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怒りは正直者

怒りは人間関係においてあまり歓迎されることではない。怒っている人を見ることはしんどいし、怒るにはたくさんのエネルギーがいる。怒りはそんなマイナスの要素をふんだんに持った感情で、付き合うことは大変だ。アンガーマネジメントという言葉はあってもハッピーマネジメントは聞いたことが無いのもそんな理由からだろう。キリスト教では”憤怒”が「七つの大罪」の一つとされているように怒りは普遍的な人間の感情の一つではあるけれど、もちろん人によって程度の差があり中には怒らない人もいる。そんな人は実際に器がとても大きいか、その相手に対して愛想を尽かした後かどっちかだと思う。怒る相手はその人にとって(本当の意味で)どうでもいい人ではないだろうから。

しかし怒ることは自分の許容量を相手にわからせてしまうという意味でとても誠実な行為と言えるのかもしれない。優しさではその人の底は見えずらいけれど、怒りはその人の許容できる限界をまざまざと見せつける。普段どれだけいじられても受身を取って場の雰囲気を優先させる彼のどうしても許せなかった言葉。ふわふわといつでも楽しそうに笑ってる彼女の誰からも笑われたくなかった友の夢。その人がとっても大事にしている物の境界線を時に怒りは炙りだす。

しかし悲しいのは僕がその人が大切にしている物を怒りによって知るときは、僕がそれを傷つけてしまった後だということだ。

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