鬱とのつきあい 4

姉の統合失調症をなんとかしようと、介護の傍に心理学や精神分析、加えて病気関連の本を買い漁り読みまくった。
訳あって大学を中退した私は、心理学に関して無学だ。それでも、数十冊読む頃にはある程度の専門用語も理解出来るようになるのだが、何年経っても答えが見つからない。

どうして自分はこんなに生きにくいのか?
その答えがわかれば、姉の発病の原因がわかるかもしれない。

そんな暗闇の中で出会ったのは、当時異端とされていたアリス・ミラーの著書「魂の殺人ー親は子供に何をしたか」だった。
どうせ徒労に終わるだろうと思いながら手に入れたその本には、恐ろしい真実が書かれていた。

私は父に抱かれた記憶も、褒められた記憶もない。
職人だった父は言葉も乱暴だし、子供の気持ちなど考えるタイプでは無かった。常に、成績優秀な兄や親の言うことを聞く姉と比較され,蔑まされて生きてきた。
喘息で寝込めば「死ね」と罵倒され、母は庇ってもくれなかった。
そのくせ、子供の私が母を庇うのは当たり前のように思っていたのだ。

そんな母親の態度を優しい虐待と言うのだと、アリス・ミラーによって知らされた私は、それまで積み重ねてきた自分というものが、めちゃくちゃに破壊されてしまった。
心の底に封印していた物を目の前に突き出されながら、一方では城門の外に出たように、広々とした世界がみえた。

相性が悪いだけで、愛されていると思っていたのに、その愛は条件付きの偽物の愛だった。

手足が震え、気が狂うのでは無いかという恐怖の中、何とか介護を続けられたのは黙って話を聞いてくれた友人のおかげだ。
彼女が居なければ、新しく基礎から自分を作り直す事も出来ず、狂っていただろう。

親に愛されていなかったという事実は、それほどまでに子供を壊し尽くす。

その後岸田秀氏の一冊と巡り合い、自身がどれ程親に虐待されていたのかを思い知らされるのだが、残念ながらその本の題名は忘れてしまった。

仕事、2人の介護、壊れた自分。
そうして私のうつ病は発症した。

#精神分析
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