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ミスコルツからウィーンへ

ウィーン

涙の出発

8月8日(木)晴。
6時起床。広い庭に出てすがすがしい朝の空気を吸う。犬のクロもじゃれついてくる。7時半に朝食の呼びかけがあり早々と室内に戻った。Iさんの心のこもった朝食メニューはパンにハム、トマトと紅茶。家族全員一緒にテーブルを囲んだ。
その後、主人の車で全員で出発し、9時過ぎにミスコルツ駅に到着。9時30分発のブダペスト行きICに乗る。一等車は6人用個室で座席番号はチェコと違って、進行方向に向かって廊下側から11、13、15、向かい側が12、14、16となっている。発車ベルが鳴るまで見送りにきた家族みんなで私の個室に入り、温かいもてなしに感謝を伝えたり、最後のお別れをしたりして時を過ごす。個室の客は私だけであるから遠慮はいらない。定刻発車。ホームから見えなくなるまで送られ涙が出る

ミスコルツ駅前
家族揃って見送りに

Iさんは小学校の先生で夏休み中だが、主人は化学会社のエンジニアなので私のためにわざわざ休暇をとって歓迎してくれたのではないかと思う。本当に楽しいハンガリー東部の旅だった。エスペラントのお陰でまたとない友人を持つことができ幸福である。

高原の景色を心ゆくまで眺める

広い個室はひとりで、多分もう見ることはないだろう景色を眺めながら、抱えきれないほどの想い出を携えてヨーロッパ鉄道の旅を楽しんだ。列車は定刻通り11時45分ブダペスト東駅に到着した。ここでオーストリアのウィーンへ行く列車に乗り換える。12時30分発ウィーン経由フランクフルト行きECは8番線にすでに入線中である。一等車は後ろの3両でその前は食堂車になっている。最後尾の1両は左側2列右側1列でテーブルをはさんで向かい合わせになっているオープンカー仕立てで、ほかの2両は6人用個室だった。品の良い老婦人が右側の席にいたのでその前の席に座る。ドイツの車両らしく清潔で気持ちが良い。Iさんの作ってくれた弁当(パン、サラミ、トマト、ジュース、アンズ、りんご)に駅で買った缶ビール(150Ft=118円)で昼食にする窓外に映る景色を眺めながらの食事は最高だ。これがあるから鉄道の旅はやめらめない。

9年前のドナウの旅を車窓から

発車して1時間ほどでドナウ川畔に出る。9年前には高速船でドナウ川を遡ってウィーンまで5時間半かかったのを思い出す。ハンガリー最後の駅Hegyeに到着するとパスポートのチェックがある。国境を越えるとすぐ今度はオーストリアの車掌がパスポートと切符をチェックしにやってきた。国境線は自然の大地に人間が勝手に引いたもの。なんと不自由な線よ。いつの日か、このヨーロッパからパスポートチェックという行為がなくなるのだろうか。

ウィーン西駅

ブダペストを出発して約3時間、15時30分にウィーン西駅に到着し下車。まず駅でUS$をオーストリアS(シリング)に両替した。当日の為替レートでは50US$TC=5180Sだった。
明日のイタリア行きの列車はウィーン南駅から出るのでインフォメーションセンターで尋ねると市電で行けるらしい。50Sで1日乗り放題の乗車券。なんと日本語でも「ウィーン24時間フリーパス」と書いてある。市電に乗り南駅前で下車。郵便局で切手を求めスタンプ帳に押印してもらう

駅前近くのPrinz Engen Hotelに入るとちょうど日本からのツアーがついたところに遭遇した。シャワー付きの部屋で1泊朝食付き910S(約9600円)、カードでOKということで部屋に入った。

オーストリアのポスト

ウィーンで日本人に道を聞く

先ほど購入した1日有効の乗車券を思い出して、聖ステファン大寺院を訪ねることにした。サブザックにパスポート、カメラ、財布を入れて出掛ける。地下鉄で3つ目の駅で降りるとまるで銀座のような人の波。聖ステファン大寺院前の広場と国立オペラ劇場を結ぶウィーンのメインストリートであるケルントナー通りは歩行者天国になっている。行き交う人の波に沿って歩いてみるが行けども行けども目指す寺院には着かない。途中で日本人の母娘に道を聞くと全く反対の方向だった。またしても愉快な失敗である。ひとりニンマリとする。

賑やかな通りにはいろいろな商店やバーが並んでいる。ここで初めてパンの上にコノシロのような魚を載せたハンバーガーの店を見た。

かなりの距離を引き返してようやく大寺院前の広場に着いた。聖ステファン大寺院は13世紀の後半から300年間にわたる長年月をかけて建設されたオーストリア最大のゴシック寺院である。
市民から「シュテッフル」と呼ばれている尖塔は頂まで137m、寺院の塔では世界で3番目の高さである。さすがに圧巻であり、私の28mmの広角レンズをしても全部は入りきらない。1階の正面は工事中であった。

聖ステファン大寺院
左側の工事もすっかり終わっていることでしょう

しばらくぶらぶらと散策してからホテルへ帰る。シャワーを浴びてIさんの差し入れをおかずに近くの店で求めた果物入りパンと缶ビールでささやかな夕食をとる。
Iさんの家で1日余分に泊まったので、オーストリアの日程を1日短縮した。9年前には2泊してシェーンブルク宮殿、美術館などは見学済みである。絵はがきを5枚書いて床についた。

ヨーロッパからパスポートチェック、なくなりましたね。
さて、ここから大移動が始まります。まさ爺71歳なかなかタフです。(ウサコ)



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