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ブラジルの日系大地主(山手線の1.4倍の土地を持つ)の苦悩

ブラジルは北パラナ州の大きなお屋敷に二・三日泊めてもらったとき、そこのご主人の高橋さんが地図や何枚もの写真を出してきて、説明をしてくれました。

・彼のお父さんがコーヒーで儲けた金で、隣のマットグロッソ州に四千アルケールの土地を買った。

・いくら息子たちの将来のためと言っても、山手線の内側の面積の1.4倍の広さだから、境界線をよく調べて買ったわけでもないらしい。

・広い土地を買う時は自家用機の上から「この川から、あの岩山まで」という大雑把な話になるので、しばしば境界線の争いがある。

高橋さんの土地も、隣の大地主である銀行家が川一本ずらして入り込んでしまったので、そのことでずっと裁判が続いているという話であった。

自分が買った土地なら費用の掛かる裁判などはしないが、父親が折角私たち兄弟のために買ってくれた土地だから、何とか最高裁まで頑張りたい、と高橋さんは言っていた。

でも相手は銀行家だから凄腕の弁護士が何十人もいるだろうし、ブラジルは判事が買収されることも珍しくないから、正直な日本人なんかの歯が立つ相手ではないらしい。

高橋さんの農地の管理で雇っていたパラグアイ人がすでに殺されているということで、写真で見るとその仰向けになった死体の腹は熱帯の暑さでガスが溜まったのか大きく膨れ上がっていた。

高橋さんは「金持ちというのは皆悪い事をしながら、ああして財産を増やしていくのですね。」と言われ、私も返す言葉がなかったことを覚えている。

G7の国々も、そして現存する大陸の国々も、みな隣人を殺したり殺されたり、悪いことを今日まで積み重ねながら、生き残ってきたのでしょう。

今回は、少し暗い話となりましたが(実はもう50年ほども前の話です)、ブラジルにはそんな日系の大地主もいたということを覚えておいていてもらえますと幸いです。


【今日の名言】
「元来悪人というものは、積極的・攻撃的であり、団結します。
悪い奴は一人でも悪党という」
漢学者 安岡正篤


※編集協力
和の国チャンネル


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