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能登半島地震でつらい思いをしている方へ

 こんにちは。かけだし教育心理学者の遠田将大です。大学教員になる前は,私立学校の常勤スクールカウンセラー,早稲田大学の教育総合クリニックで相談員(非常勤)をしていました。その経緯から,「心をケアするための資料」を作成しました。この資料は,つらい思いをしている方が,自分の心の状態をチェックし,応急処置ができるものとなっています。個人の使用の範囲でご自由にお使いください。

能登半島地震を受けて(追記)
 事件や事故,地震など突然,悲しい出来事が起きると,はじめはショックで感情が動かなくなります。これは,あなたの心があなたを守るために,そう反応をしてくれています。
 今回の能登半島地震で,例えば「大切な人が亡くなったのに…悲しいのに涙が出ない。自分はおかしくなってしまったのか?」と不安や恐怖を感じている方がいるかもしれません。実は,この感情が動かなくなる反応は,ごく普通のことです。普段であれば,耐えられない衝撃を受けていますから,その危険性を察知して,心があなたを守ってくれているのです。ただし,しばらくして,少しずつ状況が理解できるようになると,「あの人はもういないんだ」と喪失感や悲しみが襲ってきます。特に,地震が発生してから2週間程度たち,被災支援が届くようになってきてくるあたりからは,状況の理解ができるようになってくるので,その分心のケアが特に必要になってきます。

今回の能登半地震は,被災状況からして,非常に心に負荷がかかっていると考えられます。

危機介入について
 このような時に,役に立つのが危機介入の知見です。危機介入とは,強いストレスを受けて混乱している個人や集団に対して心理的に行う介入です。危機状況下では,できる限り迅速に,具体的に対象者の心をケアすることを目指します。これは,早期にケアした方が,危機状況からの回復が早いだけでなく,その予後も良いことが分かっているからです。

「心をケアするための資料」作成の経緯 
 これまで私は,スクールカウンセラーや大学クリニックの相談員をしてきました。その中で,何度か危機介入を行うことがありました。このような経験から,大学から「心をケアするための資料」の作成を依頼されました。この資料は,そのような経緯をふまえて作成されたものです。

「心をケアするための資料」”はじめに” 
 この資料は,心をケアすることを目的に作成されました。基本編と実践 編に分かれています。その場でできる心のケアが紹介されています。ご自身の心のケアにお役立て下さい。

心についてのセルフチェックリスト 『職場のメンタルヘルス(逸見武彦監修)』より引用

お願い 「心をケアするための資料」は,応急処置を目的として作成されています。この資料によって,つらい状態が全て回復するわけではありません。セルフチェックで,ストレス状態が高いと判断された場合は,信頼できる人もしくは心療内科などへの受診することもご検討ください。

心をケアするための資料
 
上記の情報は以下の資料をダウンロードすると,一括で見ることができます。

参考までに


疲れているのに,フラッシュバックや考えがめぐって寝られない方へ

 アプリ「寝たまんまヨガ」がオススメ。考え事を一旦そばに置いて,体の緊張をほぐすことができます。
 心地よいナレーションと音楽のなかで,体の緊張をとる動作をするよう指示してくれます。この間,音声指示に耳を傾け,その通りに体を動かすので,ぐるぐると頭の中を回るネガティブな思考を一旦そばに置くことができます。頭を空っぽにして,体の緊張をとってくれます。東日本大震災後において被災者支援をした際にも,このアプリを紹介しました。気になる方は使ってみてください。

地震ごっこをすることについてー小学校中学年くらいまでの子どもを持つ方へー
 この頃の子どもは地震ごっこをすることで,辛い経験を消化しようとしています。子どもなりに戦っています。どうか,見守っていてください。
 ニュースにもなっていました。地震が起きてからしばらく立つと,子ども達は,地震ごっこをし始めます。これは,子どもたちが自ら健全な心を取り戻そうとしている反応です。被災した大人からすれば,「なんて不謹慎な!」「思い出したくないのになんでそんな遊びするんだ!」と思われるかもしれません。しかし,子ども達は子ども達なりに,必死にこの辛い経験を乗り越えようとしています。行動には意味がある,そんな目線で見守っていてほしいです。

思春期以降の子どもや大人の心のケアー中高生の子どもを持つ保護者の方へー
 問題は,思春期以降の子どもたち。大人側の役割を背負って行動していて,寂しさや不安を押し込めている可能性があります。思春期以降の子どもの場合は,「大人だから大丈夫」というより,「必死に大人の役割を背負ってくれている。落ち着ける場所では,子どもに戻ってもいい(辛かったこと,悲しかったことを語ってもいい)んだよ」という姿勢で関わっていただきたいです。
 乳幼児から小学校低学年であれば,保護者が抱っこするなどしてケアしてくれます。問題なのは,思春期以降の子どもや大人です。思春期以降の子どもや大人の場合,反動形成として,頑張りすぎるといった反応が起きがちです。有事の際に,何かできることをする,自分なりに行動するという点ではいい面もありますが,実は,傷つき体験を誰にも話せないで,心に深い傷を負ったままになってしまっている場合があります。思春期以降の子どもへの対応については,私の師匠のサイトをご紹介します。自分のタイプごとの心のケアが載っています。私も何度も助けてもらったサイトです。皆さんの役に立つことを願っています。

子どものストレス反応と心理的な応急処置 事件事故災害時の危機介入の資料室
 
危機介入をする時,私は師匠のサイトに立ち寄って,眺めて,心を落ち着けてから支援をすることにしています。ここには,心理学の基礎が詰まった,具体的な心のケア集が収められています。能登半島地震で被災した皆様のお役に立つことを願って,師匠のサイトを紹介させていただきます。

QRコードを読み取っても,上記サイトへ辿り着きます。

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