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板倉雅一2ndソロアルバム制作日記その7

レコーディング歌入れ3日目。

今朝、家を出たら玄ちゃんから携帯への着信履歴とメールが届いていた。
なんだろうと思ってメールを開くと、今日の歌入れのためにぼくが昨夜送った曲のデータが届いていないとのこと。

届いていないのではなくて、データが届いてはいるのだけれど、その届いたデータの中身が無音だったとのことだった。

ガーン!!!

これでは今日予定していた作業の半分がまったく出来ないではないか。

データの中身が無音だったとのことで考えられることは、ぼくが玄ちゃんにデータを送った時に何か不具合が起こったか、データを作っている時に不手際があったかのいずれかであろう。
まったくもって間抜けとしか言いようがない。

仕方がないので、代替え案を行きの電車の中で少し考える。
そうだ!ライブで使っているオケを使えば、他の曲の歌入れが出来るかもしれない!

今日予定していた曲とは違う曲になるが、その案でどうにか行けそうな気がしてきた。
さっそく玄ちゃんにメール。どうやらその案で行けそうとのこと。

ひとまずはちょっと安心。

玄ちゃんスタジオに到着して、早速本日一曲目の歌入れにかかる。
Bricksのナンバーで「Daydream」と言う曲だ。
この曲はBricksのアルバム「Goofy」に収録されている曲で、ぼくの作詞作曲のナンバーになる。いわゆるマイナー調の暗い曲だ。

Daydreamの歌入れ開始。
むむ、いざ歌ってみると、これは思っていたよりずっと手強いぞ。
この曲は音域もそんなに高くないし、楽に歌えるだろうと鷹を括っていたのだが、そうは問屋が下さなかった。

マイクに向かって歌入れ中。

テンポが遅いぶん、高いパートに差し掛かる箇所がとっても苦しい。
しかも歌詞の意味のニュアンスを、ボーカルで表現するのもかなり難しい。
それでも何度か歌っているうちにだんだん感じが掴めて来た。

まだ腰が痛いので、最初のうちは椅子に座って歌っていたのだが、ボーカルが高い音程に差し掛かり、張って歌う箇所になると、やはり座っているととっても歌いにくい。
なので途中から立って歌うことに変えた。

立ってマイクに向かって何回か歌っているうちに、だんだん腰が痛くなってきた。
どうしても腰をかばって歌うため、踏ん張りが効かない。

でもなんとか頑張って歌うことが出来た。

そして休憩後に二曲目の「What’s goin’ on?」へ。
これは冒頭でも述べた通り、本日の予定には無かった曲。
急遽やることになったため、オケの音源を探したりなんだかんだで、ちょっとバタバタする。

本来今日やる予定だった曲は、まったくの新曲でバラードのナンバーだった。
これは突如出来た曲で、ぼくもなかなかの自信作と自負している曲。
仮タイトルは「帰路」としていたのだが、「追憶」というタイトルに変えた。
タイトルの通り、昔のことを振り返る曲。

最近ぼくが作る曲達は、過去を振り返る曲が結構ある。
もうすぐそこまで古希が見えて来ている身としては、どうしてもそのような歌詞の曲が多くなってしまう。

さすがにこの歳で「さぁ、夢をつかもうぜ」とか「願えば必ず夢は叶う」のような歌詞は作れないし、いや作れなくはないけど、自分にとっては必然性やリアリティがあまり感じられない。
「君と出会えた奇跡」的な歌詞も書けない。というか書く気分になれない。
まぁ、歌詞がノンフィクションである必要は無いので、そんな曲を作るのも全然アリなんだけど、どうなんだろ?

経験上、少し醒めた言い方をしてしまえば、夢は叶わないことのほうが多いし、そんなに簡単に夢は掴めない。あくまでもぼくの体験だけど。
そして「君」と出会えたことも奇跡でもないし。

こんなことを言ってしまうと身も蓋もないのだが、60歳も後半になってくると、物事を斜に構えて見てしまうことが多々あったりするのである。

だからというわけでもないが、今のぼくには若者が聴いているような歌詞の、いわゆるJ-POPのような曲は作れない。
それでも今の自分の感性を信じて曲を作っている。

今のぼくの心境は、まさに今日歌入れをした曲の歌詞の中の「逃げ道ならいくらでもあるけど、ぼくはぼくのままで君に泳ぎ着くよ」みたいな感じなのである。

兎にも角にもこれで計7曲の歌入れが完了した。
残りあと3曲。

まだまだレコーディングは続くよ、何処までも♫

続く。

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