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大学院入試のお話

今回は理学系の大学院入試のお話をしようと思います。もしかしたらこれから受験する人に役立つ内容があるかもしれません。


はじめに自己紹介から

情報の信頼性にかかることなので、身バレを覚悟して自分のことを話します。(身バレして困るようなことは書いてないはず。)

僕は2024年度入学の年に、東大の理学系研究科物理学専攻を受験しました。学部も理学部物理学科で、内部進学する形になります。受けたサブコースは物性理論の研究室が含まれるA3サブコースです(第二志望はA0の原子核理論でした)。

結果として無事に合格することができました。得点は

  • 外国語 90/100

  • 専門科目第一問 100/100

  • 専門科目第二問 100/100

  • 専門科目第三問 90/100

  • 専門科目第四問 90/100

でした。おそらく合格者の中でも合計点は高い方だと思います。これでも専門科目だけなら僕より高い得点の学科同期は何人かいたのですごいですね。

ちなみに僕の受けた年までは外国語(英語)はTOEFLの団体受験用ペーパー版を使用していましたが、次年度からはiBTになるようです。

こんな感じで、「E判定から逆転合格した方法!」みたいなドラマティックな院試体験記にはなりそうにありませんが、続けます。

勉強方法

ここからは僕がしてきた勉強の中で、院試勉強に含まれると思われるものをピックアップして紹介していきます。

演習の授業

どの大学の物理学科にも演習の授業はカリキュラムに含まれていると思います。院試勉強を楽に済ませたいのならまずは2、3年生で行われる演習の授業をしっかりとこなすことが一番です。

僕は2、3年生は授業にあまり出ないタイプの学生でしたが、一応配られる演習問題には目を通し、8割くらいはちゃんと解いておくようにしていました。なんとなく、物理って手を動かして理解しないと身につかないよなあっていう感覚はあったからだと思います。知識だけたくさんあって、問題が全然解けない人ってたまにいますが、たぶんそういう人は研究はあまりできません。(だからこそ試験の結果で院試の合否を決めているわけですが、、)

とにかく手を動かすことが大事だということを強調しておきたいです。

過去問を解く会

東大理物の学科のメンバーで集まって院試の過去問を解く会を開催していました。小問を1時間くらいで解いて、その場で誰かが解答を発表するという形式です。この会は、4年生の前期(4月)から院試の前の週まで週次で開催していました。

このゼミ形式の過去問演習を、最終的には10年以上前のものまでさかのぼって実施しました。メリットとして以下の点があったと思います。

  • 強制的に解く時間を設けることができる

  • 解答がネットなどに存在しないので、その場で答え合わせができる点で優れている

  • 回数を重ねるごとに謎に楽しくなってくる

上2つのメリットはわかりやすいと思います。3つめの楽しくなってくるというのはなんででしょう。僕自身は競争心が少し強めなので、周りの学科同期と正答率を勝手に競っていたからかもしれません。過去問も大量に解くと、傾向や出題頻度の高い問題などが見えてくるので、そういうのもあって楽しくなっていったのだと思います。

市販のテキストでの演習

「院試勉強はじめるかあ」と思い始めた4月ごろに、明倫館という神保町にある本屋さんに行って、詳解演習シリーズ(電磁気学、量子力学)、見た目から「カステラ」と勝手に呼んでいたもの↓、を中古で買いました。

他にも数学の黄色の演習書↓も買いました。

元々持っていた久保亮五の統計力学の演習書と合わせて、全科目分の演習書をゲットしたことになります。

もちろん、買ったはいいものの、ほとんど解いていません。久保統計は3年生の頃に頑張って解いていましたが、他は全然。使い方としては、苦手かもと思った分野の問題を少し解くという形でした。

電磁気学の電磁波の分野は最初の方はあまり解けなかったので、カステラで少し演習して、できるようにしたりしました。電磁気学で他に役に立ったのはこちらの教科書でした。電磁波のあたりがわかりやすかった。

基本的な受験勉強の方法は学部入試までと同じです。過去問を解いて、苦手だなと思った部分を他の教材で補強する。ひたすらこれを繰り返すだけでした。

アドバイス

英語

よく考えると英語と数学の点数の重みが同じです。正直自分は英語の勉強は1ミリもしていませんでしたが、やっぱり重要だと思うのでがんばって勉強するのがいいと思います。

大学院に入った後は英語を話せるのが前提で物事が進んでいくので、英語の勉強は単なる院試対策以上の価値を持つと思います。

(開示される点数では英語も数学も100点満点だけど、合否の判定には異なる重みで用いられている可能性もなくはない、、?)

外部からの受験

やっぱりどうしても内部受験者は外部受験者に比べて情報へのアクセスという点でアドバンテージが生まれてしまっていると思います。僕が比較的楽に受験勉強を進められたのも、学科同期と集まって過去問を解いていたからです。

そこで、外部から受験を希望する方はもし可能なら内部の学生と知り合って、一緒に勉強する機会を取れればいいのかなと思いました。実際僕の代でも、物理学科ではなくお隣の天文学科から受験しようとする同期がいて、その人は物理学科に混じって過去問を解く会に参加していました。

理物の学生ならたぶん物理を志す仲間として、どこから来た人でも一緒に勉強しようってなると思います。学生が使えるセミナー室も、外部の学生が入っても確か大丈夫だったので、同じように過去問を解く会があれば参加も可能でしょう。

口頭試問

A3サブコースの場合、学生一人に対して教員が10人以上、下手したら20人くらい向かい合って試問が行われます。緊張してモゾモゾするくらいなら、盛大に間違ったことを言って笑い話にしてしまいましょう。たぶんこのような地獄の雰囲気は人生で何度も味わえるものではないので、楽しむくらいのつもりで臨めばいいと思います。

終わりに

東大の物理学専攻を目指す人にとって役に立てればいいなと思います。がんばってください。(たぶんこれを読んで受け取るメッセージは「地道に勉強しよう」っていうことくらいしかないと思います、すみません。)

東大の物理学専攻は教員や資金、設備も潤沢ですし、修士の段階からRAとしてお給料をもらえるプログラムなどがあります。せっかく学生期間を延長するなら東大で研究するのがいいんじゃないかなと僕は思います。もちろん、どの大学にも素晴らしい研究室はあるので、きちんと調べた上で選ぶ必要はありますが。

何か質問などがあれば、コメントしていただければ答えます。



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