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マーケティングを変えたFacebook/Instagram

前回は、マーケティング業界に身を置く中で、私がデジタルとどのように出会い、どのような変化や可能性を感じてきたかについてお話しました。今回はその続編として、現在私が日本代表を務めるFacebook社、そしてSNSの台頭がマーケティングに与えた影響についてお話したいと思います。

Facebookの影響①:情報の伝播の変化

実名制のFacebookは、人と人のリアルなつながりを顕在化し、さらに人と人のネットワーク、つまりコミュニティを形成し、維持・拡大することをサポートするプラットフォームと言えるかと思います。マーケティングという観点で私にとって新鮮だったのは、誰かが「この商品良いよね」と推奨しているの見た別の人が、いわば「クチコミ」のように、あの人が言っているならきっとあの商品は良いのだろうと影響を受けてモノが動くこと、さらにソーシャルグラフによってそれが一定の規模感がある形で行われるということでした。信頼できる人から聞いた情報がその人にとって最も信頼できる情報であること、それをマーケティングの手法として規模感のある形で実行できるようになったことが大きな変化であったと思います。

また、前回の投稿で、企業・ブランドが人と双方向のコミュニケーションがとれるようになったことがデジタルの大きな可能性だというお話をしましたが、Facebookの登場による上述のような変化の上で、企業やブランドが、企業・ブランドとのつながりの中でコミュニティを構築できるようになり、さらに双方向にコミュニケーションができるようになったことも見逃せないポイントであると思います。

Facebookの影響➁:マーケティングの民主化

Facebookがマーケティングに与えたインパクトの1つが、情報の伝播の仕方に伴うマーケティングの変化だとすると、もう1つのインパクトはマーケティングの民主化です。それまでは、マーケティングというと、大きな予算とマーケティングに従事する人的リソースを持っている規模の大きいビジネスが実践するものでした。しかしFacebookの登場により、中小ビジネスでもFacebook上では大企業と同じようなマーケティング活動が手軽にできるようになりました。熱量の高い想いがあり、モノが良く、ある特定のカテゴリーにおいて競合優位性があれば、ビジネス規模に関わらず、またそれまでの商圏にとらわれずにビジネスを成長させることができる可能性が出てきました。これは非常に大きな変化と言えます。当時の成功事例として鳥取のお寿司屋「笹すし」さんを紹介しましたが、この民主化というトレンドは今なお続く不可逆的なものであり、その後のD2Cの興隆にもつながっており、現在は特にInstagramにおいて流れは加速しています。

Instagramの可能性:「発見」のすごさ

Instagramはビジュアルでのコミュニケーションを軸に、興味・関心でつながるインタレストグラフを形成するプラットフォームです。「インスタ映え」という言葉が流行しましたが、もともとは写真を中心としたビジュアルコミュニケーションプラットフォームとして普及し、ストーリーズやIGTV、リールなど多様な機能が追加され、ブランドを多面的に表現できるプラットフォームへと進化しています。


私がFacebook社に参画することを決めた理由は、ミッションへの強い共感等いくつかあるのですが、そのうちの大きな理由の1つとして挙げられるのは、Instagramのマーケティング活用の可能性の大きさ、特に日本の生活者との相性の良さでした。それだけ、Instagramには大きな可能性があると確信しています。ではその可能性とはどこにあるのか?その1つのキーワードが「発見」です。これまでのオンラインでのショッピング体験を考えると、購入したいものが決まっている状態で、目的をもって検索し、商品にたどり着くというのは一般的なものでした。しかし、Instagramでは、利用者は自分の好きなモノやコトをベースに探しにきて、知らなかったモノやコトを発見するというプロセスとなり、「目的」ではなく「興味」から「発見」していくことが従来の購買行動プロセスと大きく異なる点といえます。

Instagram:好きと欲しいをつくるプラットフォーム

そして、興味から発見したブランドの周りでは、ブランドへの興味を軸としたコミュニティが形成されますが、Instagramはビジュアルのコミュニケーションプラットフォームなのでブランド側は世界観を伝えやすく、結果として非常にエモーショナルなつながりが生まれやすくなります。そして、Instagramにはショッピング機能があるので、「欲しい」という気持ちが生まれたら、すぐに検討・購入することができます。偶発的な出会いから商品を発見し、多様な機能を通じて興味を深め、実際の購買へとつなげる、これをInstagramという1つプラットフォーム上で行うことができるのです。これがInstagramならではの価値と言えますし、その価値を私たちは「好きと欲しいをつくるプラットフォーム」と表現しています。

 
Instagramの価値について非常に完結にまとめましたが、まだまだお話ししたいことはたくさんあります。最近、マーケティング支援会社であるトライバルメディアハウスの代表を務める池田紀行さんと対談し、Instagramの可能性について存分に話をさせていただいたので、ご興味がある方は是非こちらをご一読ください。

マーケティングにおいて変わること、変わらないこと

デジタルの浸透、スマホの浸透、Facebook/Instagramというプラットフォームの登場・進化によって、マーケティングには大きな変化が生まれました。しかし、消費者に対してブランドの世界観を伝え、ブランドとの結びつきを深めていくという本質は変わらないと思いますし、Instagramに様々な機能が追加されているのも、より深いブランド体験を実現するためのものです。

また、消費者は今後、より自分の価値観にあうものを手にしていくという傾向が強くなると思いますし、その兆しが現在D2C(Direct to Consumer)の伸長にあるように感じています。そのような観点でみると、FacebookやInstagramではどういった想いでビジネスがモノやブランドを作っているのかが見えやすいので、そういった想いが強い企業が成功していく可能性が高いのではないかとも思いますし、モノやブランドに込める想いの強弱にビジネスの規模感による優劣はないので、先ほど述べた通り、マーケティングの民主化という流れは今後もさらに大きなものになっていくのだと思います。