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55話-全日本選手権
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初の全日本選手権が始まった。
国内の黒帯でトップと思われる選手が揃っていた。
私は黒帯フェザー級で出場した。
最初の相手は中塚さん。
アンクルロックを得意とする選手で、やるのは初めてだった。
試合開始し見合ってからすぐ私から行った。
両足タックル。2点。
初めて両足タックルを使った。
この日の為に密かに練習してきたレスリングが役に立った。
トップになり中塚さんはニーシールドから形を変えながら攻めてくる。
脚を担いでパス。
そしてサイドコントロールからノースサウス。
すると中塚さんは下から私の胴を脚で挟んできた。
そこからアンクルを狙ってきた。
私は冷静に対処。
しかし中々このリバースクローズガードのような体勢が抜けず、解けた時に
は時間が終わりかけていた。
5-0で勝利。
終わったら中塚さんが話しかけて来た。
そして僕が優勝したら、柔術家がやっているつけ麺屋さん千兵衛を奢ってくれると言う話になった。
準決勝で塚田さんと当たった。
3度目の対決になった。
試合前から「真っ向勝負しようよ」と塚田さんが言ってきた。
私は良いっすよ。やりましょうと返した。
しかしこの人はいつも嫌味がないから個人的に好きな人間だった。
準決勝が始まった。
私はハーフからラペラを繋いで返した。
今回はあまり時間をかけず上から攻めようと決めていた。
しかし問題もあった。
膝に負担がかからないように攻めるしかなったので常に前傾姿勢を保った。
脚を取られるのは結構怖かった。
膝がまだ内側に動くので私はそこを気をつけながら攻めた。
オーバーアンダーパス、トレアナ、担ぎのパスをコンビネーションで使って足の距離を出来るだけ遠ざけた。
何度か脚を捌いたが塚田さんのエビが速くて中々パス出来ずにいた。
最後は塚田さんが下から立ってきてタックル。
私はそれを受け止めたところで試合終了。
2-0で勝利。
「またやろうよ!」と塚田さんは言っていた。
私は苦笑い。
兎にも角にも決勝に上がった。
全日本にいきなり出てきて地味な勝ち方を繰り返し決勝まで来たが私は勝つ事に全てを集中していた。
勝ち方なんて二の次で勝てればなんでも良いと思っていた。
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