16話-転々
そして私はMMAのキャリアをここで終わらせる事を決めたが、最後ぐらいは勝ちたかった。
なので打撃は一切やらずに行こうと決めた。
最初の左フックを振った以外は、全て寝技で行った。
膝十字、ヒール、アンクルなどの足関節を使って上になり
起き上がってきた相手にギロチン。
極まらずそのまま上になり、パスしてキムラで仕留めた。
1ラウンド一本勝ち。
終わってすぐに私は次何しようかなぁ?なんて事を考えていた。
数ヶ月後。
柔術の試合に出て勝ったりしていたが、緊張感の無い日々を過ごしていて、そこで関西のグランドコア森本猛さんの主催されているMASTURIプロ柔術のオファーが来た。
相手は村尾誠一さん。
知る人ぞ知る猛者で村尾名人と呼ばれるぐらいガードが上手い選手だった。
私に断る理由はなく二言返事で了承した。
プロ柔術は今では世界中で盛んになったが、当時はまだグランドインパクトぐらいしかなくそれに出れる事はステータスだった。
そして私の柔術漬けの日々がまた始まった。
MMAを通して得た技術を更に付け加え、私の技術はどんどん冴えた。
そして試合の日。
私は村尾さんと向き合い
先制のハーフガードからリフトアップして
豪快なテイクダウンを決めて2点
しかしそれより驚愕したのは
下になった時の村尾さんの足の筋力に驚いた。
あ、今日はこれパス出来ん。と直感で思った。
しかし下からのアタックを凌ぎながらこちらも応戦。
時間が過ぎ私は2-0で勝つ事が出来た。
柔専館の皆の前で勝つ事が出来て本当に嬉しかった。
ちなみにこの時の私は、過度なアシンメトリーで髪の毛が真っ赤で眉毛を剃り上げていた。
若気の至りでバンド活動なんかもやっていた。
バイトも深夜のレンタルビデオ屋でアダルトビデオのレビューを書いたりしていた。
そんな私にまた人生の転機が来た。
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