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14話-MMAデビュー戦

試合に向けて様々な準備が始まった。

私がとりあえず分かっている事はジャブ、ワンツー、左フックぐらいだったので、蹴りはやらずにパンチを徹底的にやって、タックル、寝技に繋げる動きをしっかりやった。

デビュー戦の相手は、鬼頭さんと言ういきなり30戦ぐらいやってるベテランファイターを当てられた。

総合格闘技の寝技はパウンドがあるので、得意のハーフの形も変えなければいけなかった。

柔術のハーフでは殴られてしまう事が多く、さらに接近した形を作るポジションをさらに考えた。

総合格闘技の寝技で重要視される事と、柔術で重要視されている技術は少し違っていていた。

それはパスガードの必要度だった。

総合格闘技は、上になっていればとりあえず有利で、パスまではしなくても上になって殴れれば良いので、体重を乗り込ませてくる人が少なかった。

当時の私の技術はパスガードのカウンターが多かったので、上で固まってくる相手に膠着されてしまう事が多かった。

なのでそこでも工夫を凝らし、少しずつ柔術の寝技を総合格闘技に合わせていった。

試合前日、Zepp名古屋に到着した後計量。

前日計量は変な感じだったが、難なくクリアしリカバーしつつ体を休めた。

夜は恐怖感であまり寝れなかった。

初めての打撃有りの試合。

KOされるかもしれない怖さは、柔術の試合の怖さとは全然違うものだった。

試合当日、リングチェック。

HEATはケージだった。

意外と金網は固いんだなとか思いながら、マットや自分の動きを確かめた。

そして試合直前、寒川代表がストレッチやアップに付き合ってくれて、初のリングに上がった。

リングの感じは照明が強く当たっているので、観客の顔が暗くて確認出来なかった。

5分2ラウンドのエキストララウンド有り。

ゴングが鳴った。

初めに距離を測るとローを一発蹴られた。

リーチは相手の方が長い。

私はフックをフェイントにしながらタックルから引き込み。

すぐに改良したハーフで入った。

少しゴツゴツ殴られたが密着しているから大した事なく、

一気に潜ってスイープし上になる。

そこからパウンドで殴った。

何度かその攻防を繰り返していると下から蹴り上げが来た。

しかし私は上から殴る事に集中した。

オープンフィンガーを着けてはいても、

額を何度か殴ってしまいやっぱ頭って硬いなとか思った。


2ラウンド

スタンドで何度かローを貰ったが

上のパンチを相打ち上等でオーバーハンドを合わせた。

初めてやったにしては中々上出来やなとか思いながら

また引き込んでスイープ。

上になって殴った。

相手も立ってきた。

また少し打撃戦。

打撃に効いたモノは一切なく、

段々自分のパンチも当たるので面白くなってきた。

しかしジャブとローの差し合いは相手の方が少し上手だった。

そして2ラウンドが終わり判定になった。

寒川代表が「良くやった。勝ちやろ。」と言っていたら結果はドロー。

エキストララウンドに入った。

私も少し変だと思いながらも、

次はテイクダウンで上なり殴り、

立ってきた相手の膝を受け止め更にテイクダウンで殴った。

そしてゴング。

私は勝ったと思ったが相手の手が上がり2-1で負けた。

私のデビュー戦は黒星になった。

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