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京都市に高さ規制の緩和は必要か

京都市で、若い世代や企業を呼び込んで財政難の市の税収確保にもつなげようと、一部の地域で高さ規制の緩和を検討する有識者会議が行われたという。

それを受けAbema Primeでは賛成派と反対派の議論が行われた。

30代で京都市内へ流入し、その後流出した僕個人としては、住み心地はわかるし、観光業に携わってきたので、景観の大切さも実感している。

そのうえで、規制緩和をするべきかというと、「した方がいいが過度にはしない方がいい」というのがスタンスになるなと思った。

そもそも「京都」とはどこを指すか論争があるように、外からイメージする京都と、中で定義されている京都には差があるのだ(鴨川の外は京都ではないとなると、東山や嵐山も外れてしまうが)。

だから一概に京都は一律OKとかNGとか言い切れず、エリアを区分している賛成派の意見の方が納得できる。

一方で、反対派の意見も加味し、過度な開発は避けるべきだと思う。バブルの頃に景観を壊した代償は大きく、その後の景観規制によって街並みがだいぶ再生されたのは言うまでもないからだ。そしてそれが民主主義の醍醐味とも言えると思う(他方、これだから民主主義は成長を削がれるという意見も最もだと思う)。

番組の中で、りゅうちぇる氏が行った人口流出の他の要素などの検討が必要という指摘と、今回の答申書がきっかけに議論が活性化するのがいいというコメントについて。
人口流出の最もな原因は、その景観の良さから来る地価の高騰である。中心部は、外資(京都市外という意味)のホテルの進出や外国人含む富裕層のセカンドハウス的なものが人気を博したため、地価がどんどん高騰した。そして相続のタイミングで手放さざるを得ない人が増え、さらに開発が加速した。
一方、既に住んでいる人に対しては、京都市は高福祉を行ってきたと思う。元々共産党が強い地域なので、現職は更なる福祉を打ち立てなければ対抗できなかった。しかも、伝統産業をはじめ、保護しないといけない組合や団体も多数あるのが現状だ。
バブル期の地下鉄延伸問題の赤字が残っていたことも大きな問題だが、上記も財政圧迫の大きな要素となっている。

そして、財政見直しに対する有識者会議は今に始まったことではなく、現職発足時から行われており、健全化が図られないまま今に至ったのだ。

小さな東京や大阪になるのは、伝統を守るよりも簡単だ。
だが、その選択をしなかったのは、日本全体に対して伝統や文化を守る価値が高いと思ったからに違いない。

伝統や文化にフリーライドしている事業者から取るべき税金が取れていない構造を考えるとつくづく都市の運営は難しいなと思う、

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