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【Some Flowers制作日記 その13】

■Chapter12  Bricks

世間はゴールデンウィークに突入して、なにやら街は騒々しい。でもぼくは今日もレコーディング。本日も歌入れをしに、玉井さんのプライベートスタジオに。

もう毎度のことになってしまったが、今日も午前中に玄ちゃん宅に着いてしまった。
でも、この時間からでも、自分は歌入れが可能だということが判明しているので、今日もたぶん問題ないはずであろう。

今日レコーディングする曲は「波の彼方」と「Universe」の二曲。二曲ともBricksのアルバム「Goofy」に収録されている曲だ。

俳優の葛山信吾くんと始めたBricksは、アルバム三枚とシングル一枚をリリースして、2003年ぐらいに活動を停止した。しかし正式に解散した、というアナウンスはされていないはずである。

このBricks、当初は葛山信吾くんの音楽面でのソロ活動のサウンドプロデュースの依頼が、ぼくのところに来たところから始まった。

当初は彼のソロとしての音楽活動のサポートをする目的で、ぼくが抜擢されたのだが、一緒に話したりデモを作ったりしていくうちに、なんとなく二人でやろうか?という話の流れになっていった。

とにかくまずはアルバムを作ろう、と言うことになったのだが、お互い所属している事務所も違ったりして、なかなか上手いこと話が進んでいかなかった。

それでもいろんことをひとつずつクリアしていって、無事にファーストアルバムを発表することが出来た。1997年のことだった。

その後、1999年にCM制作会社が立ち上げたプロダクションに、葛山くんが移籍することが決まり、Bricksとしての活動はその事務所がマネージメントすることになった。

ぼくは音楽系の事務所に所属しながら、Bricksとして活動するときは別の事務所がマネージメントを行なうという、変則的な活動をすることになった。

そして新体制のもと、1999年に二枚目のアルバム「TODAY」をリリースする。

この頃になると彼の俳優としての活動が徐々に軌道に乗り始め、それに伴い次第に人気も上昇していった。

そしてTVドラマ、仮面ライダークウガの準主役に抜擢されると、一気にブレイク。その勢いで日本コロムビアからBricksとしてのシングル「Carry On」をリリースした。

2002年に三枚目のアルバム「Goofy」をリリース。赤坂ブリッツでレコ発2Daysライブを行う。
このライブは2日間とも満員の盛況ぶりで、この模様は後に二本組のビデオとなってリリースされた。

Bricksはその後も新宿厚生年金会館や、大阪でもワンマンライブを開催するなど、順風満帆な活動をしているかに見えたが、本人達の知らないところで、突然ビジネス上のゴタゴタに巻き込まれ、一気に泥沼の渦中に放り込まれるハメになる。

このトラブルによって、Bricksとしての活動を続けて行くことが困難になり、結果的にぼくと葛山くんも袂を分かつこととなった。そうしてBricksとしてリリースした作品も、Carry On以外は入手困難な状況になってしまった。

しかし、ぼくが作ったBricksの楽曲は、自分ではどれもとても気に入っていたので、いつの日かまた陽の目を見ることが出来たら、などと何年もの間漠然と考えていた。

そしてその願いがようやく叶う時が、こうしてやって来た。
そんな経緯から、今回のアルバムには何曲ものBricksの楽曲を収録することにしたのである。

またしても前置きが長くなった(笑)。

と言うことで、冒頭にも書いたが、今日の歌入れの曲は「波の彼方」と「Universe 」の二曲。
全くタイプの異なる二曲だけど、上手く歌えるかなぁ。

まずは「波の彼方」から。

この曲はぼくが詞も書いた曲で、ミディアムテンポの、70年代のアメリカ西海岸サウンドを模倣したような作品だ。
早速試しに軽く一度歌ってみる。

うん、なかなかいい感じ。エンジニアの玄ちゃんも、この曲の音域はぼくにとても合っていると褒めてくれる。

褒められるとすぐ調子に乗るタチのぼくは、サクサクと歌うことが出来て、結構早いテンポで一曲目の歌入れを終えることが出来た。玄ちゃん、ありがとう。

おだてられて調子に乗るぼく(笑)

少し休憩してから、二曲目の「Universe 」の歌入れ開始。Universeは、言葉がマシンガンのように連続して続く曲で、何度か練習してみないことには全く歌うことが出来ない。

これは手強いぞ、と手綱を引き締め直す。

この曲はとてもじゃないけど、一気に通して歌うことが困難なので、またしてもコマ録り姉妹方式で録っていくことにする。

何度も歌い回しの確認をしながら、4テイクか5テイクのボーカルを録って、なんとかUniverseの歌入れも終了。これで残りの歌入れはあと二曲となった。

少しずつではあるが、だんだんと完成に近づいて行っているのが、ジワリと嬉しかったりもする、今日この頃なのである。

さぁ、残りの歌入れも頑張るぞ!

続く。

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