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【開催前プレビュー】VivaTech2022→2023のコントラスト

フランス最大のオープンイノベーション・テックイベントViva Technologyが来週6月14日から17日の日程で開催されます。

10周年の昨年は3年ぶりのリアル開催となったこともあり、現地の熱気とコンテンツ量でお腹いっぱいになりました。

ビジネスやエコシステムの観点でも、CovidがむしろTechを過熱させてVC投資額は右肩上がり、Climate TechやWeb3.0のようなホットトピックに関してコーポレート、スタートアップ、投資家が入り乱れて喧々諤々と議論を交わす場はまさに「イノベーションの現場」だったと改めて感じます。
(中には的を得ない議論や、空中戦で結局何?というのもありましたが・・・)

昨年はNTTドコモベンチャーズさんに機会をいただきVivaTech2022を総括するセミナーを主催したので、振り返りたい方はぜひご覧ください。

昨年は直前にマクロン大統領の登壇が発表され、会場は騒然

では、11回目となる今年はどのような内容になるのか。
そもそも大規模なテックカンファレンスは今やどの国もやっている中で、単発で見ても「すごい」「盛り上がってる」以上の感想は中々出ない、前後比較することで見えてくることも多々あると思っています。

そこで、フランス・欧州スタートアップやイノベーションの最前線を理解するために、2022年と比較しながら3つほど目線挙げてみたので、もし興味のある方や実際に現地に行かれる方の予習として役立つならとても嬉しいです。

目線1: "Scale-up"戦略の行き先

Crunchbase Newsより

欧州スタートアップ・エコシステムの1丁目1番地は「アメリカに流れていた起業家人材を欧州に留め置く + 成長させる」で、ここ数年はアーリー→レイターステージへどう"Scale-up"させるかに特に注力していた所感があります。フランスでもユニコーン数をKPIに国内外のVC投資を集めることに政府が特に力を入れ、カンファレンスでも数多く関連セッションが組まれていました。

欧州初のデカコーンだったKlarnaは、2022年に評価額が85%down

しかし直近スタートアップ投資が世界的に減速する中、ヨーロッパのFY23 Q1のレイターステージへの投資額は前年比77%減となっています。
最も大きな原因はアメリカVCの欧州投資の減少 (全体の40% (2022年)→5% (2023年))ですが、この状況でフランスをはじめとした欧州のエコシステムが起業家にとって魅力的な地域であり続けられるかどうかが試されています。

今回のVivaTechでは、欧州発の個々のユニコーン・スーニコーンの事業に着目することはともかく、向こう数年の欧州全体でのエコシステム開発に焦点を当てるべきではないでしょうか。

目線2: 欧州 - アジア連携の加速

Viva Technology公式より

前述の通りアメリカとの結びつきが強い欧州ですが、徐々にアジアに目を向ける動きがあることも注目ポイントです。

VivaTechでは"Country of the Year"と称して、ある一国についてイノベーションやスタートアップに関するフランスとの結びつきに焦点を当てる取り組みが実施されています。そして昨年はインド、今年は韓国であることが発信されました。

Financial Timesより

この連携はFleur Pellerinというキーパーソンを介して実現したものです。
この方、韓国生まれで幼少期に養子縁組で来仏、2012年からは中小企業・イノベーション・デジタル経済担当大臣を務め、2013年にFrench Techブランドを立ち上げた張本人です。

現在はKorelya CapitalというVCを運営するなど、スタートアップ・エコシステムにも深い関係がある中で、仏韓のスタートアップ連携がここから今後大きく進展することが期待されます。VivaTechにも登壇予定です。

目線3: パリ五輪 × イノベーション

Olympicsより

東京五輪に引き続いて2024年に実施されるパリ五輪がフランス・イノベーションにおいても一つのマイルストーンになっていることは間違いなく、VivaTechにおいてもIOCや組織委員会、スポーツと絡めた産業分野から数多くのセッションが組まれています。

開催にあたって環境へのインパクトを最小限にする声明が出されているほか、イギリスのスタートアップOnePlanの技術を用いて会場とのデジタルツインが提供されることが発表されているように、世界的イベントとスタートアップのシナジーがVivaTechでは垣間見ることができるのではないでしょうか。


以上、あくまで昨年との違いが大きく見えるであろう切り口で3つ挙げてみました。
この他、もちろん生成系AIやそれに関連する規制関連は昨年比で最も大きなトピックとなるでしょうし、Climate TechやWeb3.0も含めて「アメリカに対する欧州・フランスはこう」という目線を各分野に対して持つ上で効率の良い場となることだろうと思います。

VivaTechの終了後、振り返りをまたNote上で発信したいと思います。感想・コメントがあればいただけますと幸いです。


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