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まだまだ道半ばの僕がなんとも偉そうな

G's ACADEMY という起業家・エンジニアの養成学校というものがある。IT関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営する教育機関のデジタルハリウッドが2015年4月に設立し運営している。プログラミング学習を通じて『テクノロジーを武器に、自らのチカラで変化の時代を切り拓くリーダーの育成』を事業としており、現在(2020年12月)は東京と札幌、そして福岡にその校舎を構えている。

僕はそのような学校に生徒たちに指導や助言をする「メンター」と呼ばれる立場として福岡校に関わらせていただいている。しかし、まぁ、まだまだ道半ばの僕がメンターとは、なんとも偉そうな立場である。

僕にも「偉くなりたい名誉欲」というものがなくもないが、実際、偉そうな立場になると妙に恥ずかしさを感じる。そういう気持ちもあって、メンターという立場になったとしても「テクノロジーを武器に時代を切り開く仲間」と思いながら皆さんと接するようにしている。なんてことをいうと格好いいのかもしれないが、偉そうな立場から一段降りたところに自分を置いて心に折り合いをつけていたいだけなのだ。

例えば、この記事は12月の初めからクリスマスの期間までブログ記事を複数人のリレー形式で公開していく「ジーズアカデミー Advent Calendar 2020」という企画に参加して書いている。これも「テクノロジーを武器に時代を切り開く仲間」として書かせてもらっているつもりだ。

よくよく考えるとメンターという立場は大変お得な立場だ。ああだこうだと生徒に対して指導や助言をしても、彼らの事業に対して責任を取らなくていい。責任を取らなくてもいいうえに、生徒たちとの交流を通して彼らの体験を得ることができる。

「この事業ってターゲットは誰なの?ターゲットになる人を決めて自分のサービスをいくらで買ってもらえるかヒアリングしてみてはどう?」と助言をすると、実際にターゲットとなる顧客をデザインして、対象の人などにヒアリングをしてその結果を共有してもらえる。

なんてお得な立場なんだ。

もちろん、僕は生徒が考える事業の成功確率をあげるために必要だと思って助言している。自分の経験を通して「顧客(実際にサービスを購入してくれる人)に耳を傾けることは大事だ」ということを知っている。だから、実際に自分のアイデアに不安を抱えている生徒に対してターゲットとなるような人の声を聞くように助言できる。そして、生徒が実際に僕の助言をもとに考えて行動をして、その結果を報告してくれる。その報告は、メンターの僕が抱えている「生徒が取り組もうとしているサービスの領域についての知識不足や情報不足の不快感」を消してくれる。

「なるほど、実際の顧客の課題は仮説と違って、そういうところにあるのか」と、知的好奇心が刺激されて脳みそが少し幸せになる。

ときには事業計画も考えてみることがある。マーケットサイズや類似サービスの価格や値ごろ感を調べる。そして現在のチームの人数が生活していくためにはどのくらいの売上と販売件数が必要で、それは市場のどれくらいの比率を押さえているのか、などをシミュレーションする。計算した結果をみて唖然とすることもあったり、まだ取っていない狸の皮を数えて喜んだりすることもある。

そういうことを通して、世の中にあるサービスの「価格感」を学ぶことができる。

彼らが自ら仮説を立て、彼ら自身の手でその検証を繰り返すことで、メンターの僕の経験にもなっていく。そういう喜びがあるから、僕は「起業をしたい」という生徒のメンターしか受け付けないようにしている。

メンターの期間が終わって卒業してからも付き合いを続けている生徒もいるし、僕が受け持っていなかった卒業生とも交流したりしている。むしろ、僕にとっては卒業後の活動の方が関心がある。彼らの成長の過程も僕のためになるし、なによりも彼らの情熱にあてられて、僕も実務に追われて忘れがちな情熱を取り戻すことができる。

僕は、とても安全な場所で皆んなの事業について情報として触れ、自分のことのようにシミュレーションして考える。自分の会社はひとつだが、皆んなのおかげでたくさんの事業ケースを同時に複数考えることができる。その活動を通じて経営者やサービス提供者として脳が鍛えられる。鍛えられた脳は、次の生徒のメンタリングに活かすこともできるし、自分の事業にも活かすことができる。幸せである。

また、ある動画系のサービスを考えていた2組のチームのメンターになったとき、なぜか僕の動画編集の腕があがっていった。彼らのやろうとしていることに興味を持ってしまったせいで、動画の編集方法を調査して実際に練習してしまった。まだまだ不器用だけどテロップを工夫していれることもできるようになった。動画編集ソフトの Final Cut Pro の機能も40%は使いこなせるようになったんじゃないだろうか。車中泊したい人と駐車場のマッチングサービスを考えているチームのメンターになったときはアウトドアに関心を持った。今ではすっかり、キャンプに行かない月はないほどアウトドアをしている。

彼らのメンターをしていると、なぜか僕の人生がカラフルになっていくのだ。

メンターという立場はお得だ。

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