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利回りと債券価格の関係

債券利回りが上がると、なぜ債券価格は下がるの?

 債券は最初に利率が決まっていて、途中で売買する時に価格で調整されるからです。決まった利率は、基本的には変わりません。途中で変わるものもありますが、それは発行時になんらかの特別な条件がつけられています。
 そんな債券は、市場や金融機関どうしでの相対取引によって途中で売買がなされています。先進国の国債となれば、取引量は相当な金額になり常に売買がなされております。また、新興国の債券や企業が発行している社債も、途中で同様に売買されています。
 つまり、売りたい人と買いたい人が合致するところで価格が成立しているのです。
 株式であれば、企業業績や需給、景況感によってその価格は変動しますね。


 債券では、同じ利率のものが、市場の金利水準や経済情勢が変化した時、同じ価格では売買されないのです。それは、主に市場の金利水準に合わせた価格で売りたい人、買いたい人の価格が調整される為です。

 例えば、アメリカの10年満期の国債で2年前に1%の利率で発行されたものは、満期時の100%を大幅に下回る価格で取引されています。2023年3月上旬の現在、アメリカ10年もの国債の利回りは、3.5%程度です。そんな時でも、2年前に発行された前述の債券は売買されています。その債券を100%の価格で買う人はいませんよね。だって、新たに発行されている国債は3.5%の金利がとれるのですから。
 つまり、2%の利率のその債券は、最後まで持った時に増える償還差益(満期の時に元本が100%になって返ってくることで得られる利益)と、受け取れる利率を合わせた最終利回りで釣り合う価格で取引されることとなります。
 最終利回りの計算式は下記のとおりです。


SMBC日興証券のホームページより抜粋



つまり、これから投資する人は、2年前よりも同じ債券を安い価格で買うことが出来ます。逆に、2年前に前述の債券に投資をしていた人は、売ろうとしたら当初購入した価格より大幅に安い価格で売ることになります。ただ、保有し続ければ、潰れなければ元金は満期償還時には100%の元金が返ってきます。ただ、企業などで時価評価額で評価損益などを計上しなければならないところは大変です。

債券の価格を決める要因は、市場の金利水準以外にも、
・信用状況
・その債券で使用している通貨の国の金利・インフレ率
・経済情勢全般
などがあります。

 金利水準が高い、現在のような時に外国債券に投資すると、金利が下がった時には価格の上昇も期待出来ます。

 ただ、気をつけるべきなのはインフレ率の推移と信用リスクです。
名目金利からインフレ率を引いたのが実質金利と呼ばれるものです。
これが高いものが一般的には良い投資先と言えます。
また、信用リスク(倒産などで、利息や元金が支払えなくなるリスク)は大いに気を付けるべきポイントです。

これらが、債券の利回りと価格が変動する仕組みです。

 日本の金利は、いまだ低金利のままです。
ご自身にとっての、許容できる対象の債券へ投資を行うことは、ご資産形成にとって有効な手段になるのはいうまでもありません。


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