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心と脳のメカニズムを読み解く

~未来の自分に向かっていくためには~

こんにちは。まさ様です。
今日は、”認知科学にもとづくコーチングの話”から”心と脳のメカニズムを読み解き、未来の自分に向かっていくために必要なゴール設定”についてお話が出来ればと思います。
ちょっと、いやかなりの情報量ですが、コーヒーや紅茶を飲みながらゆっくり、咀嚼して読んでいただければ嬉しいです。

[1]コーチングとは何か

・コーチングの定義について
時折、「コーチング」という言葉を耳にする事があると思いますが、この「コーチング」のそもそもの由来は何なのかという点についてお話したいと思います。

皆さんは有名ブランド「COACH」はご存じだと思いますが、「COACH」のロゴを頭に想像してみてください。(こんな感じ↓かな。)

                                                                                                                                      phot by phot AC 

コーチングという言葉は、英語の「coach(馬車)」が語源となっています(諸説あり)。馬車は乗客を目的地まで連れて行く役割を担っていることはご存知だと思いますが、そこから派生し、コーチは「クライアントの実現したい世界まで導く/サポートすること」を仕事としています。
馬車が乗客を目的地まで連れて行くのと同じように、コーチはクライアントを目的地(ゴール)まで導いていく人と定義されています。

このように、目標に向かって一緒に伴走して背中をプッシュしてくれるのが「コーチ」であり、その過程の対話によって相手の能力や未来の自信を引き出すサポートを「コーチング」といっています。
ただ、世の中には「コーチング」の業態が数多く存在していますが、その中でも私が学んでいるものは「認知科学に基づいたコーチング」というものになります。
では、「認知科学に基づいたコーチング」の説明の前に、そもそも”認知科学”とは何かについても少し話をしたいと思います。

[2]認知科学に基づくコーチングとは

認知科学とは、人の脳内の「情報処理過程(内部モデル)」に焦点をあてて、心とは何か、心はどのように働くのかを探求する学問になります。
人は「情報入力(外部からの刺激)」を受け、「内部モデル」で情報処理を行い、「行動(情報出力)」を起こすというメカニズムが働いています。

概要図:認知の構造

この「内部モデル」で起きていることを探究する学問が「認知科学」ということになります。
さらに、この認知科学に基づいたコーチングのことを「認知科学に基づくコーチング」と言います。では、実際の「認知科学に基づくコーチング」について説明していきたいと思います。

コーチは、この【情報処理の過程(マインドの上手な使い方)を修正すること=内部モデルを書き換えること】で、クライアントを目的地(達成したい理想の自分)へ連れて行くサポートを行います。
では、この”内部モデルを書き換える”とはどういうことかと言うと、「本音でやりたい事=want toを抽出し、クライアントの本当になりたい姿になるために、脳内の重要性関数を変化させる」ということになります。

また、この「内部モデル」「ビリーフシステム」とも呼ばれています。具体的に言うとその人の中にある信念(ビリーフ)や、その人が信じ込んで当たり前のように従っている暗黙のルールのようなものです。自分では当たり前すぎて認識できなかったり、気づけないことが多くありますが、認知科学に基づいたコーチングではこの「内部モデル」を書き換えること=信念の書き換えをすることで、未来のありたい姿(=ゴール)に向かうことをサポートします。

概要図:認知科学に基づくコーチングにより内部モデルへ介入する

つまり、「認知科学に基づくコーチング」とは、「内部モデルを書き換え、行動変容を起こす」こととなります。

[3]脳と心のメカニズム(用語解説)

コーチングは「クライアントの内部モデルの書き換え」をすることであると説明しましたが、内部モデルの書き換えにおいて重要となってくる「脳と心のメカニズム」についても知っておく必要があります。

*エフィカシー
実際のコーチングで何をするのかというと、「クライアントのエフィカシーを上げる」ということをします。この『エフィカシー』とは、「未来のゴール達成のための能力への自己評価」と定義されています。

簡単に説明すると「根拠のない自信」であり、「自分ならできる!」という気持ちが強いことを指します。『エフィカシー』の高さが『ゴール』設定および『ゴール』達成において最も重要な働きをします。

自分のこれまでの人生の中で何か新しいことにチャレンジするとき、「なんかわからないけどやれる気がする」、「できる気しかしない」といった“根拠”とか“実績”はないけど自信をもって何かに取り組んだことはありませんか。
例えば、「会社の社内褒賞イベントにエントリーし優勝して、同僚や会社の役員ともっと仲の良い関係が築ける、そのためのパフォーマンスと結果が獲れる才能が自分にはある」といった自信のようなものです。

この根拠のない自信が『エフィカシー』なんです。ただしくは『セルフ・エフィカシー』ともいい、日本語では”自己効力感”とも言います。未来の自分に対して自信をもって、難しい課題に前向きに立ち向かっていこうと思えることを意味しています。

あと、実は『エフィカシー』は身近なところでも例をあげることができます。あなたが仕事で同僚へ電話するといった簡単な仕事でも、実はあなたは一定の『エフィカシー』を持っているはずなんです。つまり、そうした課題をあなたは「自分はできる」と信じています。自己評価しているんですよね。お金とか運とか人脈とか知識とかも、もちろん状況によっては必要にはなるんですが、それよりも必要なのがこの『エフィカシー』なんです。
「自分はなんかいける!」と思った感覚こそが、『ゴール』を達成するためには一番重要であり、この『エフィカシー』を抱くことがとても大事であることを知ってもらえればと思います。

ちなみに、実業家や起業家の人たちはこの『エフィカシー』がとても強い人達と言われています。ポジティブ思考、責任感が強い、成功体験が豊富、ストレスへの強さがあるって人たちは、”自分たちはやれる気がする、やれる気しかしない“という認知を形成できている方々なんです。

コーチはクライアントの『エフィカシー』を上げ、自然に継続する状態をつくるのが役割となります。クライアントの”内部モデル”を書き換え、本音でやりたいことが脳内に投影されるように世界を変え、ワクワク&ソワソワするような状態にすることをプッシュします。自分に対する思い込みを外し、自身の『エフィカシー』の高い領域を認識し、ゴールに設定することでエネルギーがナチュラルに循環し、パフォーマンスが上がるようになります。

*スコトーマとRAS
『スコトーマ』『RAS』という言葉もコーチングにおいてよく出てくる言葉になります。

                                                                                                                                  photo by Photo AC

例えば、車の運転中は対向車や歩行者、信号や標識など運転の際に見ておかなければいけないものは、必ず注意し見ていると思うんですが、運転中通り過ぎていく街中にある飲食店のサインや建物などは、全くと言っていいほど認識していないと思います。
だから、車を使わないで近くを散歩したときに、初めて「あっ!こんなお店あったんだ」と気づくようなシーンが出てくるんです。それくらい見ていないということなんですよね。
実は、これは何を意味しているかというと、車の運転中は必要のない情報を脳が無意識に取捨選択しているということなんです。
これを『スコトーマ』と呼んでいます。
この言葉は、元々眼科の医学用語として使われていたもので「盲点」という意味があります。それが心理学でも使われるようになり「心理的盲点」と説明されるようになりました。簡単に直訳すると“重要なものが目に入ってこない”ということを意味しています。

脳はすべての情報をインプットするわけではなく、自分にとって重要な情報しか取り入れていません。下図の黄色枠内の自分が関与している世界の情報でも、一部の情報のみを認識していることになります。この重要か否かを決めているシステムのことを、『RAS:Reticular Activating System(ラス)』といい、脳幹網様体賦活系という脳機能の一つを指します。
脳が自分にとって重要なものとそうでないものを無意識に判断して情報を取捨選択する、要は”空気清浄機のフィルターのようなもの”と考えてください。自分にとって重要な情報や脅威をもたらす情報が自然と脳の中にはいってくる感じです。逆を言えば、『スコトーマ』で説明したように、自分にとって重要ではない情報や脅威をもたらさない情報は見ていないし、気にもしていないということになるんです。

概要図:RASとスコトーマの関係

スコトーマ、RASの例|時計の購入
自身の体験談になりますが、以前タグ・ホイヤーという時計の「カレラ」という製品を購入しようと決めた時から、タグ・ホイヤーの時計を付けている人やタグ・ホイヤーを取り扱っているお店の店頭、またSNSから流れてくるタグ・ホイヤーの情報が目に入ってくるようになりました。その時から私はタグ・ホイヤーは意外に多くのお店で取り扱っているし、みんな結構買っているのでは!と気にするようになったんです。けど、実はこれはタグ・ホイヤーの時計の生産数が増えたわけでもなく、トレンド時計の雑誌にとりあげられたわけでもなく、私のタグ・ホイヤーに対する重要性があがっただけなんです。これをコーチングの世界で『RASが発火している』といいます。

                                                                                                                                Photo by Photo AC

ゴール設定をすることで、今まで入ってこなかった情報が目に入るようになり(スコトーマが外れた状態)、ゴールへの過程が見えてくるようになります(RASが発火した状態になります)。そのため、ゴール設定の段階ではプロセスが全くわからなくても大丈夫で、「本音でやりたいこと」をゴールに設定するのがよいとされています。

*コンフォートゾーン
 未来の『ゴール』の世界にいくためには、慣れ親しんだ世界から脱却し、こうなっているであろう未来の自分の世界にシフトしていく必要性があります。そうしないと人は、無意識のなかで『現状』の心地よい場所にずっと居続けようとしてしまうからです。その、無意識の中で居心地のよい場所のことを『コンフォートゾーン』といいます。
ワードからもわかるように「コンフォート」=「快適」、「ゾーン」=「範囲」、つまり快適で居心地の良い範囲のことを意味しています。自分の家や仲の良い友人という人間関係のような物理的に慣れ親しんだ空間もあれば、自分の収入はこれくらいだなと情緒的なことにも『コンフォートゾーン』があります。ただ、この『コンフォートゾーン』は“自分にとってではない”というところがポイントなんです。“無意識の中のレベル”を好むため、あまり外側にでることはないんです。私たちは変わることを無意識に苦手とし、ほっといたら現状にいようとするのが当たり前な生き物なんです。だから、外からどんな刺激がこようとも、元の場所に戻ろうと維持することを無意識的に頑張ってしまうんです。

【コンフォートゾーンの例】
体温の場合を例にあげて説明すると、人は平熱が『コンフォートゾーン』になるため、体温が上がれば汗をかき、体温が下がれば身体を震わせて強制的に運動をして平熱に保とうとします。これは『ホメオスタシス』という、人がもつ生得的な機能によるものなんです。この『ホメオスタシス』は”恒常性維持機能”ともいわれ、敵でもありかつ味方でもあるような存在となります。

一旦、『コンフォートゾーン』から外れてしまうと、この『ホメオスタシス』が無意識レベルではたらき、今の『コンフォートゾーン』に戻ろうとします。人は体温の過度な変化といった状況には耐えることができないため、このような機能が備わっているんです。

概要図:コンフォートゾーンとホメオスタシス

別の例をあげれば、人前のプレゼンをすることが苦手な人の場合、大勢の前に出ることは『コンフォートゾーン』ではありません。この場合、脳は無意識レベルで大勢の人の前に出ることを拒み、プレゼン当日に体調を壊したり、遅刻したりします。プレゼン直前までは問題がなくとも、本番では緊張して失敗することもあります。これって実は、『ホメオスタシス』が正常に機能している証拠なんです。

                                                                                                                                   photo by syakariki

言い換えれば『コンフォートゾーン』は私たちのパフォーマンスの限界を決めるものでもあるんです。つまり、この『コンフォートゾーン』は、一度設定したらずっとそこに戻る力や維持する力が働くことを意味します。
それは、私たちの脳が、この『コンフォートゾーン』に何が何でも留まるようにできているからなんです。これまで慣れ親しんだものを維持しようとしたり、一定の安定した状態を維持しようとしたりします。
禁煙がいい例すよね。禁煙しようとしてもすぐ煙草を吸ってしまうのって、無意識が納得していないからなんです。

あと、この元に戻ろうとすることには、ものすごくエネルギーが必要になってきます。人は変らないことにエネルギーを一番消費していることを覚えておいてください。コーチングではこの機能を逆手に取り、コンフォートゾーンをゴール側にずらす(=内部モデルを書き換える)ということをします。

【コンフォートゾーンがゴール側に移す例 受験生】
コンフォートゾーンをゴール側に移す例としては、受験生が挙げられます。受験生が試験に向けて必死に勉強できるのは、「合格した未来がコンフォートゾーン」になっているからです。合格した4月からのキャンパスライフをイメージして、現状とのギャップを感じます。この状態で現状を見つめたとき、「このままではまずい!」という気持ちになります。この気持が重要であり、行動に繋がっていくんです。
このように「ゴールを達成している自分がコンフォータブル」な状態を作るということがクライアントの内部構造を書き換える例となります。

概要図:GOAL側へのコンフォートゾーンの移動 

*セルフトーク
コンフォートゾーンをずらして行動していくためには、『セルフトーク』というものが重要になってきます。では、『セルフトーク』が何かというと自分自身に語りかける言葉のことを指します。自分自身や周囲の状況について頭の中で描写している状態のことで、「心の中での独り言」と表現されます。『セルフトーク』の言葉は、マインドの中に映像(イメージ)を喚起します。そして、その映像は感情を呼び起こします。『セルフトーク』の繰り返しにより、喚起された映像が、無意識の中でリアルになっていきます(=自己イメージが出来上がります)。

みなさんも日常の生活の中で独り言を言っているシーンは普通にあると思います。しかも、この『セルフトーク』はなんと!なんと!個人で1日に3~5万回は話かけていると言われています。信じられないですよね。さらに、そのほとんどがネガティブなことについて多く話しかけているみたいなんです。それを『ネガティブセルフトーク』と言っているのですが、これは「どうせ自分には無理だし」「自分は才能ないし」「絶対自分にはできないし」というネガティブな『セルフトーク』が自信のない自分を日々作り上げてしまう大きな原因になるんです。そんな自分になっていくのってどう思いますか?
だから、この『ネガティブセルフトーク』を書き換えることが私たちの人生においては必要になってくるんです。『セルフトーク』によって、無意識に「自分はこういう人間だ」という自己イメージと「世界はこういうものだ」というリアリティが形成されていくのです。

コーチングは「ゴール設定を行い、内部モデルの書き換えを行う」ということを説明してきました。言い換えると、「自分の言葉を、ゴール世界に到達している自分が言う言葉に書き換える」と表現でき、言葉を書き換えることで思考や行動が変わります。そうすることで臨場感が生まれ、コンフォートゾーンがゴール側に移動し、エフィカシーが高い状態となります。

なので、ゴールに対するネガティブセルフトークについては遮断し、ポジティブな内容に書き換える必要があります。ネガティブセルフトークが多いとエフィカシーが下がってしまい、現状の外のゴールへコンフォートゾーンが移動しない状態になるからです。
つまり、コーチングでは、「ネガティブセルフトークを遮断」し、「ゴールを達成している自分が使っている言葉に書き換える」ことで、エフィカシーを上げ行動変容を起こしていきます。

最後に「ゴール設定」について説明したいと思います。

[4]ゴール設定とは

ここでいう「ゴール」とは「未来のありたい姿」と定義されます。現状のコンフォートゾーンをずらして、未来の有りたい姿を設定していきます。
しかし、ゴールは”急に現れたり”、”誰かが教えてくれるもの”ではありません。ゴールは「自分で設定する」ものであり、必要に応じて更新していくものとなります。

なお『ゴール設定』には3つのポイントがあります。
①「本音(=want to)」であること
②「現状の外側」であること
③「オールライフ」で設定すること
では、これら3つを詳しく説明していきます。

①「本音(=want to)」であること
誰かに言われた、誰かのために、認められるためではなく、「自分自身が本当にやりたい(本音である)こと」が大切です。認知科学に基づくコーチングでは、クライアントの本音(=want to)を 抽出することをします。
want toは「実際にやろうと思えばできること」や「周りに求められているからやること」ではありません。「だれになんと言われてもやりたいこと」「怒られてもやめずに続けたいこと」です。心の奥底の本音と向き合い抽出していきます。
※ちなみにwant toの反対としてhave toがあります。
have toは「他人軸で外圧のあるもの」です。
《have toの例》
・他者に褒められたい
・自分に似た境遇の人を助けたい(自己投影)
・良い上司、親だと思われたい為、〇〇する
have toとして特に多い2点について解説します。

承認欲求:他者に褒められたい
自分の幸せの軸が他人由来になっているのでこれはNGです。自分ではコントロールすることのできないことが含まれるからです。また、認めてくれる人がいなくなった時に熱が無くなります。

自己投影:同じ境遇の人のために○○したい
「同じ境遇の人のために」と、一見他者への貢献のように見えますが、これは「過去の自分の救済」です。そのため、自己投影している限り、過去に生きることになり、過去の辛い記憶が脳裏に付きまといます。また、過去の自分が救われたら熱が無くなります。

②「現状の外側」であること
現状の外側のゴールは
・現時点では達成する為の方法が思いつかない
・やりたいけど足が震えて怖い感覚になる
・周りの人にやめとけ!と止められる
ようなものになります。
逆に、このまま現状を進めばなんとなく方法も見えるし、努力すれば叶いそうなものは「理想の現状」と表現されます。
現状の外側とは、”今の状態の延長線上では決してなし得ないもの”となります。

例えばですが、
・課長から部長に昇進して収入を増やしたい
・ウエストを5㎝細くしたい

これらは全て”理想の現状”です。

達成できるまでの過程が容易に想像でき、プロセスが見えるものに脳は創造性を発揮しないからです。「どうして、外側にゴール設定が必要なのか?」
の理由を簡潔に言うと、現状の外側にゴールを置かないと認知が書き変わらないからです。「現状の外」にゴールを設定することで初めて、人は無意識の創造性を発揮し、達成するためのプロセス・経路を構築していきます。
 
そのために、未来のありたい姿(ゴール)を本音でwant toに沿って設定することが重要です。このゴールを設定することで、無意識に脳がゴール達成のための情報を集めるようになります。これまで盲点(スコトーマ)だったものが見えてくるようになり、新しい情報を取り入れるようになります。

上記で説明したように、何かを決断するとそれを達成しようと脳が無意識に情報を集めるようになります。そのため、一番最初に行うことは「プロセスを調べるのではなく、ゴールを決めること」になります。

【まず決断をすることが重要である一例】
自分の趣味の絵画で個展をやろうと思ったときに、ノウハウばかり調べるのではなく、まず個展をお披露目する日時を決めてしまうことが大事です。そうするとその期日までにどうやって目標を達成していくか脳が働き始めこれまで見えなかったものが見えてくるようになります。
※私の趣味のフラワーアレンジメントも同じなんです。また別の機会でこの決断までの心象風景がお伝えできればと思います。

コーチングで行うことは内部構造の書き換えと説明しましたが、それは『現状の外側のゴール』を設定するということです。そうすると、内部構造の書き換えが無意識下で起き、日々の行動が変わっていきます。
この「現状の外側のゴール」を設定することは、仕事だけではく多岐にわたる領域で設定することが大事になってきます。その領域についても説明していきます。
 
③「オールライフ」であること
ゴール設定は全領域(オールライフ)で設定します。以下のバランスホイールの8つの領域でゴール設定をします。一つの領域だけ設定しても、衝突が起きてしまいます。(仕事のゴールを設定して24時間仕事にあててしまうと、健康や家族関係に問題が生じるかもしれません)

概要図:バランスホイール

8つの領域の内訳は下記になります↓
仕事:身銭を切ってでも自分のやりたいことであり、人の役に立つこと、
社会への機能提供のこと
趣味:自分のやりたいことであり人の役に立たない、どうでもいいこと
家族:家族とはどのような関係でありたいか
人間関係:仕事と友人において未来の自分はどんな人と繋がっているのか
社会貢献:人の顔が見えない利益0で自分が関わっていない世界への貢献
知性:仕事とは関係なく、生涯学習として深めたい知識
健康美容:ゴールを達成するための体力や健康(女性は美容でもOK)
ファイナンス:全てのゴール達成に必要な収入と総資産

認知科学に基づくコーチングでは、コーチとクライアントとの対話を通じて、理想の自分・現状の外側のゴール設定をします。現状の外側のゴールを達成した自分はどんな人間関係にあり、どんな家族関係にあり、どんな趣味をしているかを考えます。一つの領域でなくすべての領域において設定し、追求していく(全どりする)ことが大事なんです。

このように常に「未来を見ている」状態にすることが重要です。究極を言うと、人生はこの設定したゴールの世界を突き進む(それ以外の事象をスコトーマにする)と、want toに囲まれた常に笑顔の状態で生きることができるということになります。 ゴールを複数設定すると、どっちつかずになりそうですが、人の脳は無意識にそれらのゴール達成に向けて整合性を取ろうとします。一つの物事にかかる時間が短くなったり、本当に重要であることを取捨選択できるようになります。そのためゴールは複数もつことが重要になってきます。現状の外側のゴールは、達成することにフォーカスを当てているわけではありません。現状の外へ向かって行動変容が起きることが重要と考えているからです。また、ゴールは人に与えられるのもではなく、自らで設定するものです。そのため、設定したとしても、なんか違うなとなれば変更・更新するものというのが前提となります。

[5]実際のコーチングで行うこととは

これまで説明した内容を踏まえて、下記の流れの対話を通じてゴール設定をしていきます

①自分の中の本音(want to)を抽出する
②want toな現状の外側のゴール設定をする
③設定したゴールへコンフォートゾーンが移ることで、現状
 とのギャップが生じる(このままではまずい!という状況になる) 
 ※物事の重要性関数が変化します
④現状と理想のギャップを埋めるため行動が変わる
⑤ゴールを達成する(理想へ近づく)
⑥達成によりゴール世界がコンフォートゾーンになりさらに新しいゴール
 が設定(更新)される
※③のコンフォートゾーンがずれる際に自分の中の内部モデルの書き換えが起きます。言い換えると、自分にとっての重要性が変わります。このように認知科学に基づいたコーチングは成り立っています。
③による書き換えが終わったあとも、「ゴールを達成している自分があたりまえ」というマインドになっていれば、現状の自分に満足できず日々の行動が変わっていきます。

実際のコーチングでは上記の①〜⑥のステップに加え、
ゴールに不必要な内部構造(偏った固定観念、自分への抑圧)やネガティブセルフトークを断ち切るお手伝いをします。さらに現状の外側のゴールに向かうための必要なマインドの使い方を教えていきます。

以上が、”認知科学にもとづくコーチングの話”から”心と脳のメカニズムを読み解き、未来の自分に向かっていくために必要なゴール設定”のお話となります。
長い時間、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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