「粘土」を見たとき、木(森)の生命力の強さを表現する上で、木(森)が地面から水を吸い上げている様子を表現することとしました。

そして、「石板」の上に水色の「粘土」を貼り付け、また、地面から木の上に這い上がるようなイメージで「枝」に水色の「粘土」を巻き付けました。

このようにして表現した「森の深呼吸」とは、地面から水を吸収し枝葉の先々まで行き渡ることにより、森が大きく深呼吸することによって、地球の空気が良くなる、つまりは、地球環境が良くなるというイメージを表現しました。


【フェーズ3】

グループのメンバー各自が表現したアイデアについて、コンセプトなどを発表しあった後、グループで一つのアイデアを選定しました。

選定されたアイデアに関して、他の方が創出したアイデアであり、私が解釈した内容とは、大きなアルミホイルをぐしゃぐしゃにした状態で森全体を表現し、その上には部分部分にネットがかかってあり、森が雲に覆われた様子を表現しており、そして、森の中には紫色の発光する棒を埋め込むことによって、森の中に暗い闇をイメージさせているようにも感じました。

ここで、他の3名の方の発表を聞いていると、私のアイデアは、他の方とは異なり、森の中の木そのものを表現しており、抽象度が低く具象的な形を表現するなど、コンセプトである「森の深呼吸」をそのまま表現したアイデアとなっていました。

一方で、他の方は「森の流体」や「自然物と人工物のバランス」など、自身が表現したい森に対する意図を取り入れつつ、抽象度を維持した状態でアイデアを創出していましたので、まるでアート作品のように表現していたことから、私自身そのような表現ができていなかったと反省すると共に大きな学びとなりました。


【フェーズ4】

グループ内で選定したアイデアをバウンダリーメディアとして活用し、各自が新たなアイデアを創出するという課題となります。

選定したアイデアに関して、私が解釈した内容である、森の中に紫色の発光する棒が埋め込まれ暗い闇をイメージしましたので、はじめに、「本当にデスクライトは周りを明るくする必要があるのか」という問いを発しました。

例えば、暗がりの場所でスマホの画面を使い周りを照らす場合がありますが、スマホのライト機能を使うまでではなく、はっきりと見えるようにする必要がない場合もあります。

そこで、上記のようなスマホの活用事例を参考にし、スマホの画面の明かりをライト代わりにし、明るさも抑えることによって、何ら問題なく使用できるシーンもあり、そして、消費電力を削減することもできますので、地球環境にも良いものとなります。

また、日頃、スマホを使い過ぎることにより、目が悪くなり、首を痛め、姿勢も悪くなることもあるため、スマホの画面の明かりをライト代わりにすることによって、その間、スマホが使えなくなるなど、スマホの使い過ぎがなくなり、健康に良いものとなります。

ライトの形状としては、ライト自体は所有するスマホとなりますので、基本的な部材は、ライトになるスマホを装着するアームと土台となり、アームの先にライトに代わるスマホをセットできるという形状となります。


【フェーズ5】

他のグループで選定したアイデアをバウンダリーメディアとして活用し、各自が新たなアイデアを創出するという課題となります。

ここでは、他のグループが選定したアイデアに関する情報はなく、表現したバウンダリーメディアのみで新たなアイデアを創出することとなります。

そのバウンダリーメディアとは、三つのコップの飲み口が合わさったような形状になっており、少し形状は違いますが、私はテトラポッドをイメージしたことから、三つのライトを上手く組み合わせて新たなアイデアを創出できないかと考えました。

はじめは、光の三原色である「赤」「緑」「青」を向き合わせた焦点の部分に、明かりで照らしたいものを置くことにより、周りからはカラフルできれいに見え、照らしたいものは「赤」「緑」「青」が重なり合うことによって、くっきりと見ることができるというアイデアを考えました。

しかし、光についての知識がなくイメージだけであり、物理的に実現可能であるのか、実用的なものとなるのかがわかりませんでしたので、異なるアイデアを考えることにしました。

そこで、創出したアイデアとは、通常であれば、一つのライトにより、明るくする、暗く落ち着いた雰囲気にするなど、必要なシーンに応じて一つのライトで照度を調整することとなります。

しかし、創出したアイデアとは、明るさを求める「太陽」、暗く落ち着いた雰囲気を求める「月」、穏やかさを求める「地球」というように三つのライトとなりました。

そして、「太陽」「 月」 「地球」の形状をした三つのライトを、気分に応じて使い分けることとし、「太陽」「月」「地球」というライトの形状を見るだけで、明るさをイメージできるようにしました。

ライトの形状としては、長いアームの先に「太陽」「月」「地球」という形状をした丸い三つのライトを等間隔で取り付け、気分に応じてスイッチを変えることできるという形状となります。

なお、ライトと自身のSNSを連動させることにより、自身のSNSのコメントなどから、その時の気分をAIが推察し、「太陽」「月」「地球」のライトを自動的につけ分けることとします。※ワークショップ終了後アレンジあり


【フェーズ6】

グループのメンバー各自が表現したアイデアについて、コンセプトなどを発表しあった後、グループで一つのアイデアを選定しました。

選定されたアイデアに関して、他の方が創出したアイデアであり、植物を支える「支柱」を自由自在に変形できるようにした上で、「支柱」の各所にライトを内蔵させます。

そして、ライトが内蔵された「支柱」に植物をはわせることにより、植物の間から「支柱」に内蔵されたライトの光が木漏れ日のように光ることによって、森が深呼吸しているような幻想的なイメージとなるというアイデアとなります。

このようなデスクライトが家の部屋にあると、木漏れ日のような幻想的な光により心が癒されることはもちろん、植えた植物によるリラックス効果により心が癒されるなど、まさに森の中にいるかのようなシーンをイメージすることができました。

なお、私自身の反省点としては、途中から「森の深呼吸」というコンセプト(目的レイヤー)を失念し、機能レイヤーや物理レイヤーで捉えていたこともあり、ライトに暗さを求めたアイデアやライトの形状により明るさをイメージできるアイデアとなってしまいました。


【まとめ(感想)】

バウンダリーメディアに基づき、新たなアイデア(フェーズ4・フェーズ5)を創出しましたが、バウンダリーメディアは、言語とは異なり、抽象的な媒体であるので、事実に対して当初想定していたものとは異なる様々な解釈ができることから、様々な解釈を基点とし、アイデアを発散させることによって、イノベーションを促進することができるのではないかと思いました。

例えば、フェーズ4においては、選定されたアイデアの創出者は、「光が多方面へ反射する」という意図を表現されていましたが、それに対して、私は「森の中の暗い闇」という解釈しました。

その結果、選定されたアイデアの創出者は、「支柱の各所に自由にライトをつけることができる」というアイデアとなりましたが、一方で、私は「明るくないスマホの画面をライト代わりにする」というアイデアとなりました。

また、フェーズ5においては、選定されたアイデアの意図がわからない中で、抽象的に表現されたバウンダリーメディアのみを基点とし、自身の解釈によりアイデアを創出しました。

そのアイデアとは、三つのコップの形状から、光源(ライト)を三つにするという発想に基づき、「光の三原色で一つのライトを作る」「気分に応じた『太陽』『月』『 地球』の三つのライトを作る」というアイデアを創出しました。

これらのことは、アート、特に抽象アートに関しては、アーティストの意図に基づく作品に対して、鑑賞者の解釈が合わさることによって、作品が完成されるというように、鑑賞者の今までの経験や学習により、100人いれば100通りの解釈があり、様々な作品が完成されることとなります。

よって、バウンダリーメディアに関しても、抽象的な媒体を基点として、アイデアを発散することにより、様々なアイデアが創出されるなど、イノベーションを促進する上で、極めて有用ではないかと思いました。

なお、バウンダリーメディアを選定する基準を明示しておく(浸透させておく)必要があり、同じコンセプトであっても、個人が表現したい意図を取り入れたバウンダリーメディアを選定し、そして、選定を繰り返すことによって、当初とは異なるアイデアが創出される場合もあると想定されます。

よって、その意図がグループ(企業、組織等)におけるコンセプト(ビジョン・ミッション・バリュー等)に適合(浸透)しているか、絶えず確認する必要があるのではないかと思いました。

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