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羊と踊る海 

ヨットレースを追いかけて(1)

もう23年も前の話になる。当時ヨットに乗っていればそれでシアワセというまだ若かったころ、僕はニュージーランドのオークランドで開催されるアメリカズカップを観に行こうと思い立つ。

その7年前にワーキングホリデーで1年間滞在したオークランドが今回の開催地である。すでにその街にはヨットを通じた友達がいくらかいた。随分前から必ず観戦に行くからと伝えていたので、空港ではキャスが迎えに来てくれたし、泊る所もジャネットがフラットメイトとして1部屋用意してくれた。

随分恵まれたレース観戦の滞在が始まる。さらに幸運なことにジュリアンが船長を務める富士ゼロックスの社用ボートに乗せてもらえるという話だ。社用ボートなのでお得意様を接待に使うボートだ。そのボートにお得意様を乗せてアメリカズカップを観戦する。ジュリアンの手伝いをする代わりに僕はタダでレースを目の前で観ることができるのだ。

当時日本の知人に頼まれたアメリカズカップの記事に加筆訂正して再掲する。以下は仕事を忘れたノーテンキ男の観戦記になる。


2000/2/20 America's Cup R1 [見てきました第一戦]

今日アメリカズカップ第一戦を観てきました。夏らしい強い日差しと12ー14ノットの風で快適な艇上からの観戦でした。

今回もチームニュージーランドは色々と見せてくれました。バックステーを使わない場面がありました。これは風の抵抗を少しでも減らすのとデッキから上の重量を減らすためだとか。1D35などではすでにやっていますが、ACボートほどの大型艇ではまだどこもやってないはずです。

フォアデッキクルーは補聴器みたいなものを耳につけていました。スキッパーのラッセルクーツはマイクを付けていて、彼の言ったことをフォアデッキクルーはイヤフォンで聞くことが出来るそうです。レース中、艇上20メーターも離れている時は本当に助かりますね。

ロワーシュラウドはスプレッダーの端からマストに繋がっているのが普通ですが、マストを通り過ぎて反対タックのスプレッダー端に繋いでいるそうです。これによりマストの強度とコントロールを向上できるそうな。

中止になった昨日、クルーはサッカー選手のユニフォームみたいなツヤツヤしたシャツを着ていました これはハイテク素材で空気抵抗を減らすのだとか。でも今日はそれとは違う普通っぽいシャツを着ていたのでアメリカズカップならではのプラダチームを惑わす心理作戦かもしれません。

また空気抵抗を減らすために競輪選手が被るヘルメットみたいに前後に尖ったヘルメットも考えているとか。ここまでくるとどうもウソっぽいですが、近い将来ヨットレースではヘルメットを被るのが常識なんて日が来るかも……。

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