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58話-プロリーグ「NY PRO」に初出場

アジア選手権が終わって、私はニューヨークに向かった。

強さんとアジア選手権で得たポイントで、IBJJFのBJJ PROリーグに出ることが出来た。

私達はニューヨークに初めてに行き、あまりの街のデカさと喧騒に、洋画で見る街の風景の迫力を感じた。

黄色いタクシーは絶え間なくクラクションを鳴らし、人が行き交う間にスペースは無く、斜めの道は殆ど無く全て東西南北に区切られた道のみで、真っ直ぐ見れば道がどこまででも続いてそうな開けた街の風景に圧倒された。

私達はそれでも遊びに来たのでは無く試合に来たのだと、試合前までホテルに引きこもった。

試合当日はマンハッタンから少し離れた大学の中で行われていた。

私の初戦の相手は、キム・テハ。

かの有名なカイオ・テハの弟で、世界3位の実績を持つ実力者だった。

私は全てを出し切れたら勝てる相手だと思った。

強さんはキムと何度か練習もしていたので、色々情報を聞き備えた。

そして試合が始まった。

キムの動きに付き合わずいきなり引き込んだ。

そしてハーフガードを作り組み手争いをした。

ラペラを持ちコントロールしながら様子を見た。

明らかに私の組み手を嫌がっているキムに私は勝てる感じがした。

そしてディープハーフガード。

ここでゆっくり様子を見ようと思った。

跨いで来てリバースハーフ。

まだ大丈夫。計算通り。

だと思った…

するとキムの膝が外側に開き物凄く柔らかく動いた。

足がすっぽ抜けた。

私はヤバいと思い亀になった。

バックにつかれ立ち上がった。

するとキムはよじ登るようにボーアンドアローチョークを仕掛けて来た。

立ち上がったままタップ。

私は負けた。

そのままコートを出て座り込むともうどうして良いか分からず号泣した。

どうすればこの壁を越える事が出来るんだ。

何回同じミスを繰り返すんだ。

私は自分が嫌になった。

その後、強さんがキムに負けているのを観ながらまた泣いた。

もう訳が分からなかった。

私にとってニューヨークは最悪の思い出の場所になった。


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