見出し画像

【ゲームデザイン分析】プリコネRはなぜ成功したのか part2.盆栽と品評会

こんにちは。本日もタイトルのプリコネR分析をやっていきたいと思います。

前回の記事にて、プリコネRはライトユーザーに対しては物語やキャラクターという受動的なコンテンツとして面白さを、コアユーザーに対してはPvPやギルドバトルを通じた能動的な"ゲーム"らしい面白さを、それぞれ提供していると述べました。
今回はその中間を結ぶミドルユーザーについて、プリコネRがどのように彼らをモチベートし、コアユーザーへと"育成"しているのかを見ていきます。

整理された育成要素と「盆栽」型育成

プリコネRでは、複数の育成要素が存在します。
画像1画像はプリコネRゲーム内より

全ての要素を説明すると長くなるため省略しますが、他のゲームと比較した時に最も大きな違いは、キャラクターの育成可能最大レベル=現在のプレイヤーレベル、という特殊なレベルキャップシステムが採用されている事だと私は考えています。
このタイプのレベルキャップを採用しているゲームは国内産のゲームでは珍しいのですが、中国産ではそれなりに見られるシステムの様です(どの程度かは調査不足ですが...)。

このシステムの優れているところは、ゲームを始めたての頃にありがちな「どうすれば強くなれるのか分からない」という問題に対して、「まずプレイヤーレベルを上げろ」という明快な回答が存在する事です。これにより、ゲーム開始直後から、課金無課金問わずに実践可能な目標が提示され、迷わずプレイを始める事ができます。

それ以外の機能も、一つの育成要素には、メインとなる一つのコンテンツが紐付けられており、何をすれば何が得られるのか明確になっています。ただ、プリコネRの場合に重要な点は、ほぼ全てのコンテンツに一日に挑戦できる回数に制限が付けられている事だと考えられます。

例えば、キャラクターレベルを上げるための経験値ポーションについては、1日2回。コインにあたるような汎用通貨を集められるクエストも一日2回。キャラ別に限界突破アイテムを取得できるメインクエストハードモードも、一箇所につき一日3回。専用装備素材を集められるクエストは一日5回、etcetc...。とにかく育成周りに制限がかかっています。

これは課金によって少しは緩和可能ですが、無制限にはなりません。結果、プリコネRにおいて強くなるためには、毎日少しづつの作業をコツコツ続けるほかなく、これが「プリコネは盆栽ゲー」とユーザー間で言われている所以です。

「盆栽」の品評会

盆栽を育てていく上で、それが自分の望むような形になっただけで満足する、という人はあまりいません。それを仲間内で見せあったり、より大きな規模のコミュニティで評価を受けるなどして、自分の努力に社会的価値付けが欲しくなるのが人間です。

プリコネRの場合には、こうした品評会にあたるコンテンツがしっかり備えられており、それがそのままコアユーザーへと繋がる梯子の役割も果たしています。

プリコネの盆栽品評会プリコネのクエストトップ画面より引用

ダンジョンは毎日リセットされる低階層のタワー型PvEコンテンツで、特にゲーム開始から二ヶ月程度の間、デイリー単位での自分の成長を可視化してくれる役割があります。

バトルアリーナ、プリンセスアリーナはPvPで、自身の成長とともにある程度の順位までは上がれるようになります。

クランバトルはこのゲームにおける華形コンテンツであり、ボスに対して与えたダメージ量で競争するコンテンツです。ゲームを初めてすぐは50万も出せなかったところから、毎月100万単位でスコアが上がっていく過程は非常にわかりやすく、かつ爽快に、自分の努力を肯定してくれます

まとめ

今回は、プリコネRの育成システムが「盆栽」であり、とにかく毎日コツコツ遊ぶ必要がある事。それと対になるように、毎日遊び続けた結果をポジティブにフィードバックする仕組みが、何個も用意されている事を述べました。これと、前回述べた内容が組み合わさることで、ライト、ミドル、コア全てのユーザーに価値が提供され、広いユーザー層が満足する安定した運営を実現しているものと推測されます。
この辺りの概念をまとめたものが、タイトル画になります。

20200712_プリコネR分析の図_要素の抽象化

(実を言うとここまで抽象化してしまえば、うまく行っているゲーム運営はほとんどこのパターンにあてはめられるのではと思っています)

今回でゲームサイクル(もしくはアウトゲーム)については大まかにまとめられたと思いますので、次回は「プリコネRの課金要素」についてを扱えたらと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?